MISAO Project

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WWWは巨大なデータベースか

PIXYシステムはJava言語で実装したため、原理的にはWWW上に公開されて いる天体画像はすべて検査することができる。 そうなれば、WWWを1つの巨大な天文データベースとみなすことも可能だろう。

しかし、現実にはWWW上のすべての画像を検査することはまず不可能である。 PIXYシステムの場合、予め画像の概略の撮影方向と画角を指定する必要が ある。 更に、移動天体のチェックも行うためには、撮影時刻も必要である。 しかし、WWW上に公開されている画像の多くはGIFかJPEG形式であり、これらの諸 情報は記述されていない。 FITS形式であれば、画像とともに必要な情報を記述しておくことが可能だが、ア マチュアの使用する冷却CCDカメラが作成するFITSファイルの場合、これらの情 報が記述されていることは稀である。 結論として、WWW上で公開されている画像を自動的に検査することは現状では無 理である。

単に大量のデータの集合というだけではデータベースとは言えず、データを検索 することが可能でなければならない。 言い換えると、データに必要最低限のインデックスが付いている必要がある。 PIXYシステムで検査するという点で言えば、撮影方向、画角、撮影時刻が インデックスとなる。 その意味では、現在のWWWはデータベースとは言えない。

必要な情報のうちの撮影時刻については、FITSファイルに記述できるソフトも多 くなってきた。 また、ファイルのタイムスタンプを見ることでもおおよその値を知ることができ る。 一方、撮影方向の赤経赤緯と画角は、何らかの手段で明示的に指定しなければ記 述されるものではない。 PIXYシステムのような画像検査システムが普及し、撮影した画像を検査す ることが常識となれば、撮影者は画像の撮影方向と画角を指定すべき理由が生ま れる。 そうなって初めて、アマチュアの画像にも必要なインデックスが付けられるよう になるだろう。 インデックスが付いた画像が多くなれば、WWWはもはやデータの集合ではなく、1 つの巨大なデータベースとなる。 これは、MISAOプロジェクトが描く将来像の1つの姿である。

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