MISAO Project

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解析手順

MISAOプロジェクトにおける、実際の画像解析の手順を紹介する。

上尾サーベイチームでは、晴れた夜にはほとんどCCDで撮影を行っている。 一晩(または数夜)の画像がまとめて検査工程に送られる。

検査工程には、PIXYシステムと、それを補助するいくつかのPerlスクリプトが ある。 また、過去の検査結果を保存したデータベース、既知変光星の同定データベー ス、過去の検査で得られた光度データベースの、3つのデータベースが存在す る。

画像検査手順の概要は図 2の通りである。

   figure39
図 2: 画像の検査手順

検査工程では、まず入手した画像をPIXYシステムで一括検査する。 検査結果は、画像ごとにPXFファイルという形式で保存される。 この時、既知変光星との同定も行われる。

上尾サーベイチームでは、画像のファイル名の付け方に規約を定めている。 具体的には、対象天体(サーベイ画像の場合は赤経赤緯)、焦点距離、フィル ターが、ファイル名から分かるようになっている。 これを利用し、位置情報をファイル名から取得し、また時刻情報を画像ファイ ルのヘッダから取得して、PIXYシステムで一括検査するためのバッチファ イルを生成するPerlスクリプトを作り、手間をかけずに大量の画像を検査できる ようにしている。

19990620/530mm/1800-3000-none-01.mtf
19990620/530mm/1800-3000-R-01.mtf
19990620/NovaSco1998-990-none-01.mtf

PIXYシステムでの一括検査が終了した後は、2通りの工程に分岐する。 1つは新天体の捜索である。 PIXYシステムには、1晩の画像の検査結果をまとめて扱い、以下の基準で 新天体候補を選別する機能がある。

  • 星表に記載されていない
  • 2枚以上の画像から検出されている
  • 過去画像からは検出されていない
この出力結果に基づき、最終的には人間がすべて目で確認し、本当の新天体か どうかをチェックしている。

もう1つの工程では、光度データベースを構築し、新変光星の捜索や既知変光 星の光度報告を行う。 光度データベースの構築も、PIXYシステムの機能である。 同定結果に基づき、変光星ごとに1つのファイルとして、測定光度を蓄積して いく。 但し、IRAS天体は個数が多いために、赤経1時間、赤緯10度ごとにまとめて1 つのファイルとしている。 また、星表に記載されていない星も、赤経1時間、赤緯10度ごとにまとめて1 つのファイルとして、光度データを蓄積する。 具体的なファイル構成は、次のようになる

obs/variable/SGR/SGRV4444
obs/variable/SGR/SGRnova1998
obs/variable/MisV/MisV0001
obs/suspicious/iras/18-30

新変光星の捜索は、2通りの方法で行っている。 1つは光度データベースを利用する方法だが、この場合は星表に記載されてい ない星か、IRAS天体しか対象とならない。 もう1つは検査結果データベースを直接調べる方法で、この場合は全恒星が捜 索対象となる。 どちらの方法も、星ごとに測定光度が変動していないかどうかを調べ、ある閾値 (0.7等もしくは1.0等)以上に変化しているものがあれば出力するPerlスクリプト を作り、変光星候補を選別している。 最終的には人間が画像を見て確認し、本当の変光星かどうかをチェックしてい る。

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