周期彗星の発見と、その命名についての考察

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Updated on October 9, 2022

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・ 概要

彗星の発見。それは、今まで誰にも知られていなかった未知の彗星を、世界で最初に見つけることである。

彗星の中には、太陽のまわりを楕円軌道で回っており、何年かごとに繰り返し戻ってくるものがある。こうした彗星を、周期彗星と呼ぶ。戻ってきた周期彗星を捉えても、それは発見とは呼ばない。

だが実際には、軌道が不確かだったり、長い間見失われてしまったりして、いつ戻ってくるか予報できないことも多い。こうした周期彗星は、戻ってくるたびに二度、三度と発見し直されてしまう。

こうした周期彗星が、本当の意味で発見されたのは、いつと考えるべきなのか。ここでは、過去の事例を基に、周期彗星の「発見」の定義を考える。

また、ここでの「発見」の定義に基づくと、周期彗星の命名がどのように導かれるのかを検証する。

・ 分析

o 周期彗星の発見

これまでに知られている周期彗星の発見事情を分析すると、周期彗星の「発見」の定義は、次のように考えられる。

  • 彗星として発見され、周期性が計算された時点で、周期彗星としての「発見」となる。
  • 先に彗星として発見されていても、周期性が計算されていなければ、周期彗星としての「発見」にはならない。
    • 例: 紀元前240年の、中国の 1P/Halley の記録。
      1P/Chinese Comet とは呼ばれない。
    • 例: 1678年の La Hire の発見。
      6P/La Hire とは呼ばれず、6P/d'Arrest と呼ばれる。
  • 周期が不確かで、見失われてしまっても、周期彗星としては「発見」済み。後に偶然に再発見された場合も、周期彗星としては「発見」にはならない。
    • 例: 1995年の D/de Vico の再発見。
      122P/de Vico-Nakamura-Tanaka とは呼ばれない。
  • 先に小惑星として発見され、周期が確定していれば、周期彗星としての「発見」となる。後に彗星として再発見されても、既知の小惑星の彗星活動を捉えたものと見なされる。
    • 例:2017年の PanSTARRS による P/2017 B1 の発見。
      Lemmon によって発見された 2010 EY90 の周期が確定していたので、349P/Lemmon-PanSTARRS とは呼ばれず、349P/Lemmon と呼ばれる。
  • 先に小惑星として発見されていても、周期が確定していなければ、周期彗星としての「発見」にはならない。後に偶然に彗星として再発見されると、そちらが周期彗星としての「発見」として認められる。
    • 例:1925年の Shajn による小惑星 1925 QD の発見。
      36P/Shajn-Whipple とは呼ばれず、36P/Whipple と呼ばれる。

なお、ここでは、周期彗星が何度も回帰を繰り返す中で、その周期彗星が「発見」された回帰を1つだけ定めるための定義を考えている。同一の回帰の中での発見者の優先順位を考えたものではない。

この定義では、周期彗星の「発見」は、その天体が世界で最初に見つけられた時点を表してはいない。「発見」される前にも、回帰した記録が残されていることがある。

また、この定義では、周期彗星の「発見」と、実際に世の中に彗星の存在が知られた時期とは、一致しない。例えば、D/1977 C1 ( Skiff-Kosai ) は、この定義による「発見」は1976年だが、公表されたのは1986年である。1984年は「発見」後の回帰となるが、実際には誰もこの天体の存在を知らなかった。

o 周期彗星の命名

前述した周期彗星の「発見」の定義に基づいて、周期彗星の命名についての定義を導くと、次のように考えられる。

  • 周期彗星の名前は、周期彗星として「発見」された時点での発見者の名前が命名される。
  • 周期彗星として「発見」される前に、その天体が発見されていた場合については、下記の通り。
    1. 周期彗星として「発見」された際に、同時に同定された場合は、両者の名前が付けられる。
      • 例: P/1858 E1 ( Winnecke ) の発見と同時に、C/1819 L1 ( Pons ) と同定された。
        7P/Pons-Winnecke と命名された。
    2. 同定によって、周期彗星として「発見」された場合は、計算者の名前を付けることもある。
      • 例: 1P/Halley
    3. 周期彗星として「発見」され、後に同定された場合は、たとえ先に発見していても、以前の発見者の名前は削除される。
      • 例: 1851年に 6P/d'Arrest が発見され、後に C/1678 R1 ( La Hire ) と同定された。
        6P/La Hire-d'Arrest とは改名されず、6P/d'Arrest のまま。
  • 周期彗星として「発見」された後に、行方不明になっていた彗星を再発見した場合については、下記の通り。
    1. 1994年までは、再発見者の名前が加えられる。
      • 例: 1991年の、Brewington による D/Metcalf の再発見。
        97P/Metcalf-Brewington と改名された。
    2. 1995年からは、再発見者の名前は加えられない。
      • 例: 1995年の D/de Vico の再発見。
        122P/de Vico-Nakamura-Tanaka-Utsunomiya と改名されず、122P/de Vico のまま。

・ 考察

繰り返し何度も発見されてきた周期彗星について、前述の定義に基づいて評価を行い、定義が妥当かどうかを検証する。

o 1P/Halley

紀元前240年以降、すべての回帰で観測されているが、古代は記録が残っているだけである。中世には軌道が計算されたが、放物線軌道であり、周期性は計算されなかった。

1682年の回帰の後、Halley が C/1531 P1, C/1607 S1, C/1682 Q1 の3彗星を同定し、初めて周期性を計算した。よって、周期彗星としての発見は、1682年の回帰となる。

o 2P/Encke

1786年に Mechain が、1795年に Herschel が、1805年に Pons, Huth, Bouvard が、1818年に Pons がそれぞれ発見した。

1819年の回帰の後、Encke がこれらの彗星を同定し、初めて周期性を計算した。よって、周期彗星としての発見は、1819年の回帰となる。

o 3D/Biela

1772年に Montaigne が、1805年に Pons が、1826年に Biela がそれぞれ発見した。

1806年の時点で、Gaussが1772年と1805年の2彗星を同定し、周期性を計算していた。そのため、周期彗星としての発見は、1805年の回帰(Pons による発見)となる。1826年の Biela の発見は、検出と見なされる。

この定義によれば、彗星の名前は、本来は 3D/Montaigne-Pons-Biela となるべきである。

o 6P/d'Arrest

1678年に La Hire が発見した彗星が、1990年になって、6P/d'Arrest と同定された。

1678年の彗星は、周期性が計算されていなかった。そのため、周期彗星としての発見は、1851年の回帰(d'Arrest による発見)となり、La Hire の名前は削除された。

o 7P/Pons-Winnecke

1819年に Pons が、1858年に Winnecke がそれぞれ発見した。1858年の発見の際に同定された。

1819年には周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、1858年の回帰(Winnecke による発見)となる。

o 8P/Tuttle

1790年に Mechain が、1858年に Tuttle がそれぞれ発見した。1858年の発見の際に同定された。

1790年には周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、1858年の回帰(Tuttle による発見)となる。

この定義によれば、彗星の名前は、本来は 8P/Mechain-Tuttle となるべきである。

o 11P/Tempel-Swift-LINEAR

1869年に Tempel が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1880年の Swift の発見は、検出と見なされる。

2001年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 11P/Tempel-Swift となるべきである。

o 12P/Pons-Brooks

1812年に Pons が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1883年の Brooks の発見は、検出と見なされる。

o 18D/Perrine-Mrkos

1896年に Perrine が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1955年の Mrkos の発見は、検出と見なされる。

o 21P/Giacobini-Zinner

1900年に Giacobini が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1913年の Zinner の発見は、検出と見なされる。

o 23P/Brorsen-Metcalf

1847年に Brorsen が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1919年の Metcalf の発見は、検出と見なされる。

o 26P/Grigg-Skjellerup

1902年に Grigg が、1922年に Skjellerup がそれぞれ発見した。1922年の発見の際に同定された。

1902年には周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、1922年の回帰(Skjellerup による発見)となる。

o 27P/Crommelin

1818年に Pons が、1873年に Coggia, Winnecke が、1928年に Yamasaki, Forbes がそれぞれ発見した。

1818年には周期性が計算されていなかった。だが、1873年には、1818年の彗星と同定され、周期性が計算されていた。そのため、周期彗星としての発見は、1873年の回帰(Coggia, Winnecke による発見)となる。

1P/Halley、2P/Encke と異なり、Crommelin の研究は、周期彗星として発見された後で行われた。そのため、この定義によれば、彗星の名前は、本来は 27P/Pons-Coggia-Winnecke-Yamasaki-Forbes となるべきである。

o 35P/Herschel-Rigollet

1788年に Herschel が、1939年に Rigollet がそれぞれ発見した。1939年の発見の際に同定された。

1788年には周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、1939年の回帰(Rigollet による発見)となる。

o 36P/Whipple

Shajn が発見した小惑星 1925 QD が、1987年になって、36P/Whipple と同定された。

小惑星 1925 QD は、周期が確定していなかったため、周期彗星としての発見は、1933年の回帰(Whipple による発見)となる。Shajn の名前は除外された。

o 38P/Stephan-Oterma

1867年に Stephan が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1942年の Oterma の発見は、検出と見なされる。

o 41P/Tuttle-Giacobini-Kresak

1858年に Tuttle が、1907年に Giacobini が、1951年に Kresak がそれぞれ発見した。

1858年の時点で周期性が計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1907年の Giacobini の発見、1951年の Kresak の発見は、検出と見なされる。

o 43P/Wolf-Harrington

1924年に Wolf が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1951年の Harrington の発見は、検出と見なされる。

o 54P/de Vico-Swift-NEAT

1844年に de Vico が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1894年の Swift の発見は、検出と見なされる。

2002年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 54P/de Vico-Swift となるべきである。

o 64P/Swift-Gehrels

1889年に Swift が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1973年の Gehrels の発見は、検出と見なされる。

o 72P/Denning-Fujikawa

1881年に Denning が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1978年の Fujikawa の発見は、検出と見なされる。

o 74P/Smirnova-Chernykh

小惑星 1967 EU が、1980年代になって、74P/Smirnova-Chernykh と同定された。

小惑星 1967 EU は、周期が確定していなかったため、周期彗星としての発見は、1975年の回帰(Smirnova, Chernykh による発見)となる。小惑星 1967 EU の発見者の名前は除外された。

o 79P/du Toit-Hartley

1945年に du Toit が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1982年の Hartley の発見は、検出と見なされる。

o 80P/Peters-Hartley

1846年に Peters が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1982年の Hartley の発見は、検出と見なされる。

o 97P/Metcalf-Brewington

1906年に Metcalf が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1991年の Brewington の発見は、検出と見なされる。

o 104P/Kowal 2

1973年に Boethin が発見した彗星が、2003年になって、104P/Kowal 2 と同定された。

1973年の彗星は、周期性が計算されていなかった。そのため、周期彗星としての発見は、1979年の回帰(Kowal による発見)となり、Boethin の名前は除外された。

o 107P/(4015) Wilson-Harrington

1949年に Wilson, Harrington が彗星 D/1949 W1 として発見した。後に、1979年に Helin が、小惑星 1979 VA として発見した。D/1949 W1 は軌道が不確かで行方不明になっていたため、この2つは別の天体と思われていた。

小惑星 1979 VA の周期が確定し、(4015) として登録された後、1992年になって、小惑星 (4015) と彗星 D/1949 W1 が同定された。

だが、1949年には Cunningham によって周期性も計算されていたため、この時が周期彗星としての発見となる。Helin の名前は除外された。

o 109P/Swift-Tuttle

1737年に Kegler が発見した彗星が、1970年代になって、P/Swift-Tuttle と同定された。

1737年の彗星は周期性が計算されていなかった。そのため、周期彗星としての発見は、1869年の回帰(Swift, Tuttle による発見)となり、Kegler の名前は削除された。

o 122P/de Vico

1995年に Nakamura, Tanaka, Utsunomiya, Seki, Machholz によって発見された。だが、1846年に発見された D/de Vico と同定された。

1846年に周期性が計算されていたため、周期彗星としての発見はこの時となる。1995年の再発見者の名前は除外された。

o 133P/(7968) Elst-Pizarro

小惑星 1979 OW7 が、後に 133P/Elst-Pizarro と同定された。

小惑星 1979 OW7 は、周期が確定していなかった。周期が確定し、小惑星 (7968) として登録されたのは、同定された後である。そのため、周期彗星としての発見は、1996年の回帰(Elst, Pizarro による発見)となる。小惑星 1979 OW7 の発見者の名前は除外された。

o 139P/Vaisala-Oterma

Vaisala, Oterma が発見した小惑星 1939 TN は、1981年になって彗星と判明した。

後に、LINEAR が発見した小惑星 1998 WG22 が、1939 TN と同定された。

1981年の時点で周期性が計算されていたため、周期彗星としての発見は、1939年の回帰(Vaisala, Oterma による発見)となる。LINEAR の名前は除外された

o 146P/Shoemaker-LINEAR

2000年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 146P/Shoemaker となるべきである。

o 148P/Anderson-LINEAR

1963年に Anderson が発見した。周期性も計算されていたため、この時が周期彗星としての発見となる。

2000年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 148P/Anderson となるべきである。

o 153P/Ikeya-Zhang

2002年に Ikeya, Zhang, Raymundo が発見した彗星は、1661年に Hevelius が観測した彗星と同定された。

1661年の彗星は周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、2002年の回帰となる。

1661年の彗星は、公式には命名されていなかった。だが、もし Hevelius の名前が付けられていたとしたら、周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は 153P/Hevelius-Ikeya-Zhang となっていたはず。

o 156P/Russell-LINEAR

1986年に Russell が彗星として、1993年に Shoemaker が小惑星 1993 WU として、2000年に LINEAR が小惑星 2000 QD181 としてそれぞれ発見した。

1986年の彗星は、存在を確認できなかった。また、1993 WU は軌道が不確かで行方不明になっていた。そのため、2000 QD181 が発見された時点では、この3つの天体は別の天体と思われていた。

2001年になって、小惑星 1993 WU と 2000 QD181 が同定された。この時点では、小惑星として番号登録されておらず、軌道は確定していなかった。

2003年になって、この小惑星と、1986年の彗星が同定された。この同定によって、周期彗星として発見されたことになる。そのため、周期彗星としての発見は、2000年の回帰(LINEAR による発見)となる。

1986年には周期性が計算されておらず、周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は 156P/Russell-LINEAR となる。

o 158P/Kowal-LINEAR

1979年に Kowal が彗星 C/1979 O1 として、2001年に LINEAR が小惑星 2001 RG100 としてそれぞれ発見した。

2003年になって、2001年の小惑星が彗星と判明した際に、1979年の彗星と同定された。

1979年には周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、2001年の回帰(LINEAR による発見)となる。

周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は 158P/Kowal-LINEAR となる。

o 169P/NEAT

2002年に NEAT が小惑星 2002 EX12 として発見した。2005年になって、彗星と判明した。

彗星として再発見された訳ではないので、小惑星として発見された2001年の回帰が、周期彗星としての発見となる。

o 174P/(60558) Echeclus

2000年に Spacewatch が小惑星 2000 EC98 として発見した。(60558) として番号登録された後、2005年になって、彗星と判明した。

彗星として再発見された訳ではないので、小惑星として発見された2015年の回帰が、周期彗星としての発見となる。但し、彗星であることが判明したのも、同じ2015年の回帰中である。

o 176P/(118401) LINEAR

1999年に LINEAR が小惑星 1999 RE70 として発見した。(118401) として番号登録された後、2006年になって、彗星と判明した。

彗星として再発見された訳ではないので、小惑星として発見された2000年の回帰が、周期彗星としての発見となる。

o 206P/Barnard-Boattini

1892年に Barnard が発見した。周期性も計算されていたため、この時が周期彗星としての発見となる。

2008年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 206P/Barnard となるべきである。

o 226P/Pigott-LINEAR-Kowalski

1783年に Pigott が発見した。周期性も計算されていたため、この時が周期彗星としての発見となる。

2003年に LINEAR が再発見した時点では、1783年に Pigott が発見した彗星との同定は、確定しなかった。 2009年に Kowalski が再発見した時点で、同定が確定した。

2003年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 226P/Pigott となるべきである。

o 271P/van Houten-Lemmon

1960年に van Houten が発見した。周期性も計算されていたため、この時が周期彗星としての発見となる。

2012年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 271P/van Houten となるべきである。

o 274P/Tombaugh-Tenagra

1931年に Tombaugh が発見した。周期性も計算されていたため、この時が周期彗星としての発見となる。

2012年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 274P/Tombaugh となるべきである。

o 302P/Lemmon-PanSTARRS

2014年に PanSTARRS が彗星として発見した際に、2007年に Lemmon が発見した小惑星 2007 RJ236 と同定された。

小惑星 2007 RJ236 は、周期が確定していなかった。 この同定によって周期性が計算され、周期彗星として発見されたことになる。そのため、周期彗星としての発見は、2016年の回帰(PanSTARRS による発見)となる。

周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は 302P/Lemmon-PanSTARRS となる。

o 351P/Wiegert-PanSTARRS

2016年に PanSTARRS が彗星として発見した際に、周期性が計算されて、2007年に Wiegert が発見した彗星と同定された。

2007年には周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、2015年の回帰(PanSTARRS による発見)となる。

周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は 351P/Wiegert-PanSTARRS となる。

o 407P/PanSTARRS-Fuls

2013年に PanSTARRS が発見した彗星と、2019年に Fuls が発見した彗星が、2020年に同定された。

2013年に周期性も計算されていたため、2013年が周期彗星としての発見となる。

そのため、彗星の名前は、本来は PanSTARRS となるべきである。

o 437P/Lemmon-PanSTARRS

2021年に PanSTARRS が彗星として発見した際に、2011年に Lemmon が発見した小惑星 2011 UE215 と同定された。

小惑星 2011 UE215 は、周期が確定していなかった。 この同定によって周期性が計算され、周期彗星として発見されたことになる。そのため、周期彗星としての発見は、2021年の回帰(PanSTARRS による発見)となる。

周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は 437P/Lemmon-PanSTARRS となる。

この彗星は、初め 437P/PanSTARRS と公表されたが、後に 437P/Lemmon-PanSTARRS と変更された。

o 443P/PanSTARRS-Christensen

2022年に Christensen が彗星として発見した際に、周期性が計算されて、P/2022 E1 ( Christensen ) として公表された。

その後、2015年に PanSTARRS が発見した小惑星 2015 PO210 と同定された。

小惑星 2015 PO210 は、周期が確定していなかった。 また、同定されたのは、周期彗星 P/2022 E1 ( Christensen ) として発見された後である。

そのため、彗星の名前は、本来は Christensen となるべきである。

o P/2016 PM1 = P/2010 LK36 = P/2022 C4 ( WISE-PanSTARRS )

2016年に PanSTARRS が小惑星として発見した際に、2010年に WISE が発見した小惑星 2010 LK36 と同定され、周期性が計算された。 但し、この時点では、彗星としては判明していなかった。

2022年の回帰で、彗星と判明した。 彗星として再発見された訳ではないので、小惑星として発見された2016年の回帰が、周期彗星としての発見となる。

周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は P/WISE-PanSTARRS となる。

o P/2000 OZ21 = P/2022 M1 ( LONEOS-PanSTARRS )

2022年に PanSTARRS が彗星として発見した際に、周期性が計算されて、P/2022 M1 ( PanSTARRS ) として公表された。

その後、2000年に LONEOS が発見した小惑星 2000 OZ21 と同定された。

小惑星 2000 OZ21 は周期が確定していたので、2000年の回帰が、周期彗星としての発見となる。 そのため、彗星の名前は、本来は LONEOS となるべきである。

・ 付録

o この定義による命名と、実際の名前が異なる周期彗星

番号実際の名前この定義による命名
3DBielaMontaigne-Pons-Biela
8PTuttleMechain-Tuttle
11PTempel-Swift-LINEARTempel-Swift
27PCrommelinPons-Coggia-Winnecke-Yamasaki-Forbes
54Pde Vico-Swift-NEATde Vico-Swift
146PShoemaker-LINEARShoemaker
148PAnderson-LINEARAnderson
206PBarnard-BoattiniBarnard
226PPigott-LINEAR-KowalskiPigott
271Pvan Houten-Lemmonvan Houten
274PTombaugh-TenagraTombaugh
407PPanSTARRS-FulsPanSTARRS
443PPanSTARRS-ChristensenChristensen
P/2000 OZ21 = P/2022 M1LONEOS-PanSTARRSLONEOS

o 再発見者の名前が加わった周期彗星

番号実際の名前発見者の名前のみによる命名
3DBielaMontaigne-Pons
11PTempel-Swift-LINEARTempel
12PPons-BrooksPons
18DPerrine-MrkosPerrine
21PGiacobini-ZinnerGiacobini
23PBrorsen-MetcalfBrorsen
27PCrommelinPons-Coggia-Winnecke
38PStephan-OtermaStephan
41PTuttle-Giacobini-KresakTuttle
43PWolf-HarringtonWolf
54Pde Vico-Swift-NEATde Vico
64PSwift-GehrelsSwift
72PDenning-FujikawaDenning
79Pdu Toit-Hartleydu Toit
80PPeters-HartleyPeters
97PMetcalf-BrewingtonMetcalf
146PShoemaker-LINEARShoemaker
148PAnderson-LINEARAnderson
206PBarnard-BoattiniBarnard
226PPigott-LINEAR-KowalskiPigott
271Pvan Houten-Lemmonvan Houten
274PTombaugh-TenagraTombaugh
407PPanSTARRS-FulsPanSTARRS
P/2000 OZ21 = P/2022 M1LONEOS-PanSTARRSLONEOS

o 1995年以降の、周期彗星の再発見

符号番号名前再発見者
P/1995 S1122Pde VicoNakamura, Utsunomiya, Tanaka, Machholz, Seki
P/1998 WG22139PVaisala-OtermaLINEAR
P/1998 X2140PBowell-SkiffWilliams, LINEAR
P/2000 ET90143PKowal-MrkosLINEAR
P/2000 S2146PShoemaker-LINEARLINEAR
P/2000 SO253148PAnderson-LINEARLINEAR
P/2001 X311PTempel-Swift-LINEARLINEAR
P/2002 T454Pde Vico-Swift-NEATNEAT
P/2003 A1226PPigott-LINEAR-KowalskiLINEAR
P/2003 T1157PTrittonJuels, Holvercem
P/2003 WY25289PBlanpainCatalina Sky Survey, PanSTARRS
P/2006 B7198PODASWilliams
P/2006 M3177PBarnard 2LINEAR
P/2007 A1184PLovas 2Kowalski
P/2008 R6205PGiacobiniItagaki, Kaneda
P/2008 T3206PBarnard-BoattiniBoattini
P/2008 X4210PChristensenWatson
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