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超新星1998S

   figure79
図 3: 超新星1998Sの実行結果

門田健一氏と著者が撮影した超新星1998Sの画像と、GSCとをマッチングした結果 は次の通り。

画像Sn98s.fts
カタログGuide Star Catalog (ver. 1.1)
中心の赤経11h47m54s.07
中心の赤緯+47o49' 5".6
画角1.992 x 1.328°
上方向の位置角99.58°
星像の位置測定誤差(赤経)4.21"
星像の位置測定誤差(赤緯)5.18"
星像の光度測定誤差0.58等
極限等級15.61等
ペアになった星像数242個
カタログのみにある恒星数21個
画像のみにある恒星数15個

中段では、画像中央やや左と、画像の右端近くの2つの星像が赤い色で描かれて いるが、下段を見ると、両方ともカタログデータが存在する。 これらは光度の測定値がカタログ値と大きく異なっているために、ペアにならな かったものである。 実は、これらは2つとも銀河で、中央左のものがNGC 3877、右端近くのものがNGC 3893である。 銀河のように淡い天体は、PIXYシステムでは測光値が暗く見積もられてし まうと述べたが、参照するカタログにも実際と大きく異なる光度が記載されてい ることが多いため、このようにペアにならないことが多い。

この例では、NGC 3877に出現した超新星1998Sが検出できていない。 また、NGC 3893の右下にある微光星も検出できていない。 これらは共に、銀河の近くにあるため、銀河と分離できなかったのである。 このため、現在のシステムは超新星捜索を行うには実用的ではない。 尚、NGC 3893の近傍にある微光星はGSCやUSNO-A1.0でも分離できなかったらしく、 どちらのカタログにも記載がない。

下段の画像の右上の方に、元画像には存在しない明るいデータがいくつか存在す る。 このような場合、実際には暗い銀河がカタログに明るく記載されているというケー スが多い。 しかし、この画像の場合は、該当位置に15等より明るい銀河は存在しないため、 カタログエラーである可能性が高い。

また、中段を見ると、画像中央の輝星(おおぐま座χ星)の周りにいくつかのノイ ズが現れてしまっている。 このように、淡く広がった天体の裾野の部分や、明るい恒星の周囲がノイズとし て現れるケースがある。 但し、この傾向はGIFやJPEGの画像では顕著だが、FITS画像では稀にしか起こら ないようだ。

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