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スカイの値に関する矛盾

スカイ、即ち画像の背景をメディアンフィルターを用いて求めているが、厳密に 考えるとこれは実際のスカイとは多少の誤差があると思われる。 実際に測光した結果には、おそらくスカイの誤差によるものと思われる傾向がい くつか見られた。 ところが、この傾向が矛盾しているようだ。

まず、本システムでは淡く広がった彗星が暗く見積もられてしまう。 これは、スカイが実際よりも高くなっていることを示唆している。 メディアンフィルターは恒星の影響を多少受けて、実際よりも高い値をスカイと している可能性はあると思われる。

一方、星像の半径を調べてみると、

  • 明るい星ほど半径が大きい。
  • ピーク近傍だけでは半径は小さく、裾野まで考慮していくにつれて半径が大きくなっていく。
という傾向があることが分かった。 更に、星像の影響力の及ぶ範囲の制限を変えてみると、範囲を大きくすればする 程明るく見積もられることが分かった。 これらのことは、背景とみなせる部分に於いても、ピクセル値の総和が0よりも 大きくなっていることを示唆している。 即ち、スカイが実際よりも低くなっていることになる。

この2つの傾向は互いに矛盾している。 そこで、星像検出の際にスカイの値を厳密に再計算するようにしてみると、これ までの方法ではスカイが実際よりも高くなっていたことが分かった。 その結果、彗星の光度測定値がかなり正解に近くなった。 一方で、後者の傾向は更に強まっている。

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