MISAO Project

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新変光星の個数

新天体や新変光星を捜索するためには、適度な時間を空けて撮影された、互いに 重なり合う画像が2枚必要である。 特に、新変光星を発見する上では、数カ月ほど期間を空けた2枚の画像が必要と なる。 ところが、上尾サーベイが本格的にサーベイ活動を開始したのは、事実上1999年 4月からである。 そのため、現時点では、まだ画像どうしが互いに重なるものがほとんど存在しな い。

1999年1月30日と5月7日に、18cm反射望遠鏡でさそり座新星1998を撮影した画像 は、充分な時間をおいて撮影された、互いに重なり合う、数少ない画像の1組で ある。 この2枚の画像を比較した結果、0.8×0.5度という狭い領域ながらも、27個の新 変光星が発見された。 図 3は、この画像から発見された新変光星をプロットした ものである。 これらの新変光星は、ノーフィルターCCDによる極大光度が11〜15等で、いずれ も、変光範囲が1等から3等以上と、大きな変化を示すものばかりである (図 4)。

   figure46
図 3: さそり座新星1998付近の新変光星(中央の丸印がさそり座新星1998)

   figure53
図 4: 3個の新変光星(MisV0019,MisV0020,MisV0018)
注記:きちんと調べ直した結果、上記の3個に加えて、MisV0027とMisV0060の、合計5個の新変光星が、この6x6分角の領域から発見されていた。

さそり座新星1998の位置は、赤経17h55m24s.99、赤緯-31o01'41".5 (IAUC 7034) である。 即ち、この領域は、ほぼ黄道帯の中に位置している。 しかし、Minor Planet Checker [5] で調べてみると、1999年1月 30日と5月7日のいずれでも、この画像の範囲内に、18.0等よりも明るい既知の小 惑星は存在しなかった。

以上より、以下の2点の事実が判明した。

  • アマチュアの機材で捉えられる未知の変光星は、相当な個数が残っている。 さそり座新星1998の近傍といった、比較的頻繁に撮影され、良く注意されている と思われる領域でも、未知の変光星が多く残されている。
  • 新変光星に比べて、小惑星の個数は圧倒的に少ない。

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