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星像検出とノイズ

[2]にあるように、PIXYシステムに於けるマッチングは、ま ず画像からの星像検出、次いで検出した星像と星図の恒星とのいわば点集合同士 の照合を行うという、2段階の行程で行う。 前述した通り、画像と星図とのマッチング自体はかなりの精度で成功している。 しかし、このうちの星像検出については、まだ暫定的なものであり、極めて不完 全である。

例えば、下の画像は、前節で成功例として挙げた百武彗星 (hy960327.jpg) の画像から検出した星像をプロットしたものである。

この図にも現れているが、現在の星像検出には以下のような欠点がある。
  • 微光星が検出できない
  • 近接二重星が分離できない
  • 彗星のコマや尾のような拡散状天体の中の恒星が検出できない
  • 彗星のコマや尾の淡い部分が微小ノイズとして現れ、微光星として認識さ れてしまう。
  • メトカーフ法で線状になった恒星が1つの星と認識されない
微光星が検出できないのは、星像検出の際の閾値の定め方がまだ粗いためである。 また、近接二重星や拡散状天体の中の恒星が分離できないのは、星像の広がり関 数(Point Spread Function)を考慮していないためである。 更に、星像検出の際に行っている画像の平坦化[3]では、画像内の背景 は元々平坦であると仮定している。 そのため、薄明中に撮影されたものや、光害の影響を強く受けて背景が傾いてい る場合には、正しい補正ができずに大量のノイズが発生することがある。

2節で挙げた画像のうち、 hb970117.jpg 及び hb970309b.jpg の2枚については、星図とのマッチングに失敗した。 理由は、いずれも正しい画像の平坦化を行えずに、不要なノイズが多数現れ、そ れらが微光星として認識されてしまったことである。 これらの画像は薄明中の彗星を写したものであり、画像内の場所による背景レベ ルの明るさにかなり差がある。 つまり、[3]で述べた手法は適用できないケースであるため、平坦化が 却って逆効果になってしまっている。 しかし、 hb970103.jpg のように、薄明中の画像でもうまくマッチングできた例もあった。 このように成否が分かれる理由は良く分からない。

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