Home Page       Sun Aug 8 17:02:57 JST 1999

まとめ

本稿では、MISAOプロジェクトで開発された天体画像自動検査システム PIXYを使って新彗星を捜索する方法を紹介した。

PIXYシステムは既に実用に足るものとなっており、上尾サーベイでは、実 際に新天体の捜索に活用している。 まだ本当の新天体の発見には至っていないが、本稿で述べた方法によって、既知 の彗星や、様々な疑惑星像が検出されている。 本稿ではその一部を紹介し、PIXYシステムが新天体を発見するために有効 であることを実証した。 更に、同一夜の複数の画像と過去画像を参照することで、ノイズや普通の星を除 外し、真の新天体候補だけを自動的に選別する方法を紹介した。 その結果、出力される新天体候補数が大幅に減少し、効率良く新彗星の捜索を行 えることを示した。

しかし、現在のPIXYシステムは、実際の画像の極限等級よりもかなり明る い星までしか検出できていない。 実際、はじめに例として挙げた、低空のC/1999 A1 (Tilbrook)やC/1998 U5 (LINEAR)は、いずれもPIXYシステムでは新天体として検出はされなかった。 今後は、より暗い星まで検出できるように、更にシステムを改良していきたい。