MISAO Project

English version       Home Page       Updated on November 17, 2000

2000年11月16日

    PIXYシステム2とXML    

MISAOプロジェクト・アナウンスメイル (2000年11月16日)

MISAOプロジェクトの吉田誠一です。

天体画像自動検査システムPIXYの次世代バージョン「PIXYシステム2」は、6月 24日に第1回のリリースが行われて以来、7回のバージョンアップリリースが行 われました。最新版は、2000年11月12日版です。

現在のPIXYシステム2では、主に次の2通りの使い方ができます。

  1. カタログと比較して、1枚の画像を検査する。
  2. 2枚の画像を直接比較する。

1番の方法では、GSC 1.1 や USNO-A2.0 といったカタログが必要となりますが、 画像に写っているすべての星の位置と光度が自動的に求められ、カタログにな い天体なども分かります。また、画像に写っている彗星、小惑星、変光星や星 雲星団をリストアップしたり、多数の変光星の光度を自動的に測定してVSNET に報告することができます。

2番の方法では、同じ領域を撮影した2枚の画像を調べ、彗星や小惑星、変光星 に自動的に色を付けてマークアップしたり、ブリンクさせることができます。

どちらの場合についても、サンプル画像を使ってPIXYシステム2の使い方を紹 介したチュートリアルページがホームページで公開されています。

http://www.aerith.net/misao/pixy/index-j.html
  • 画像の検査
  • 写野内の彗星、小惑星、変光星、星雲星団の調査
  • VSNETへの変光星光度報告
  • 彗星・小惑星の見つけ方
  • 変光星の見つけ方

1番の方法で画像を検査した結果は、XMLファイルとして保存することができま す。保存していたXMLファイルを開くと、再び検査した時のデスクトップが再 現され、結果を見直したり、画像に写っている彗星、小惑星、変光星や星雲星 団の同定などの解析を再開することができます。

PIXYシステム2のチュートリアルページでは、サンプル画像とともに、検査結 果のXMLファイルもダウンロードできるようになっています。XMLファイルを PIXYシステム2で開くと、PIXYシステム2の操作をすぐに体験できます。

XML (eXtensible Markup Language) はドキュメントやデータをファイルに保 存する形式で、現在もっとも注目されている技術の1つです。データはタグに よって整形され、文書の構造は DTD (Document Type Definition) で記述され ます。タグ付けされたファイルとDTDという、共通の枠組を採用することで、 データの交換が容易になったり、XMLファイルを読み書きする処理が共通化さ れるなどのメリットがあります。NASAのAstronomical Data Centerでも、各種 カタログのXML化が推進されています(情報提供:西村史郎氏)。

http://tarantella.gsfc.nasa.gov/xml/

PIXYシステム2では、RELAXとRelaxerという技術も採用しています。RELAXを使 うと、DTDよりも詳細なデータ構造の定義が可能になります。PIXYシステム2で は、Relaxerによって、RELAXの定義から、そのXMLファイルの解析を行う専用 のプログラムを自動的に生成して利用しています。

PIXYシステム2に於けるXML技術の採用については、専用のページを作成してい ます。詳細は、そのページをご覧下さい。

http://www.aerith.net/misao/pixy/xml-j.html

従来のPIXYシステムと同様に、検査結果をPXFファイルに保存することもでき ます。PXFファイルは、再び読み込んでデスクトップを再現することはできま せんが、XMLファイルと異なり、Perl のようなスクリプト言語での処理が行い やすいフォーマットになっています。

最新版のPIXYシステム2では、Minor Planet Checker を使った彗星と小惑星の 同定、加藤太一氏と飯田誠氏が編集した GCVS 2000 を使った変光星の同定、 NGC 2000.0 を使った星雲星団の同定が行えます。同定した結果は、「同定オー バービューチャート」と「同定レポートテーブル」として表示されます。チャー トでは、同定された天体のうちの選択したものがプロットされ、マウスでデー タを参照できます。テーブルでは、同定された天体と検出された星像との位置 の差がデータとともに表示され、同定の検証が行えます。

なお、John Greaves氏、Jim McCullough氏、加藤太一氏、Klaus Bernhard氏を はじめ、多くの方から、さまざまなカタログの情報を頂いております。従来の PIXYシステムでサポートされていた他の多くのカタログと併せて、次回以降の バージョンでサポートされる予定です。

P.S.
過去のMISAOプロジェクト・アナウンスメイルは

http://www.aerith.net/misao/index-j.html
で閲覧できます。

--
吉田 誠一 / Seiichi Yoshida
comet@aerith.net
http://www.aerith.net/index-j.html

Copyright(C) MISAO Project (comet@aerith.net). All rights reserved.