MISAO Project

Home Page       Tue Mar 31 16:19:07 JST 1998

next up previous
Next: WWWは巨大なデータベースか Up: 考察 Previous: WWW上に公開されている天文データベース

PIXYシステムが生み出すデータベース

前述した通り、PIXYシステムを用いると、画像中のすべての星像の位置と 光度が測定できる。 同時に、PIXYシステムでは画像とカタログとのマッチングを行うため、カ タログ中のエラーも発見できる。

当面は、PIXYシステムを利用して以下の活動を行っていく。

  • 既知変光星の測光データの取得
    変光星カタログを入手すれば、すぐにでも作業を開始できる。
  • カタログエラーの蓄積と反映
    ヒッパルコス星表の成果を受けて、GSCやUSNO-A1.0も更新される予定がある。
  • 新天体の捜索
    大量のデータを処理すれば、未知の変光星が見つかる可能性は非常に高いと思わ れる。

アマチュアの画像は現在も大量にあり、また今後も逐次増えていく。 よって、これらのデータもどんどん蓄積されていくことになる。 このデータは、いったいどのように扱えば良いのだろうか。 また、こうして生み出されたデータベースから、どのような利益を得ることがで きるだろうか。

現在のシステムにはまだ不備が多い上、予め画像の撮影方向と画角を指定しなく てはいけないという制約条件があるため、現時点ではまだ大量の画像を自動的に 処理していくことは難しい。 そのため、当面は自分自身や知人の撮影した画像をすべて検査することになる。 それでも得られるデータは膨大なものとなる。 1枚の画像につき、数十個から数千個の恒星の測光データが得られ、そのうちの 数パーセントは測定値とカタログデータとの間に有意な差が見られる。 また、1枚の画像につき数個程度の割合でカタログエラーが発見される。

USNO-A1.0 は、全天の22等程度までの恒星の位置と光度のデータを網羅したカタ ログである。 データをすべてバイナリ形式で保存しているが、それでもCD-ROMで10枚分の量に なっている。 このように、画像を処理して測光データを蓄積していくためには、膨大な量のデー タを保存する場所が必要となる。 そのようなデータを蓄積していくことに意味があるのか、という疑問も当然生じ るだろう。 そこで、まずは星空の決まった領域を繰り返し撮影して、測光データを蓄積し、 未知の変光星がどの程度存在するのかを把握しようと考えている。

しかし、カタログエラーの把握と変光星の発見・測光以外の成果は望めないのだ ろうか。 また、膨大なアマチュアの画像を処理した結果は、サイエンスにどのような効果 を及ぼすのだろうか。 これらはいまだ模索中である。

Copyright(C) Seiichi Yoshida (comet@aerith.net). All rights reserved.