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Updated on July 7, 1996 |
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1996年7月に見える彗星のランキングはこのようになりました。
世紀の大彗星ヘール-ボップ彗星(C/1995 O1)が本当に明るくなってきました。 既に5等台の報告もあり、早くも肉眼彗星となっています。今年の夏はこの彗 星で決まりです。 7月4日、夕空に新彗星ブリュウィントン彗星(C/1996 N1)が発見されました。 これからしばらく10等で夕空に見えるようです。また、コプフ周期彗星(22P) が今月近日点を通過し、最も明るく8等台になっています。今月はこの3彗星が 眼視観測の対象です。 写真などでは、他にガン周期彗星(65P)が12等台と明るめです。 3月下旬に地球に0.10AUまで接近し、光度0等、尾の長さ100度の大彗星になっ た百武彗星(C/1996 B2)は南天に去りました。5月1日に近日点を通過し、今後 は徐々に暗くなっていきます。近日点通過後は3→6等と、予想よりも暗めになっ ています。
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ちょうど1年前の1995年7月に11等で発見された、世紀の大彗星ヘール-ボップ
彗星〔C/1995 O1 (Hale-Bopp)〕がいよいよ明るくなってきました。昨年秋に
西に沈む時には10等ほどだったのですが、いったん太陽と合になった後、2月
に再び明け方の空に姿を現した時には8等台になっていました。その後も順調
に増光し、5月には7等台、6月には6等とかなり明るくなってきています。既に
5等台との報告もあります。5cmのファインダーでも分かる程で、視直径も既に
10′と満月の3分の1大になっており、この夏休みは大いに期待が持てます。
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| 日付 | 時刻 | 彗星光度 | 星名 | 星の光度 |
| 7月30日 | 20:30 | 5.8等 | PPM201505 | 9.5等 |
| 9月 4日 | 21:51 | 5.3等 | PPM200854 | 9.8等 |
彗星は9月下旬まで西に進んだ後、へびつかい座の中で10月以降は北上に転じ ます。ただ、その動きはまだあまり速くなく、12月初めにいったん西空に沈む までずっとへびつかい座にいます。光度は予報どおりならば、12月初めに4等 にまでなっているでしょう。
年末年始の頃は太陽に近く見えませんが、来年に入って、1月中旬には今度は 明け方の空に姿を現します。3月中旬までは明け方の空に見えることになりま すが、この間に彗星は2等から-1等へと急激に明るく成長していきます。3月9 日にはモンゴル・シベリア皆既日食がありますが、この日食中にも頭上高く肉 眼で彗星を見ることができると期待されています。日食中の肉眼彗星は115年 ぶりだそうです。3月20日頃また一旦太陽を追い抜きますが、この合の時には 太陽の北に45°も離れ、光度ももっとも明るく予報では-1等ですので、夕方と 明け方の両方で楽に見られるでしょう。3月下旬から5月末までは夕空に廻り、- 2等から1等へとゆっくりと減光していきます。夕空にまわってからは南下し、 5月下旬に1等級で西空に沈んだ後はしばらく見えなくなります。その後秋になっ て、9月から10月にかけて明け方の南東の空低く、5等級で再び姿を現しますが、 彗星が南下を続けるため11月にはまた見えなくなります。そしてその後は二度 と地平線から昇ってくることはありません。
1月31日の朝に鹿児島の百武裕司氏によって発見された百武彗星〔C/1996 B2
(Hyakutake)〕は1976年のヴェスト彗星以来の大彗星になりました。3月25日に
地球に0.10AUまで接近し、その頃には光度0等、尾の長さは100度にも達し、真
夜中にほぼ天頂付近という絶好の条件で、一晩中その雄姿を堪能することがで
きました。また、望遠鏡では星々の間を彗星がどんどん動いていく様子が観測
できました。
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今年回帰する周期彗星の中で最も期待されていたコプフ周期彗星〔22P/Kopff〕
がいよいよ今月2日に近日点を通過します。しかも現在いて座にあり、ほぼ衝
という最良の条件です。
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今月4日にアメリカ・ニューメキシコのブリュウィントン氏によって、夕空の
しし座に10等の新彗星、ブリュウィントン彗星〔C/1996 N1 (Brewington)〕が
発見されました。現在のところの軌道要素によると、近日点通過は8月3日で、
近日点距離は0.9AU程度のようです。今度しばらく夕空に位置し、来月いっぱ
いまでは10等程度で眼視観測できそうです。
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8月31日に近日点を通過するヴィルト第4周期彗星〔116P/Wild 4〕ですが、今
回帰の条件は悪く、近日点通過の時には太陽に近く観測できません。既に6月
には西空低くなり、今月からは観測できなくなっています。
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秋から冬にかけて11等で見えると予想されているアイラス周期彗星〔P/1983
M1 (IRAS)〕ですが、7月初めになってもまだ検出されていません。現在彗星は
日本からは観測できない位置にいますが、南半球での条件は非常に良く、今月
は13.5等から12.5等にまで明るくなってくるはずですので、さすがに検出され
るのではと思われます。
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ガン周期彗星〔65P/Gunn〕が今月24日に近日点を通過します。今回の回帰では
近日点通過の頃に衝に近く条件が良いため、眼視観測される可能性もあったの
ですが、実際には光度上昇はそれほど急激ではなく、結局12等止まりのようで
す。昨年1月以降の光度観測からの光度式は
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| 最接近 | 期間 | 彗星 | 天体 | 種類 | 等級 | 視直径 | 離角 |
| 8月16日 | 〜17日 | 13等 | M4 | 球状星団 | 5.9等 | 26′ | 前面通過 |
| 8月16日 | 12日間 | 13等 | M4 | 球状星団 | 5.9等 | 26′ | 1°以内 |
| 8月20日 | 12日間 | 13等 | アンタレス | 1.0等 | 1°以内 | ||
| 9月17日 | 4日間 | 13.5等 | M62 | 球状星団 | 6.5等 | 14′ | 2° |
| 9月17日 | 4日間 | 13.5等 | M19 | 球状星団 | 7.1等 | 14′ | 3° |
| 9月25日 | 13.5等 | NGC6304 | 球状星団 | 8.3等 | 7′ | 40′ | |
| 9月26日 | 13.5等 | NGC6316 | 球状星団 | 9.0等 | 5′ | 1.5° |
但し、彗星の明るさがかなり暗いため、接近を楽しむのは難しいかもしれませ ん。
5月10日に16等で発見されたばかりの新彗星エヴァンス-ドリンクウォーター彗
星〔C/1996J1 (Evans-Drinkwater)〕です。発見光度は16等と暗いのですが、
どうやら実際の光度はそれよりも2等程明るく、14等程度のようです。この彗
星の近日点通過は半年以上も先の1997年1月2日頃で、近日点距離は1.2AUです。
今後徐々に増光して、近日点通過の頃には9〜10等に達します。
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先月6月10日に近日点を通過したコマスソラ周期彗星〔32P/Comas Sola〕は既
に西空に沈み、観測できなくなっています。今回帰は条件は悪かったのですが、
光度は予想よりも明るめに観測されました。今年は3月までずっと15等程度で
した。昨年8月に20等で捉えられて以来の光度変化は、
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2月に11等にも達する大バーストを起こしたシュヴァスマン-ヴァハマン第1周
期彗星〔29P/Schwassmann-Wachmann 1〕ですが、その後は極めて拡散してしま
い、観測が難しい状態が続いていました。3〜4月は視直径4〜5′程度まで大き
く拡散していましたが、最近は視直径1′以下にまで小さくなってきているよ
うです。また、5月からは報告される光度も減光してきて、6月中旬には14等程
度になったようです。
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今年の3月15日に発見された新彗星NEAT彗星〔C/1996 E1 (NEAT)〕です。
この彗星については14等程度の明るさで見ている人もいるようですが、実際は
16等程度のようです。近日点通過は今月7月27日ですが、地球との位置関係か
ら今後徐々に増光して、秋には14等になると思われます。
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今月5月12日に近日点を通過したヴェスト-ハートリー周
期彗星〔123P/West-Hartley〕は、予想よりも急激に増光し、今年は14.5〜
15等で観測されました。これまでの観測からの光度式は
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1月17日に近日点を通過したチュリュモフ-ゲラシメンコ
周期彗星〔67P/Churyumov-Gerasimenko〕は近日点通過の頃に1.5等程増光
し、その後順調に減光していく様子が観測されました。近日点通過前後の式を
並べると、
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| 小惑星から彗星になったキロン周期彗星〔95P/Chiron〕 ですが、今月もスピカの西で、夕空にずいぶんと低くなり、観測は難しく なっています。今年2月に初めての近日点通過を迎えましたが、近日点距離が 8.5AUもあるので特に変化はなく、ずっと15等台の恒星状でした。今年の観測 時期はこれで終了ですが、近日点距離の大きさと、小惑星のように鈍い光度変 化をすることにより、CCDを使えば今後数年間は追い続けることができます。 概略の光度変化は、2000年頃に16等、2002年頃に17等、2004年頃に18等でしょ う。 |
| 5月29日に近日点を通過したはずのデニング-藤川周期彗 星〔72P/Denning-Fujikawa〕ですが、今回帰もまた観測されることなく去っ ていくようです。光度変化が極めて急激で、近日点通過の頃にしか観測できる 明るさになりません。今回帰では春に南半球でわずかな可能性がありましたが、 結局見つかりませんでした。既に太陽に近くなって観測できない位置にいます。 今後、9月にはようやく日本から明け方の空に観測できる位置に来ますが、そ の頃には24等以下になっており、とても観測できないでしょう。 |
| 来年3月に近日点を通過し、その頃10等級になると予想されるワータネン周期彗星〔46P/Wirtanen〕ですが、今回帰で はまだ誰も観測していません。現在夜半過ぎの南の空低く、みなみのうお座に 17等で見えているはずです。そろそろCCDの範囲に入って来ます。尚、近くに は初回帰のホルト-オルムステッド周期彗星もいます。こちらは18等ですが、 観測すれば検出になります。 |
| 初回帰のスペースウォッチ彗星〔125P/Spacewatch〕 は3月に17等で検出され、その後もずっと17等で観測されています。今月 14日に近日点を通過し、今後は暗くなっていきます。現在おとめ座で、夕空に 低くなってきました。彗星は太陽に追われるように急速に東進しており、11月 下旬に沈むまで西空低く同じような位置に見えます。その頃にはいて座で19〜 20等になっているでしょう。 |
| 10月に近日点を通過する、近日点距離が0.12AUと極端に小さいことで有名なマックホルツ第1周期彗星〔96P/Machholz 1〕は、今回 帰ではまだ観測されていませんが、そろそろCCDの範囲に入ってきます。現在 彗星は小マゼラン雲の近くで、北半球からは見えません。明るさは18.5→16.5 等と暗いので、観測されるのはもう少し後になるでしょう。来月8月27日には、 かの百武彗星と20′まで接近します。この時百武彗星は10等、マックホルツ第 1周期彗星は14.5等です。今回の回帰では南半球での条件が良く、来月初めに は天の南極に2°まで接近し、7〜8月は周極星となって一晩中観測できる位置 にいます。その後北上しますが、南半球では9月下旬に11等になるまで観測で きるでしょう。近日点通過の頃は計算上は2等にまでなりますが、太陽に近く て観測できません。その後もずっと太陽に近い状態が続き、日本で見られるよ うになる来年3月下旬には既に20等以下となってしまうでしょう。事実上、日 本からは今回帰の観測はできません。 |
| 1997年11月に近日点を通過するシューメーカー-ホル ト第1周期彗星〔P/1987 U1 (Shoemaker-Holt 1)〕はまだ検出されていま せんが、現在明け方の南の空高く、うお座で17等になっているはずです。予報 光度どおりであればそろそろ検出される頃だと思います。CCDが使える人は狙っ てみてはどうでしょう。今シーズンはまだ近日点通過1年前ですので、夏から 秋にかけて16.5等程度になります。来年2月に17等で西に沈みますが、7月にま た16等で明け方に現れ、11月には15等にまでなります。その後も1〜2年程は観 測されるでしょう。 |
| 初回帰のヘリン-ローマン-アルー第1周期彗星 〔117P/Helin-Roman-Alu 1〕は昨年5月の検出以来ずっと17等で観測されて いましたが、今月は西に低くなり、観測はいったん終了です。近日点通過は 1997年3月、近日点距離が3.7AUなので、来年5月にまた17等で観測できるよう になります。 |
| 1月に衝の位置で16等で発見された新周期彗星ジェディ ク周期彗星〔P/1996 A1 (Jedicke)〕は、その後5月まで16等台で観測され ました。既に西空に沈み、次に観測できる位置にくるのは11月です。彗星は既 に近日点を通過していますが、近日点距離が4AUよりも大きいため、11月から 来年4月頃まで、17.5〜18等でなんとか観測できると思われます。 |
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昨年の12月26日の朝に発見され、2〜3月にかけて8等まで明るくなった百武彗星〔C/1995Y1 (Hyakutake)〕は4月に11等になっ
た後に大減光し、5月下旬には16等にまで暗くなりました。その前後の光度式
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| 実に21回目の回帰を迎えたポン-ヴィネッケ周期彗星 〔7P/Pons-Winnecke〕ですが、今回帰はずっと太陽に近いため、全く見る ことができませんでした。今月はくじら座で、ようやく明け方の空に見え始め ます。しかし、明るさは既に17〜18等以下で、かなり厳しいでしょう。尚、今 回帰では、既に1995年1月に21等で観測されています。 |
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1月27日、アメリカ・テキサス州のシュチェパンスキー氏によって回転花火星
雲M101の近くで発見され、百武彗星と同じく2〜3月にかけて8等まで明るくなっ
たシュチェパンスキー彗星〔C/1996 B1
(Szczepanski)〕は、4月には12〜13.5等にまで急落し、西空に沈みました。
ここでは光度式を
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来年2月に近日点を通過する、初回帰のホルト-オルム
ステッド周期彗星〔P/1990 R2 (Holt-Olmstead)〕が明け方の空に姿を現
し始めます。まだ明け方の南の空低く、みなみのうお座で、光度も18等以下で
すが、9月には17.5等になり、その頃番号登録されるのではと思われます。今
回帰の条件は良くなく、近日点通過の頃は太陽に近く観測しづらく、光度も
18.5等程度です。今年の秋の方が光度も約1等程明るく、衝をすぎたばかりで
位置的条件も良く、検出されるなら今年の夏から秋にかけてでしょう。
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m1 = -2.0 + 5 log Δ + 10.0 log r
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m1 = 5.0 + 5 log Δ + 8.5 log r
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m1 = 5.3 + 5 log Δ + 21.0 log r
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m1 = 10.5 + 5 log Δ + 10.0 log r
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m1 = 1.4 + 5 log Δ + 27.0 log r
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m1 = 6.0 + 5 log Δ + 20.0 log r
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m1 = 7.7 + 5 log Δ + 10.0 log r
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m1 = 6.5 + 5 log Δ + 10.0 log r
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m1 = 5.5 + 5 log Δ + 22.5 log r
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m1 = 4.0 + 5 log Δ + 7.5 log r
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m1 = 12.0 + 5 log Δ + 10.0 log r
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m1 = 1.6 + 5 log Δ + 35.0 log r
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m1 = 9.3 + 5 log Δ + 11.5 log r
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m1 = 4.0 + 5 log Δ + 7.5 log r
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m1 = 15.5 + 5 log Δ + 25.0 log r
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m1 = 9.0 + 5 log Δ + 15.0 log r
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m1 = 13.5 + 5 log Δ + 15.0 log r
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m1 = 13.0 + 5 log Δ + 12.0 log r
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m1 = 8.5 + 5 log Δ + 10.0 log r
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m1 = 6.0 + 5 log Δ + 15.0 log r
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m1 = 3.0 + 5 log Δ + 17.0 log r
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m1 = 10.5 + 5 log Δ + 15.0 log r
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m1 = 10.0 + 5 log Δ + 15.0 log r
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m1 = 4.2 + 5 log Δ + 30.0 log r
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m1 = 11.0 + 5 log Δ + 15.0 log r
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