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新天体の発見

PIXYシステムを用いて画像を検査すると、写っている恒星の測光が自動的 に行える。 また、PIXYシステムを利用すると、画像の中心の赤経赤緯、画角、回転角、 極限等級等の正確な値が自動的に算出される。 手持ちの画像すべてについてこれらのデータを求めて記録しておけば、将来新天 体が発見された時に、過去の情報を遡って参照することが可能となる。

しかし、既知の天体のイメージを参照することと、未知の新天体を発見すること には大きな違いがある。 怪しい天体が見つかった時に、それが確かに新天体だと確認するためには、位置 を少しずらして撮影した画像や、時間を置いて撮影した画像等、複数の画像が必 要となると思われる。 また、新天体発見を目指して捜索を行う場合は、天空上の同じ領域を、おそらく 同じ機材、露出時間で何度も撮影することになる。 そうすると、以前に撮影した画像と新たに撮影した画像は極めて良く似たものと なり、これらをブリンクすることで、新天体を検査することが可能ということに なる。 経験上、PIXYシステムのような点(検出した星像)と点(カタログ中のデー タ)との比較よりも、画像同士の差分をとる方法の方がより効率的に新天体を見 つけることができる。 これは従来の新天体捜索の方法そのものである。

では、PIXYシステムは新天体の捜索には無用のものかと言うと、そうでも ない。 従来の捜索方法では、差分をとった時にノイズが発生しないように、機材や露出 時間だけでなく、画像の構図もほぼ一致させておく必要がある。 PIXYシステムを使うと、重ね合わせるべきそれぞれの画像について正確な 位置、画角、回転角が分かるので、画角や構図が大きく異なる場合でも、正確に 重ね合わせることが可能となる。 これは、ポータブル赤道儀を使った移動観測や、同好会の会員がそれぞれの機材 で撮影した画像をも重ねてみることができる(図 7)。

   figure139
図 7: 2枚のカシオペヤ座新星1995の画像の重ね合わせ

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