実行
既知変光星との同定は、PIXYシステムの-identifyオプションで行います。
PIXYシステムでの検査で生成されたPXFファイルを指定して実行します。
また、javaの-Dオプションを使って、プロパティmisao.homeにMISAOホームディレクトリのパスを設定する必要があります。
例として、チュートリアルのサンプル画像を検査した結果のPXFファイル(sample.pxf)を同定します。
また、MISAOホームディレクトリを C:\misao とします。
この時、同定の実行方法は、次のようになります。
java -Dmisao.home=C:\misao misao.pixy.Pixy -identify sample.pxf
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同定の結果は、同じPXFファイルに上書きされます。
画面には、同定の検証のために、同定された星の一覧とそれぞれの位置の差、及び二重同定されているものの一覧が出力されます。
PXFファイル名の後にチェックファイル名を指定すると、同定の検証結果が、チェックファイルにも保存されます。
チェックファイルの拡張子は .icl です。
java -Dmisao.home=C:\misao misao.pixy.Pixy -identify sample.pxf sample.icl
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結果
サンプル画像の同定結果は、次のようになります。
sample2.pxf
既知変光星と同定された星のデータには、既知変光星の名前と、データベースに登録されていたデータが記述されています。
同定前
RM-00004
O=GSC3452.1191
D| 11 48 14.71 +48 31 25.3 mag= 7.53 x= 288.60 y= 280.24
C| GSC3452.1191 11 48 14.69 +48 31 25.7 8.03
M| O-C(Mag)=-0.50 mag
同定後
RM-00004
O=GSC3452.1191
V=HT UMA
S=IRAS 11455+4848
D| 11 48 14.71 +48 31 25.3 mag= 7.53 x= 288.60 y= 280.24
C| GSC3452.1191 11 48 14.69 +48 31 25.7 8.03
R| HT UMA R.A.=11 48 14.70 Decl.=+48 31 25.6 8.275 - 8.39
1 mag (Hp) Sp:M2III
R| IRAS 11455+4848 R.A.=11 48 13.26 Decl.=+48 31 32.4 (33
x 3", p.a.=122) flux(12)=1.65 flux(25)=0.43 flux(60)=<0.4
0 flux(100)=<1.00 5% variable
M| O-C(Mag)=-0.50 mag
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※ 都合により、一部強制的に改行しています。
この星は、PIXYシステムの検査によって、RM、即ち変光星の可能性のある星として出力されたものです。
同定の結果、
HT UMa = IRAS 11455+4848
という既知の変光星であると判明しました。
同定された変光星の名前は、「種類=名前」という書式で記述されています。
種類について、詳しくは同定データベースの天体の種類をご覧下さい。
PXFファイルの末尾には、写野内に存在するが検出されなかった既知変光星のデータが、NRとして記録されています。
該当する位置の(x,y)座標が記述されています。
NR-00002
S=IRAS 11469+4842
D| x= 267.59 y= 187.12
R| IRAS 11469+4842 R.A.=11 49 37.48 Decl.=+48 25 44.0 (55
x 15", p.a.=124) flux(12)=<0.25 flux(25)=<0.25 flux(60)=0
.45 flux(100)=1.47
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※ 都合により、一部強制的に改行しています。
検出されなかった星のデータは、-identifyオプションの後に-noNRオプションを指定することで、出力しないようにできます。
同定結果の検証
画面及びチェックファイルには、同定の検証のために、同定された星の一覧とそれぞれの位置の差、及び二重同定されているものの一覧が出力されます。
[Identification Check List]
HT UMA RM-00004 0.3" 0.1"
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既知変光星名、PIXYシステムが付けた星のID、検出位置との離角、対応する星表のデータの位置との離角、の順に出力されています。
離角があまりにも大きい場合には、同定ミスの可能性があります。
近接した複数の星を分離できなかった場合は、1つの検出星像に対し、複数の星表のデータが対応する場合があります。
また、1つの星のデータが複数記載されている場合もあります。
RP-00002
O=GSC3452.1458
O=GSC3452.1498
N=NGC 3896
N=MCG+08-22-008
D| 11 48 56.60 +48 40 44.9 mag=13.15 x= 355.32 y= 246.40
C| GSC3452.1458 11 48 56.11 +48 40 53.3 13.52
C| GSC3452.1498 11 48 56.43 +48 40 28.3 13.17
R| NGC 3896 (galaxy) R.A.=11h48.9m Decl.=+48o41' size=1.
7' mag=14p
R| MCG+08-22-008 NGC 3896 R.A.=11 48.88 Decl.=+48 40 13.
9 mag
M| O-C(R.A., Decl.)=+4.8", -8.4" (+0.5, -0.9 pixels)
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※ 都合により、一部強制的に改行しています。
この時は、それぞれの星表のデータに対し、離角が出力されます。
MCG+08-22-008 RP-00002 45.0" 46.8" 36.5"
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この場合は、赤経11h48m56s.11、赤緯+48o40'53".3のデータからの離角が46.8秒角、赤経11h48m56s.43、赤緯+48o40'28".3のデータからの離角が36.5秒角です。
星表に掲載されていない星(ND)は、星表のデータに対する離角は出力されません。
また、星表に掲載されているが検出されなかった星(NC)は、検出位置に対する離角は出力されません。
MCG+08-22-007 ND-00001 56.4"
STM0895 NC-00003 0.1"
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同定は、データベースに記録されている位置誤差を元に行っています。
場合によっては、複数の検出星像と同定されてしまうことがあります。
重複して同定された星は、末尾に名前と同定された検出星像の個数が出力されます。
[Double Identifications]
NGC 3928 2
NGC 3893 2
MCG+08-22-019 2
MCG+08-22-007 2
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これらの星のデータは、[Identification Check List] に複数出力されています。
例えば、NGC 3928 のデータは、以下の2つが出力されています。
NGC 3928 PS-00047 73.9" 75.2"
NGC 3928 RM-00002 4.4" 3.8"
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離角から考えて、RM-00002が正しい同定で、PS-00047は同定ミスであると推測できます。
バッチモード
同定を行うPXFファイルをすべて記述したバッチファイルを利用して、複数のPXFファイルに対して一括して同定を行うことができます。
-identifyオプションの後に、-batchオプションを指定し、更にバッチファイル名を指定します。
例えば、バッチファイルを sample.bat とすると、次のように実行します。
java -Dmisao.home=C:\misao misao.pixy.Pixy -identify -batch sample.bat
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バッチファイルには、同定を行うPXFファイル名を1行に1ファイルずつ記述します。
sample01.pxf
sample02.pxf
sample03.pxf
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それぞれに対し、検証のためにチェックファイルを作成したい場合は、以下の
ように、チェックファイル名も並べて記述します。
sample01.pxf sample01.icl
sample02.pxf sample02.icl
sample03.pxf sample03.icl
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