MISAOプロジェクトは、互いの画像を持ちよって、画像に写っている既知
の変光星の光度を測定したり、新天体の捜索を行おうというプロジェクトである。
ここで、画像を持ち寄ることで互いに情報を補えた例を2つ紹介する。
- ケース1
1999年1月7日に上尾サーベイチームが18cm反射でしし座の一角を撮影した画像が、
偶然にM66付近を180mmレンズで撮影した画像と重複した。
その結果、-surveyオプションの自動捜索により、赤経11時22分57.17秒、
赤緯+13度59分50.0秒に、10.6等の明るい新天体候補が発見された(図 4)。
左側の1月7日の画像の左上隅に写っている明るい星が、右側のM66付近の画像に
は写っていない。
図 4: 新天体候補 (Dembowska)
この天体は、Minor Planet Checker で調べた結果、小惑星 (349) Dembowska
であると判明した。
この例では新天体ではなかったが、星雲星団の画像も、公の場に提供すれば、
参照画像として充分に役に立つという例である。
- ケース2
福島英雄氏が1999年2月9日にカシオペヤ座付近を撮影した画像の検査を依頼さ
れた。
この時、画像の一部が、上尾サーベイチームが昨年11月19日にC/1998 U5
(LINEAR)を撮影した画像と重複していた。
その結果、-surveyオプションで検出された実在する新天体候補3個のうち、
2個は過去画像にも写っている通常の星であることが判明した(表 3)。
残りの1個は、11月19日の画像からは検出されていなかった。
画像を目で確認した結果、福島氏の画像ではこの星像は彗星状に見えた。
しかし、11月19日の画像も確認した結果、4つの微光星が密集しているだけで
あると判明した。
表 3: 福島氏の画像から検出された新天体候補
この結果から、星雲星団や彗星を撮影した画像も、公の場で正しく管理してお
けば、後に新天体の確認に役立てることが分かる。
更に、PIXYシステムで画像を検査することにより、画像に偶然写っている
既知変光星の光度データを取得することもできる。
例えば、福島氏の画像はわずか9枚であったが、95個の既知変光星の光度デー
タが取得された。
このように、天体画像を公の場に提供すると、様々な意味で学術的に貢献でき
る。
興味のある方は、著者まで連絡して欲しい。
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