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ヘール-ボップ彗星

   figure92
図 4: ヘール-ボップ彗星の実行結果

久保庭敦男氏撮影のヘール-ボップ彗星の画像を、Tycho Catalog とマッチング した結果は次の通り。

画像hb970310.jpg
カタログTycho Catalog
中心の赤経22h 9m 6s.81
中心の赤緯+41o55'34".6
画角4.957 x 4.957°
上方向の位置角0.56°
星像の位置測定誤差(赤経)26.3"
星像の位置測定誤差(赤緯)31.9"
星像の光度測定誤差0.56等
極限等級11.65等
ペアになった星像数651個
カタログのみにある恒星数75個
画像のみにある恒星数48個

このように彗星が大きく写っていても、正しくマッチングが行えるようになって いる。

尚、画像中央左端に縦に2つ並んだ星があるが、このうちの片方がペアになり、 もう一方はペアになっていない。 中段と下段を見比べると、中段の下側の星と、下段の上側の星とがペアになって しまっている。 このように、明るさの似た近接二重星があると、ペアを間違えるケースが出てし まう。 これは、現在のペアを探す方法の大きな問題点である。 ペアを探す際、まずカタログにある星を明るい順に並べる。 各恒星について、画像中の対応する位置にある明るさの近い星像を探すのだが、 この際、いくつか候補があった時、最も明るいものとペアを組む。 この方法は、例えば10.0等の恒星Aのすぐ近くに12.0等の恒星Bがあったとして、 画像の対応する位置の近傍には10.8等と11.5等の星があった時、明るいもの同 士、暗いもの同士がペアになると考えられることに基づいている。 しかし、例えば恒星Aが10.0等、恒星Bが10.1等であった場合には、画像中では Aが10.5等、Bが10.0等に見えることもあり得る。 このような時、ペアを間違えてしまう。 この例では、残ったもの同士の距離が閾値より遠くなったため、一方が赤い色で 表示されたためにペアを間違えたことが分かった。 しかし、実際にはもう一方も閾値を越えずに、ペアが逆転してそのまま気づかれ ないことが多い。 これは、新天体発見を目的とする場合には問題にはならないが、個々の恒星の光 度を測定するという目的には非常に重大な問題となる。

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