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ガウス分布仮定の是非

本システムでは、星像をすべてガウス分布と仮定している。 しかし、実際には星像は理論的なガウス分布とは違った形をしている。 このことは広く一般に認識されており、より高精度な測光を目指して、実際に画 像中の星像の平均を求め、それをテンプレートとして用いる測光方法や、ガウス 分布に別の関数を組み合わせた形を理想星像とする方法などが提案されている。

本システムに於いては、画像復元の手法を応用して、すべての星像を強制的にガ ウス分布に復元する手法を試みてみた。 即ち、すべての星像がガウス分布している画像Gに対して、点広がり関数Pが 適用された結果、観測画像Fが得られたものとする。 この時、

displaymath191

より、

displaymath192

で理想的な画像に復元できる(演算はコンボリューション積分)。

まず、画像から暫定的に星像を検出する。 そして、各星像の中心位置を合わせ、重ね合わせることによって、平均的な星像 fを得る。 このfと、計算で求めたガウス分布gより、

displaymath193

によってPを求めることができる。 このPを用いて、前述の演算によって理想画像Gが得られる。

実験の結果、ほぼすべての星像が一様な半径を持つようになった。 また、この手法によって輝星の周囲に現れていたノイズが現れなくなるという利 点があることが分かった。 しかし一方では、星雲や彗星のような淡く広がった天体の輝度が下がり、かなり 暗くなってしまうという欠点があった。 更に、予想に反して、近接二重星が分離されずに融合されてしまうことも分かっ た。

このため、現在はこの方法は採用していない。 しかし、現在の手法とこの強制的な復元の手法をうまく組み合わせると、互いの 欠点を補えるかもしれない。 この点は現在も検討中である。

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