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    画像の検査    

  • このページで使われているサンプル画像は、井狩康一氏が撮影したものです。

このページでは、PIXYシステム2を使って画像を検査し、画像の中心座標や画角を求めたり、カタログに載っていない星を調べたり、すべての星の位置と光度を測定する方法を紹介します。

PIXYシステム2のページ

例として、次のFITS画像を使用しますので、ここからダウンロードして下さい。

この画像は、2000 NMという小惑星を撮影した画像です。

PIXYシステム2を使って画像を検査すると、次のようなことが分かります。

  • 画像の中心座標や画角などが求められます。
  • カタログに載っていない星を調べられます。
  • すべての星の位置と光度を測定できます。
  • 写野内に存在する彗星、小惑星、変光星、星雲星団が分かります。

PIXYシステム2を使って画像を検査する手順は、次の通りです。

  1. 「Image Examination」ボタンを押す。
  2. メニューの[Operations] - [Open Image]を選び、画像を開く。
  3. メニューの[Operations] - [Detect Stars]を選ぶ。
  4. しばし待つ。
  5. メニューの[Operations] - [Matching]を選ぶ。
  6. 読み込むカタログの設定をする。
  7. しばし待つ。
  8. メニューの[Operations] - [Make Pairs]を選ぶ。
  9. しばし待つ。

この手順を、詳細に紹介します。

PIXYシステム2を起動し、メインメニュー画面から、「Image Examination」を選びます。

すると、新しい仮想デスクトップウィンドウが開きます。

まず、検査する画像を開きます。 メニューの[Operations] - [Open Image]を選び、先程ダウンロードした画像を開いて下さい。 エクスプローラ等からファイルをドラッグし、デスクトップウィンドウにドロップすることもできます。

次に、メニューの[Operations] - [Detect Stars]を選び、しばし待ちます。 この間、PIXYシステム2は、開いた画像から、星像を検出しています。 処理が終わると、検出された星像をプロットした「Detected Stars」というウィンドウが開きます。

次に、メニューの[Operations] - [Matching]を選びます。 すると、測定に利用するカタログの設定を行うダイアログが開きます。 このサンプルの場合は、カタログとしてUSNO-A1.0もしくはUSNO-A2.0を使用します。 また、赤経赤緯は18h09m40s、-06o17'とし、画角は0.3×0.2度として下さい。

設定が終わったら、しばし待ちます。 この間、PIXYシステム2は、カタログからデータを読み込み、検出した星像とのマッチング処理を行っています。 処理が終わると、カタログから読み込んだデータをプロットした「USNO-A2.0」というウィンドウが開きます。 尚、この時点では、「USNO-A2.0」ウィンドウには、わずかな数の星しか描かれません。

次に、メニューの[Operations] - [Make Pairs]を選び、しばし待ちます。 この間、PIXYシステム2は、すべての星の位置と光度を測定したり、カタログに載っていない星を選別したりしています。 処理が終わると、「Detected Stars」ウィンドウと「USNO-A2.0」ウィンドウの星が、緑色と赤色に変化します。 また、それぞれのウィンドウに描かれる星の個数が、適切に調節されています。

赤い色で描かれた星は、カタログに載っていない星か、カタログに載っていながら写っていないという星です。 サンプル画像では、中央下に2つと、中央上に1つ、カタログに載っていない明るい星があります。

この3つの星をマウスでクリックすると、次のようなデータが表示されます。

赤経赤緯光度
下右18 09 38.87-06 17 09.414.26
下左18 09 42.12-06 16 48.715.40
18 09 38.40-06 08 30.615.41

このような天体は、彗星や小惑星、変光星であるか、もしくは新天体の可能性があります。

写野内の彗星や小惑星、変光星、星雲星団について調べるには、同定を行います。 ここでは、Minor Planet Checkerを使って、彗星と小惑星について調べてみましょう。

メニューの[Analysis] - [Identify]を選びます。 すると、同定を行うカタログを選択するダイアログが開きます。 ここで、「Minor Planet Checker」を選び、OKボタンを押します。 すると、撮影時刻を入力する画面が表示されます。 この画像の撮影時刻は、2000年7月3日 14:36:17(UT)ですので、その通りに設定して下さい。 後は、システムが自動的にMinor Planet Checkerで検索を行います。 同定が終了すると、メッセージが表示されます。

同定が終了したら、結果を星図で確認してみましょう。 メニューの[Analysis] - [Identification Overview Chart]を選びます。 すると、画像から検出された星像と、測定に利用したカタログ(この場合はUSNO-A2.0)、そして同定された彗星や小惑星が、すべてプロットされた星図が表示されます。

この結果を見ると、下に並んだ2つの赤い星像のどちらかが、小惑星と同定されそうだと分かります。 この星をマウスでクリックすると、この天体が小惑星2000 NMであることが分かります。 詳しい位置計算をしたところ、右側の星像が、小惑星2000 NMであると判明しました。

彗星や小惑星の他に、変光星や星雲星団の同定も可能です。 但し、この画像の例では、写野内に変光星や星雲星団は存在しません。

残りの2つの赤い星像については、既知の小惑星や変光星では、該当するものが見つかりません。 おそらく、未知の変光星ではないかと思われますが、確認のためには、もう一度、この場所を撮影する必要があります。

「Log Window」には、画像中心の赤経赤緯、画角、回転角、極限等級、測定誤差、恒星数といった、画像情報が出力されています。 このサンプル画像では、次のような結果になりました。

中心の赤経赤緯18h09m44s.65 -06o13'40".0
画角18.56×13.90分角
回転角0.49度
極限等級17.62等
位置測定誤差0.6×0.7秒角
恒星数(STR)392個
恒星数(NEW)37個
恒星数(ERR)75個

  • STR : 緑色の星。
  • NEW : 赤色の星。カタログに載っていない星。
  • ERR : 赤色の星。カタログに載っていて、写っていない星。

検査結果は、XMLファイルに保存しておきましょう。 メインメニュー画面から、「Review」を選び、保存したXMLファイルを開けば、検査結果を再現し、再びデータを見たり、同定を行ったりすることができるようになります。

サンプル画像の検査結果:

PIXYシステム2の「Review」でこのXMLファイルを開くと、このページで紹介されている画面を再現することができます。

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