実行
PIXYシステムで測定した星の光度を光度データベースに登録するのは、PIXYシステムの-updateオプションで行います。
PIXYシステムでの検査で生成されたPXFファイルを指定して実行します。
光度データベースは、MISAOホームディレクトリの下の、obsというディレクトリの下に構築されます。
実行時には、javaの-Dオプションを使って、プロパティmisao.homeにMISAOホームディレクトリのパスを設定する必要があります。
例として、チュートリアルのサンプル画像を検査して得られた光度データを、データベースに登録します。
サンプル画像のPXFファイル(sample2.pxf)を指定します。
ここでは例として、MISAOホームディレクトリを C:\misao とします。
この時、次のように実行して、光度データベースへの登録を行います。
java -Dmisao.home=C:\misao misao.pixy.Pixy -update sample2.pxf
|
結果
検出されたすべての星の光度を蓄積するのは非現実的なので、意義のある星だけに限って、測定光度がデータベースに登録されます。
具体的には、以下のどちらかに該当する星の光度が登録されます。
- 同定データベースに登録した既知変光星のうち、種類が V, S, E のいずれか
- PIXYシステムが出力した要注意天体のうち、ND, NC のいずれか
構築される光度データベースは、次のような構成になっています。
obs/variable/AND/
obs/variable/APT/
obs/variable/APS/
:
obs/variable/NSV/
obs/variable/MisV/
:
obs/variable/others/
obs/suspicious/iras/
obs/suspicious/others/
obs/suspicious/misao/
obs/error/others/
|
光度データベースは、MISAOホームディレクトリの下の、obsというディレクトリの下に構築されます。
obsディレクトリの下には、以下の3つのディレクトリが作成されます。
variable | 既知変光星(同定データベースの中の、種類がVのもの)を格納 |
suspicious | 疑変光星(同定データベースの中の、種類がSのもの)、もしくはPIXYシステムが出力した要注意天体を格納 |
error | カタログエラー(同定データベースの中の、種類がEのもの)を格納 |
※既知変光星について、詳しくはカタログ一覧をご覧下さい。
variableディレクトリの下には、各星座のディレクトリ、NSVやMisVといったディレクトリ、及びothersディレクトリが作成されます。
R And, HT Cas のように、星座名が含まれる名前を持つ変光星の光度が、それぞれの星座のディレクトリの下に保存されます。
NSVやMISAOプロジェクトで発見された新変光星等、名前に星座名が含まれていない変光星の光度は、NSV, MisVといったディレクトリの下に保存されます。
その他の変光星の光度は、othersディレクトリの下に保存されます。
いずれも、1つの変光星が1ファイルになります。
suspiciousディレクトリの下には、以下の3つのディレクトリが作成されます。
iras | IRAS天体を格納 |
others | それ以外の、同定データベースにある疑変光星を格納 |
misao | PIXYシステムが出力した要注意天体のうち、同定データベースにあるデータと同定されなかったものを格納 |
IRAS天体と、PIXYシステムが出力した要注意天体については、天球を赤経1時、赤緯10度ごとに区切って、各ブロック毎に1ファイルになります。
よって、1つのファイルの中に、複数の星の光度が保存されます。
例えば、13+20というファイルには、赤経が13時から14時、赤緯が+20度から+30度の間の星の光度が保存されています。
また、22-30というファイルには、赤経が22時から23時、赤緯が-30度から-40度の間の星の光度が保存されています。
その他の疑変光星は、1つの星が1ファイルになります。
errorディレクトリの下には、othersというディレクトリが作成され、すべてのカタログエラーの測定光度が、その下に保存されます。
1つのカタログエラーが1ファイルになります。
新規に光度データベースを構築し、サンプル画像のPXFファイル(sample2.pxf)だけを登録した結果は、次のようになります。
光度データベースのサンプル
更に、MISAOのホームディレクトリの下に、画像情報の一覧表が作成されます。
光度データベースに光度を登録した画像のPXFファイルの、[Image Information]の項目が記録されます。
サンプル画像のみを登録した後では、以下のような一覧表が作成されます。
image_information.list
画像情報の一覧表は、新天体の捜索で利用されます。
書式
1つの天体が1ファイルの場合は、光度データだけが記録されています。
例:T And (obs/variable/AND/ANDT)
1998 Aug 14.65973 8.8C 19980814/35mmPC/0000
+2500-none-01.fts ND-00010 ( 206.49, 194.52)
1998 Sep 12.77469 8.3C 19980912/35mm/0000+3
000-none-01.fts ND-00005 ( 482.58, 130.56)
1998 Nov 8.53253 6.8R o 19981108/35mm/0000+3
000-R-01.mtf ND-00001 ( 297.21, 395.98)
1998 Nov 8.54491 6.8R o 19981108/35mm/0100+2
000-R-01.mtf ND-00003 ( 743.72, 10.72)
1999 Jan 9.45620 7.9R o 19990109/35mm/0100+2
000-R-01.mtf ND-00005
1999 Jan 9.45690 7.8R o 19990109/35mm/0100+3
000-R-01.mtf ND-00006
1999 Jan 31.42671 8.8R o 19990131/35mm/0000+3
000-R-01.mtf ND-00027 ( 229.27, 372.62)
1999 Jan 31.43228 8.7R o 19990131/35mm/0100+3
000-R-01.mtf ND-00026 ( 689.40, 337.94)
|
※ 都合により、一部強制的に改行しています。
1行に1つの光度データが記録されています。
光度データは、
日時
光度
フラグ
画像名
星像ID
検出座標
メモ
の順で、タブで区切られて記録されています。
近接星を分離できず、合成光度が測定されている場合は、メモ欄に「blending」と記述されています。
1999 Jan 31.42595 7.1R o 19990131/35mm/0000+4000-R-
01.mtf RP-00035 ( 23.20, 30.99) blending
|
※ 都合により、一部強制的に改行しています。
画像の端にある場合は、メモ欄に「edge」と記述されています。
1998 Sep 12.81456 5.5C o 19980912/24mm/0100+6000-no
ne-01.fts RM-00011 ( 1.44, 507.87) edge
|
※ 都合により、一部強制的に改行しています。
IRAS天体と、PIXYシステムが出力した要注意天体のように、1つのファイルの中に、複数の星の光度が保存される場合は、天体名とその光度データが記録されています。
IRAS 04021+4009
1998 Sep 12.76755 7.1C 19980912/35mm/0300+4
500-none-01.fts PS-00219 ( 113.30, 507.63)
1998 Oct 18.69690 7.1C 19981018/35mm/0500+4
000-none-01X.mtf PS-00191 ( 90.48, 176.44)
1998 Oct 18.69797 7.1C 19981018/35mm/0500+4
000-none-02.mtf PS-00208 ( 90.43, 176.47)
IRAS 04029+4317
1998 Sep 12.76755 7.2C 19980912/35mm/0300+4
500-none-01.fts PS-00243 ( 116.76, 397.12)
1998 Oct 18.69690 7.3C 19981018/35mm/0500+4
000-none-01X.mtf PS-00253 ( 101.87, 285.61)
1998 Oct 18.69797 7.1C 19981018/35mm/0500+4
000-none-02.mtf PS-00213 ( 101.81, 285.66)
IRAS 04035+4352
1998 Oct 18.69922 8.5R 19981018/35mm/0500+4
000-R-01X.mtf ND-00039 ( 106.23, 308.10)
1998 Dec 9.66611 8.4R 19981209/35mm/0400+5
000-R-01.mtf ND-00047 ( 382.71, 457.94)
1998 Dec 9.67662 8.6R 19981209/35mm/0500+4
000-R-01.mtf ND-00039 ( 737.42, 73.89)
|
※ 都合により、一部強制的に改行しています。
PIXYシステムが出力した要注意天体の名前は、赤経赤緯と位置誤差に基づいた名前が付けられます。
後に、より高い精度で位置が測定された場合は、自動的に名前が更新されます。
J040709.09+440338.9-73.3
1998 Nov 20.75406 8.1R 19981120/35mm/0500+4
000-R-01.mtf ND-00021 ( 702.59, 90.20)
1998 Nov 20.75481 8.0R 19981120/35mm/0500+5
000-R-01.mtf ND-00017 ( 699.30, 437.23)
1998 Dec 9.66478 8.0R 19981209/35mm/0400+4
000-R-01.mtf ND-00017 ( 357.26, 102.34)
J044743.40+451125.6-5.0
1998 Oct 18.69922 <8.6R 19981018/35mm/0500+4
000-R-01X.mtf NC-00003 ( 359.36, 352.92)
1998 Dec 9.66478 <8.7R 19981209/35mm/0400+4
000-R-01.mtf NC-00005 ( 104.86, 47.46)
1998 Dec 9.66611 <8.7R 19981209/35mm/0400+5
000-R-01.mtf NC-00006 ( 131.73, 398.41)
|
※ 都合により、一部強制的に改行しています。
この例の2つの星は、それぞれ次のような意味です。
名前 | 赤経 | 赤緯 | 位置誤差 |
J040709.09+440338.9-73.3 | 04h07m09s.09 | +44o03'38".9 | 73.3" |
J044743.40+451125.6-5.0 | 04h47m43s.40 | +45o11'25."6 | 5.0" |
誤差は、PIXYシステムが出力した位置誤差の3倍の値です。
但し、対応する星表のデータが存在する場合や、PIXYシステムが出力した位置誤差の3倍が5.0"以下である場合は、5.0"と記録されます。
画像名の変更
光度データベースに記録される画像名は、PXFファイルに記録されているものです。
これを別の名前に変更したい場合は、-updateオプションの後に、-imageオプションを指定します。
サンプル画像の画像名を「example」としてデータベースに登録しておく場合は、次のように実行します。
java -Dmisao.home=C:\misao misao.pixy.Pixy -update sample2.pxf -image example
|
バッチモード
光度データベースに光度を登録するPXFファイルをすべて記述したバッチファイルを利用して、複数のPXFファイルを一括して処理することができます。
-updateオプションの後に、-batchオプションを指定し、更にバッチファイル名を指定します。
例えば、バッチファイルを sample.bat とすると、次のように実行します。
java -Dmisao.home=C:\misao misao.pixy.Pixy -update -batch sample.bat
|
バッチファイルには、データベースに登録するPXFファイル名を1行に1ファイルずつ記述します。
sample01.pxf
sample02.pxf
sample03.pxf
|
それぞれに対し、データベースに記録する画像名を変更したい場合は、以下のように、画像名も並べて記述します。
sample01.pxf sample01
sample02.pxf sample02
sample03.pxf sample03
|
|