ブルーミング・ストリークの除去
このページでは、PIXYシステム2を使って画像のブルーミングやストリークを除去する方法と、その実行例を紹介します。
CCDカメラで撮影した画像の写野内に明るい星が入ると、ブルーミングやストリークといった現象が発生します。
ブルーミングとは、明るい星が飽和してしまい、溢れた光が縦に強烈な線となって現われるものです。PIXYシステムは星の位置を、ピクセル値の重心として求めますが、ブルーミングが発生すると、溢れた光の線によって重心の位置がずれてしまいます。その結果、星表と比較した際に、検出された明るい星の該当位置にデータが見つからず、誤って「新天体」と出力されてしまいます。
ストリークとは、明るい星の片側に、刷毛で掃いたような、彗星の尾のような光の帯が現われるものです。ストリークの起きている場所のピクセル値は他の場所より高いため、PIXYシステムが誤ってノイズを検出し、「新天体」として出力してしまうことがあります。
ブルーミングやストリークは、画像を観賞する上で邪魔になるだけでなく、PIXYシステムを使った画像の自動検査でも、問題を引き起こします。PIXYシステム2を使うと、画像からブルーミングやストリークを削除することができます。
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処理前
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処理後
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PIXYシステム2を使ってブルーミングやストリークを除去する手順は、次の通りです。
- メイン画面のメニューの[Tools] - [View Image]を選び、画像を開く。
- マウスの右ボタンを押し、ポップアップメニューの[Streak Cancel Filter]もしくは[Blooming Cancel Filter]を選ぶ。
- しばし待つ。
- マウスの右ボタンを押し、ポップアップメニューの[Save]を選び、画像を保存する。
実行例
M45 (画像提供:村松利一氏)
元画像です。
FITS画像
ブルーミング除去フィルター処理後です。多数の星がブルーミングを起こしていますが、ブルーミング除去フィルターによって消されています。
FITS画像
2000 UV13 (画像提供:門田健一氏)
元画像です。
FITS画像
処理後です。ブルーミングとストリークが同時に発生していますが、最初にストリーク除去フィルター、次にブルーミング除去フィルターを適用した結果、どちらもほぼ消すことができています。また、斜鏡による十字型の模様や、ストリーク内の星は、消されずに残されています。
FITS画像
輝度を抑えてキャプチャーした画像(処理前)。
輝度を抑えてキャプチャーした画像(処理後)。
M31 (画像提供:門田健一氏)
元画像です。
FITS画像
ストリーク除去フィルター処理後です。ストリークが無く、淡い星雲が写っている画像ですが、ストリーク除去フィルターを適用しても、星雲は消えません。
FITS画像
これらのフィルター、特にストリーク除去フィルターは、処理に時間がかかります。コンピュータや画像サイズに依りますが、1分から10分ほどの時間がかかります。
現在のバージョンでは、いくつかの制限があります。
- ストリークは水平方向に伸びていなければなりません。
- ブルーミングは垂直方向に伸びていなければなりません。
- 2つ以上の星を貫くブルーミングや、ブルーミングの線だけあって星が写野内に無いような場合は、想定していません。
実際に処理した画像がまだ少ないため、画像によってはうまく除去できないことがあると思われます。そのような場合は、吉田誠一までご連絡ください。
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