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    VSNETへの変光星光度報告    

  • このページで使われているサンプル画像は、門田健一氏が撮影したものです。

このページでは、PIXYシステム2を使って画像を検査した後で、写野内に存在する変光星の同定を行い、すべての変光星の光度をVSNET(Variable Star Network)に報告する方法を紹介します。

PIXYシステム2のページ

例として、次のFITS画像、および検査結果のXMLファイルを使用しますので、ここからダウンロードして下さい。 このXMLファイルは、サンプル画像をGSCを利用して検査したものです。

この画像は、CCDカメラに35mm広角レンズを取り付けて、カシオペヤ座付近の天の川を撮影したものです。

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PIXYシステム2を使って写野内に存在する変光星の同定を行い、すべての変光星の光度をVSNET(Variable Star Network)に報告する手順は、次の通りです。 予め、画像の検査の手順に従って画像を検査し、結果をXMLファイルに保存しておきます。

  1. 「Review」ボタンを押す。
  2. メニューの[File] - [Open XML File]を選び、XMLファイルを開く。
  3. メニューの[Analysis] - [Identify]を選ぶ。
  4. カタログを選び、実行する。
  5. しばし待つ。
  6. メニューの[Analysis] - [Magnitude Report to VSNET/VSOLJ]を選ぶ。
  7. 表示された表ウィンドウで、変光星だけチェックボックスにチェックする。
  8. マウスの右ボタンをクリックし、[Save]を選ぶ。

この手順を、詳細に紹介します。

PIXYシステム2を起動し、メインメニュー画面から、「Review」を選びます。

すると、新しい仮想デスクトップウィンドウが開きます。

まず、検査結果のXMLファイルを開きます。 メニューの[File] - [Open XML File]を選び、先程ダウンロードしたXMLファイルを開いて下さい。

通常は、XMLファイルを開くと、画像も自動的に表示されます。 もし、画像ファイルが見つからない、というメッセージが表示された場合は、メニューの[File] - [Open Image File]を選び、先程ダウンロードした画像を開いて下さい。

次に、メニューの[Analysis] - [Identify]を選びます。 すると、同定を行うカタログを選択するダイアログが開きます。

写野内に存在する変光星を一通り調べる場合は、以下のカタログについて同定を行うと良いでしょう。

カタログは、別途入手する必要があります。カタログの入手先については、カタログを選択し、Help ボタンを押すと、情報が表示されます。例えば、GCVS 2000 の場合は、以下の情報が表示されます。

The arranged file of the General Catalogue of Variable Stars, 4.1 Edition, and the recent Name Lists, compiled by Taichi Kato and Makoto Iida.

Download:

http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/vsnet/gcvs/gcvs2000.all

カタログによっては、gzip コマンドで圧縮されている場合があります。そのようなカタログは、ファイル名に「.gz」がついています。PIXYシステムは、gzip で圧縮されているファイルも読み込むことができますので、問題はありません。

サンプル画像について、GCVS 2000 と同定した結果は、次の通りになります。 PIXYシステム2の「Review」でこのXMLファイルを開くと、このページで紹介されている画面を再現することができます。

このXMLファイルを開き、メニューの[Analysis] - [Identification Overview Chart]を選ぶと、同定された変光星をプロットしたオーバービューチャートが表示されます。 このサンプル画像からは、実に多くの変光星が検出されていることが分かります。

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同定が終了したら、メニューの[Analysis] - [Magnitude Report to VSNET/VSOLJ]を選びます。 すると、ダイアログが開きます。

ここで、撮影時刻、フィルター、観測者コードを入力します。観測者コードをお持ちでない場合は、VSNETの管理者にお問い合わせ下さい。 フィルターについては、Help ボタンをクリックして表示される一覧の中から選んで下さい。

OKボタンを押すと、表が表示されます。

VSNETに報告するのは、検出された全恒星のデータではなく、変光星のデータのみです。そこで、変光星以外の行のチェックボックスのチェックを外します。 具体的には、まず、Name 列のヘッダをクリックし、天体名で並べ換えます。 次に、チェックボックスの列のヘッダをクリックし、いったんすべてのチェックを外します。 その後、変光星のデータのみ、チェックボックスをチェックしていきます。

チェックが終了したら、マウスの右ボタンをクリックし、ポップアップメニューの[Save]を選びます。 この結果、以下のようなVSNETへの光度報告ファイルが作成されます。

ANDAY 19980620.72345 73C Mis GSC3985.921
ANDBQ 19980620.72345 85C Mis GSC3634.76
ANDRT 19980620.72345 73C Mis GSC3998.2312
ANDRZ 19980620.72345 95C Mis GSC3998.2342
ANDSS 19980620.72345 66C Mis GSC3998.1952
ANDV387 19980620.72345 62C Mis GSC3999.2075
CASAR 19980620.72345 55C Mis GSC4011.1296,GSC4011.1297
CASBB 19980620.72345 95C Mis GSC4285.1074
CASCEa 19980620.72345 87C Mis GSC4281.1042,CASCEb,CASCF
CASCG 19980620.72345 92C Mis GSC4014.3024,CASV654
CASCU 19980620.72345 87C Mis GSC4019.3606
CASCZ 19980620.72345 91C Mis GSC4284.1168
CASDD 19980620.72345 94C Mis GSC4285.314
CASDG 19980620.72345 81C Mis GSC4003.1056
CASDK 19980620.72345 82C Mis GSC3661.1300
CASDL 19980620.72345 <91C Mis GSC4015.2567
CASDQ 19980620.72345 49C Mis GSC4283.1498
CASDS 19980620.72345 89C Mis
全データ

このファイルをメールに添付し、VSNETに報告します。 詳しくは、VSNETのホームページをご覧下さい。

このように、CCDカメラに広角レンズを取り付けて撮影すると、多数の変光星の光度データを一度に得ることができます。 但し、明るい星のすぐ側にある暗い変光星や、星団の中の変光星、もしくは変光星どうしが接近している場合などは、PIXYシステム2の同定が誤っているケースがあります。

メニューの[Analysis] - [Identification Report]を選ぶと、同定結果の一覧表が表示されます。 この一覧表で、変光星のデータを見たり、変光星の位置と検出された星像の位置のずれを調べることができます。 この一覧表で、同定結果の検証を行うと良いでしょう。

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