MISAO Project

Home Page       Tue Mar 31 17:11:51 JST 1998

next up previous
Next: PIXYシステムの実装 Up: PIXYシステム Previous: PIXYシステムの現状

PIXYシステムの使い方

アプレット版PIXYシステムの使い方を、カシオペヤ座新星1995の画像 (図 2)を例に解説する。

   figure44
図 2: カシオペヤ座新星1995の画像

アプレット上部のパネルで諸々の設定を行う。 まず始めに、マッチングに使用するカタログを

  • Tycho Catalog
  • Yale Catalog of Bright Stars (rev. 3)
  • USNO-A1.0
  • Guide Star Catalog 1.2
の中から1つ選ぶ。 画像の範囲が広い場合は始めの2つのいずれか(Tycho Catalog の方が良い)を、 範囲が狭い場合は後の2つのいずれか(USNO-A1.0 の方が良い)を選ぶ。 ここではGSCを利用することにする。

アプレット版では、画像はWWWを通じて所得できる状態になっている必要がある。 検査する画像を自分のホームページのどこかに置いて、URL of imageの欄 に画像のURLを入力する。

次に、画像の中心の概略の赤経赤緯を指定する。 この例ではカシオペヤ座新星1995を撮影したので、この新星の精測位置

    R.A.= 1h 5m 5s.353, Decl.= +54o 0'40".13
を入力する。 概略の画角(Field)は約1度だと分かっているとしよう。 更に、画像の中心近くに新星が写っているものとし、位置の誤差(Position error)を0.4度とする。 また、この画像では北がどの方向になっているか分からないとする。 そこで、P.A. は0.0度、P.A. error は180.0度とする。 これは、位置角は 0.0°±180.0°という意味になる。 もしほぼ北が上だと分かっていれば、P.A.を0.0度、P.A. error を 10.0度のように設定する。 最後に、画像が鏡像になってる場合は East Righthand を選択するが、こ こでは選択しないままとする。

すべての設定を終えたら、「Go」ボタンを押し、マッチングを開始する。 しばらくすると、マッチングの途中経過を出力するためのログウィンドウがもう 1つ開く。 マッチングには数分から時に10分以上の時間がかかることがある。 その間、時々ログウィンドウの「Reload」ボタンを押すと、マッチングの進行状 況が出力される。

マッチングが終了すると、メインウィンドウに画像(上段)、検出した星像 (中段)、カタログから作成した同領域の星図(下段)の3つが表示される (図 3)。

   figure62
図 3: カシオペヤ座新星1995の実行結果

中段と下段では、ペアになったものが緑色で、ペアにならなかったものが 赤色 gif で示される。 原則として、中段の画像中の赤い星像が新天体の可能性があることになる。 しかし、この画像はDPEで処理したフィルムをフィルムスキャナで取り込み、GIF ファイルで保存したものであるため、ノイズが非常に多い。 中段の図の中の赤い星像はほぼすべてノイズである。 勿論、カシオペヤ座新星1995もGSCには記載されていないため、赤い色で描かれ ている。 また、下段の画像中にも赤い星像が大量に現れている。 これは、カタログに記載されているのに画像には写っていないというデータだが、 この画像は周辺減光が強いため、周辺部にこのような警報がたくさん現れてしまっ ている。

中段の図の星像をクリックすると、ダイアログが開き、検出された星像の位置 と光度の測定値が出力される。 また、下段の図の星像をクリックすると、その恒星のカタログデータが出力され る。 ここで中段の新星をクリックすると、

    R.A.= 1h 5m 5s.62, Decl.= +54o 0'38".1, 光度8.63等
という測定値が得られる。

マッチング結果の詳細はログウィンドウに出力される。

**********************************************************************
Image mapping
   1h11m15s.40 +53o57' 0".1                          1h 4m56s.63 +54o39'54".8
                            1h 6m32s.38 +54o 0'33".2
   1h 8m 5s.15 +53o21' 7".0                          1h 1m48s.63 +54o 3'24".6
  size = 1.16586230220963 x 0.7605625319135784 deg
  p.a. = 37.51967650740784 deg

マッチング結果は上記の箇所から始まる。 これらは、画像の位置(中心と四隅の赤経赤緯)、画角、上方向の位置角の正確な 値を示している。

Faintest mag: 13.051904850439271
Paired stars: 148
d_R.A. = 5.879119288141544"  d_Decl. = 8.010147704433242"  d_mag = 0.6744314989502649

次に画像の極限等級と、カタログにあるデータとペアになった星像数、及び位置 測定と測光の平均誤差が示される。

その後、画像から検出した星像と、カタログ中の恒星とのペアをとった結果が一 覧として出力される。 初めにペアになったものがすべてリストアップされる。 Paired stars in catalog listの1番目とPaired stars in detected listの1番目とがペアになっている。

***** Paired stars in catalog list ******
    ID=01690  R.A.=01 07 09.54  Decl.=+53 29 54.0 (+/-0.1")  Mag= 6.40 (+/-0.00)  ban
    ID=01405  R.A.=01 04 16.91  Decl.=+54 12 16.3 (+/-0.4")  Mag= 6.64 (+/-0.41)  ban
    ID=00324  R.A.=01 08 22.57  Decl.=+54 13 52.6 (+/-0.1")  Mag= 7.00 (+/-0.10)  ban
    :
***** Paired stars in detected list ******
     1h 7m 9s.27 +53o29'54".0  mag=5.99815777995974
     1h 4m17s.17 +54o12'14".7  mag=7.521379812939852
     1h 8m23s.50 +54o13'41".7  mag=7.301244925666875
    :

ここで、赤経、赤緯、光度の差が大きいものは、行頭にそれぞれ r, d, m のマークが付く。

r m ID=00643  R.A.=01 04 52.87  Decl.=+54 35 35.0 (+/-0.3")  Mag= 9.46 (+/-0.40)  ban
    :
r m  1h 4m54s.84 +54o35'29".1  mag=10.86397906071908

その後、ペアにならなかったものが一覧で出力される。

Copyright(C) Seiichi Yoshida (comet@aerith.net). All rights reserved.