概要
彗星の発見。それは、今まで誰にも知られていなかった未知の彗星を、世界で最初に見つけることである。
彗星の中には、太陽のまわりを楕円軌道で回っており、何年かごとに繰り返し戻ってくるものがある。こうした彗星を、周期彗星と呼ぶ。戻ってきた周期彗星を捉えても、それは発見とは呼ばない。
だが実際には、軌道が不確かだったり、長い間見失われてしまったりして、いつ戻ってくるか予報できないことも多い。こうした周期彗星は、戻ってくるたびに二度、三度と発見し直されてしまう。
こうした周期彗星が、本当の意味で発見されたのは、いつと考えるべきなのか。ここでは、過去の事例を基に、周期彗星の「発見」の定義を考える。
また、ここでの「発見」の定義に基づくと、周期彗星の命名がどのように導かれるのかを検証する。
分析
周期彗星の発見
これまでに知られている周期彗星の発見事情を分析すると、周期彗星の「発見」の定義は、次のように考えられる。
- 彗星として発見され、周期性が計算された時点で、周期彗星としての「発見」となる。
- 先に彗星として発見されていても、周期性が計算されていなければ、周期彗星としての「発見」にはならない。
- 例: 紀元前240年の、中国の 1P/Halley の記録。
1P/Chinese Comet とは呼ばれない。
- 例: 1678年の La Hire の発見。
6P/La Hire とは呼ばれず、6P/d'Arrest と呼ばれる。
- 周期が不確かで、見失われてしまっても、周期彗星としては「発見」済み。後に偶然に再発見された場合も、周期彗星としては「発見」にはならない。
- 例: 1995年の D/de Vico の再発見。
122P/de Vico-Nakamura-Tanaka とは呼ばれない。
- 先に小惑星として発見され、周期が確定していれば、周期彗星としての「発見」となる。後に彗星として再発見されても、既知の小惑星の彗星活動を捉えたものと見なされる。
- 例:2017年の PanSTARRS による P/2017 B1 の発見。
Lemmon によって発見された 2010 EY90 の周期が確定していたので、349P/Lemmon-PanSTARRS とは呼ばれず、349P/Lemmon と呼ばれる。
- 先に小惑星として発見されていても、周期が確定していなければ、周期彗星としての「発見」にはならない。後に偶然に彗星として再発見されると、そちらが周期彗星としての「発見」として認められる。
- 例:1925年の Shajn による小惑星 1925 QD の発見。
36P/Shajn-Whipple とは呼ばれず、36P/Whipple と呼ばれる。
なお、ここでは、周期彗星が何度も回帰を繰り返す中で、その周期彗星が「発見」された回帰を1つだけ定めるための定義を考えている。同一の回帰の中での発見者の優先順位を考えたものではない。
この定義では、周期彗星の「発見」は、その天体が世界で最初に見つけられた時点を表してはいない。「発見」される前にも、回帰した記録が残されていることがある。
また、この定義では、周期彗星の「発見」と、実際に世の中に彗星の存在が知られた時期とは、一致しない。例えば、D/1977 C1 ( Skiff-Kosai ) は、この定義による「発見」は1976年だが、公表されたのは1986年である。1984年は「発見」後の回帰となるが、実際には誰もこの天体の存在を知らなかった。
周期彗星の命名
前述した周期彗星の「発見」の定義に基づいて、周期彗星の命名についての定義を導くと、次のように考えられる。
- 周期彗星の名前は、周期彗星として「発見」された時点での発見者の名前が命名される。
- 周期彗星として「発見」される前に、その天体が発見されていた場合については、下記の通り。
- 周期彗星として「発見」された際に、同時に同定された場合は、両者の名前が付けられる。
- 例: P/1858 E1 ( Winnecke ) の発見と同時に、C/1819 L1 ( Pons ) と同定された。
7P/Pons-Winnecke と命名された。
- 同定によって、周期彗星として「発見」された場合は、計算者の名前を付けることもある。
- 周期彗星として「発見」され、後に同定された場合は、たとえ先に発見していても、以前の発見者の名前は削除される。
- 例: 1851年に 6P/d'Arrest が発見され、後に C/1678 R1 ( La Hire ) と同定された。
6P/La Hire-d'Arrest とは改名されず、6P/d'Arrest のまま。
- 周期彗星として「発見」された後に、行方不明になっていた彗星を再発見した場合については、下記の通り。
- 1994年までは、再発見者の名前が加えられる。
- 例: 1991年の、Brewington による D/Metcalf の再発見。
97P/Metcalf-Brewington と改名された。
- 1995年からは、再発見者の名前は加えられない。
- 例: 1995年の D/de Vico の再発見。
122P/de Vico-Nakamura-Tanaka-Utsunomiya と改名されず、122P/de Vico のまま。
考察
繰り返し何度も発見されてきた周期彗星について、前述の定義に基づいて評価を行い、定義が妥当かどうかを検証する。
紀元前240年以降、すべての回帰で観測されているが、古代は記録が残っているだけである。中世には軌道が計算されたが、放物線軌道であり、周期性は計算されなかった。
1682年の回帰の後、Halley が C/1531 P1, C/1607 S1, C/1682 Q1 の3彗星を同定し、初めて周期性を計算した。よって、周期彗星としての発見は、1682年の回帰となる。
1786年に Mechain が、1795年に Herschel が、1805年に Pons, Huth, Bouvard が、1818年に Pons がそれぞれ発見した。
1819年の回帰の後、Encke がこれらの彗星を同定し、初めて周期性を計算した。よって、周期彗星としての発見は、1819年の回帰となる。
1772年に Montaigne が、1805年に Pons が、1826年に Biela がそれぞれ発見した。
1806年の時点で、Gaussが1772年と1805年の2彗星を同定し、周期性を計算していた。そのため、周期彗星としての発見は、1805年の回帰(Pons による発見)となる。1826年の Biela の発見は、検出と見なされる。
この定義によれば、彗星の名前は、本来は 3D/Montaigne-Pons-Biela となるべきである。
1678年に La Hire が発見した彗星が、1990年になって、6P/d'Arrest と同定された。
1678年の彗星は、周期性が計算されていなかった。そのため、周期彗星としての発見は、1851年の回帰(d'Arrest による発見)となり、La Hire の名前は削除された。
1819年に Pons が、1858年に Winnecke がそれぞれ発見した。1858年の発見の際に同定された。
1819年には周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、1858年の回帰(Winnecke による発見)となる。
1790年に Mechain が、1858年に Tuttle がそれぞれ発見した。1858年の発見の際に同定された。
1790年には周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、1858年の回帰(Tuttle による発見)となる。
この定義によれば、彗星の名前は、本来は 8P/Mechain-Tuttle となるべきである。
1869年に Tempel が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1880年の Swift の発見は、検出と見なされる。
2001年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 11P/Tempel-Swift となるべきである。
1812年に Pons が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1883年の Brooks の発見は、検出と見なされる。
1896年に Perrine が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1955年の Mrkos の発見は、検出と見なされる。
1900年に Giacobini が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1913年の Zinner の発見は、検出と見なされる。
1847年に Brorsen が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1919年の Metcalf の発見は、検出と見なされる。
1902年に Grigg が、1922年に Skjellerup がそれぞれ発見した。1922年の発見の際に同定された。
1902年には周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、1922年の回帰(Skjellerup による発見)となる。
1818年に Pons が、1873年に Coggia, Winnecke が、1928年に Yamasaki, Forbes がそれぞれ発見した。
1818年には周期性が計算されていなかった。だが、1873年には、1818年の彗星と同定され、周期性が計算されていた。そのため、周期彗星としての発見は、1873年の回帰(Coggia, Winnecke による発見)となる。
1P/Halley、2P/Encke と異なり、Crommelin の研究は、周期彗星として発見された後で行われた。そのため、この定義によれば、彗星の名前は、本来は 27P/Pons-Coggia-Winnecke-Yamasaki-Forbes となるべきである。
1788年に Herschel が、1939年に Rigollet がそれぞれ発見した。1939年の発見の際に同定された。
1788年には周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、1939年の回帰(Rigollet による発見)となる。
Shajn が発見した小惑星 1925 QD が、1987年になって、36P/Whipple と同定された。
小惑星 1925 QD は、周期が確定していなかったため、周期彗星としての発見は、1933年の回帰(Whipple による発見)となる。Shajn の名前は除外された。
1867年に Stephan が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1942年の Oterma の発見は、検出と見なされる。
1858年に Tuttle が、1907年に Giacobini が、1951年に Kresak がそれぞれ発見した。
1858年の時点で周期性が計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1907年の Giacobini の発見、1951年の Kresak の発見は、検出と見なされる。
1924年に Wolf が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1951年の Harrington の発見は、検出と見なされる。
1844年に de Vico が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1894年の Swift の発見は、検出と見なされる。
2002年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 54P/de Vico-Swift となるべきである。
1889年に Swift が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1973年の Gehrels の発見は、検出と見なされる。
1881年に Denning が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1978年の Fujikawa の発見は、検出と見なされる。
小惑星 1967 EU が、1980年代になって、74P/Smirnova-Chernykh と同定された。
小惑星 1967 EU は、周期が確定していなかったため、周期彗星としての発見は、1975年の回帰(Smirnova, Chernykh による発見)となる。小惑星 1967 EU の発見者の名前は除外された。
1945年に du Toit が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1982年の Hartley の発見は、検出と見なされる。
1846年に Peters が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1982年の Hartley の発見は、検出と見なされる。
1906年に Metcalf が発見した。周期性も計算されたため、この時が周期彗星としての発見となる。1991年の Brewington の発見は、検出と見なされる。
1973年に Boethin が発見した彗星が、2003年になって、104P/Kowal 2 と同定された。
1973年の彗星は、周期性が計算されていなかった。そのため、周期彗星としての発見は、1979年の回帰(Kowal による発見)となり、Boethin の名前は除外された。
1949年に Wilson, Harrington が彗星 D/1949 W1 として発見した。後に、1979年に Helin が、小惑星 1979 VA として発見した。D/1949 W1 は軌道が不確かで行方不明になっていたため、この2つは別の天体と思われていた。
小惑星 1979 VA の周期が確定し、(4015) として登録された後、1992年になって、小惑星 (4015) と彗星 D/1949 W1 が同定された。
だが、1949年には Cunningham によって周期性も計算されていたため、この時が周期彗星としての発見となる。Helin の名前は除外された。
1737年に Kegler が発見した彗星が、1970年代になって、P/Swift-Tuttle と同定された。
1737年の彗星は周期性が計算されていなかった。そのため、周期彗星としての発見は、1869年の回帰(Swift, Tuttle による発見)となり、Kegler の名前は削除された。
1995年に Nakamura, Tanaka, Utsunomiya, Seki, Machholz によって発見された。だが、1846年に発見された D/de Vico と同定された。
1846年に周期性が計算されていたため、周期彗星としての発見はこの時となる。1995年の再発見者の名前は除外された。
小惑星 1979 OW7 が、後に 133P/Elst-Pizarro と同定された。
小惑星 1979 OW7 は、周期が確定していなかった。周期が確定し、小惑星 (7968) として登録されたのは、同定された後である。そのため、周期彗星としての発見は、1996年の回帰(Elst, Pizarro による発見)となる。小惑星 1979 OW7 の発見者の名前は除外された。
Vaisala, Oterma が発見した小惑星 1939 TN は、1981年になって彗星と判明した。
後に、LINEAR が発見した小惑星 1998 WG22 が、1939 TN と同定された。
1981年の時点で周期性が計算されていたため、周期彗星としての発見は、1939年の回帰(Vaisala, Oterma による発見)となる。LINEAR の名前は除外された
2000年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 146P/Shoemaker となるべきである。
1963年に Anderson が発見した。周期性も計算されていたため、この時が周期彗星としての発見となる。
2000年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 148P/Anderson となるべきである。
2002年に Ikeya, Zhang, Raymundo が発見した彗星は、1661年に Hevelius が観測した彗星と同定された。
1661年の彗星は周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、2002年の回帰となる。
1661年の彗星は、公式には命名されていなかった。だが、もし Hevelius の名前が付けられていたとしたら、周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は 153P/Hevelius-Ikeya-Zhang となっていたはず。
1986年に Russell が彗星として、1993年に Shoemaker が小惑星 1993 WU として、2000年に LINEAR が小惑星 2000 QD181 としてそれぞれ発見した。
1986年の彗星は、存在を確認できなかった。また、1993 WU は軌道が不確かで行方不明になっていた。そのため、2000 QD181 が発見された時点では、この3つの天体は別の天体と思われていた。
2001年になって、小惑星 1993 WU と 2000 QD181 が同定された。この時点では、小惑星として番号登録されておらず、軌道は確定していなかった。
2003年になって、この小惑星と、1986年の彗星が同定された。この同定によって、周期彗星として発見されたことになる。そのため、周期彗星としての発見は、2000年の回帰(LINEAR による発見)となる。
1986年には周期性が計算されておらず、周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は 156P/Russell-LINEAR となる。
1979年に Kowal が彗星 C/1979 O1 として、2001年に LINEAR が小惑星 2001 RG100 としてそれぞれ発見した。
2003年になって、2001年の小惑星が彗星と判明した際に、1979年の彗星と同定された。
1979年には周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、2001年の回帰(LINEAR による発見)となる。
周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は 158P/Kowal-LINEAR となる。
2002年に NEAT が小惑星 2002 EX12 として発見した。2005年になって、彗星と判明した。
彗星として再発見された訳ではないので、小惑星として発見された2001年の回帰が、周期彗星としての発見となる。
2000年に Spacewatch が小惑星 2000 EC98 として発見した。(60558) として番号登録された後、2005年になって、彗星と判明した。
彗星として再発見された訳ではないので、小惑星として発見された2015年の回帰が、周期彗星としての発見となる。但し、彗星であることが判明したのも、同じ2015年の回帰中である。
1999年に LINEAR が小惑星 1999 RE70 として発見した。(118401) として番号登録された後、2006年になって、彗星と判明した。
彗星として再発見された訳ではないので、小惑星として発見された2000年の回帰が、周期彗星としての発見となる。
1892年に Barnard が発見した。周期性も計算されていたため、この時が周期彗星としての発見となる。
2008年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 206P/Barnard となるべきである。
1783年に Pigott が発見した。周期性も計算されていたため、この時が周期彗星としての発見となる。
2003年に LINEAR が再発見した時点では、1783年に Pigott が発見した彗星との同定は、確定しなかった。
2009年に Kowalski が再発見した時点で、同定が確定した。
2003年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 226P/Pigott となるべきである。
1960年に van Houten が発見した。周期性も計算されていたため、この時が周期彗星としての発見となる。
2012年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 271P/van Houten となるべきである。
1931年に Tombaugh が発見した。周期性も計算されていたため、この時が周期彗星としての発見となる。
2012年には、彗星に再発見者の名前を付けないことが決まっていた。そのため、彗星の名前は、本来は 274P/Tombaugh となるべきである。
2014年に PanSTARRS が彗星として発見した際に、2007年に Lemmon が発見した小惑星 2007 RJ236 と同定された。
小惑星 2007 RJ236 は、周期が確定していなかった。
この同定によって周期性が計算され、周期彗星として発見されたことになる。そのため、周期彗星としての発見は、2016年の回帰(PanSTARRS による発見)となる。
周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は 302P/Lemmon-PanSTARRS となる。
2016年に PanSTARRS が彗星として発見した際に、周期性が計算されて、2007年に Wiegert が発見した彗星と同定された。
2007年には周期性が計算されていなかったため、周期彗星としての発見は、2015年の回帰(PanSTARRS による発見)となる。
周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は 351P/Wiegert-PanSTARRS となる。
2013年に PanSTARRS が発見した彗星と、2019年に Fuls が発見した彗星が、2020年に同定された。
2013年に周期性も計算されていたため、2013年が周期彗星としての発見となる。
そのため、彗星の名前は、本来は PanSTARRS となるべきである。
2021年に PanSTARRS が彗星として発見した際に、2011年に Lemmon が発見した小惑星 2011 UE215 と同定された。
小惑星 2011 UE215 は、周期が確定していなかった。
この同定によって周期性が計算され、周期彗星として発見されたことになる。そのため、周期彗星としての発見は、2021年の回帰(PanSTARRS による発見)となる。
周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は 437P/Lemmon-PanSTARRS となる。
この彗星は、初め 437P/PanSTARRS と公表されたが、後に 437P/Lemmon-PanSTARRS と変更された。
2022年に Christensen が彗星として発見した際に、周期性が計算されて、P/2022 E1 ( Christensen ) として公表された。
その後、2015年に PanSTARRS が発見した小惑星 2015 PO210 と同定された。
小惑星 2015 PO210 は、周期が確定していなかった。
また、同定されたのは、周期彗星 P/2022 E1 ( Christensen ) として発見された後である。
そのため、彗星の名前は、本来は Christensen となるべきである。
2016年に PanSTARRS が小惑星 2016 PM1 として発見した際に、2010年に WISE が発見した小惑星 2010 LK36 と同定され、周期性が計算された。
但し、この時点では、彗星としては判明していなかった。
2022年の回帰で、彗星と判明した。
彗星として再発見された訳ではないので、小惑星として発見された2016年の回帰が、周期彗星としての発見となる。
周期彗星として発見された際に、同時に同定されたので、彗星の名前は P/WISE-PanSTARRS となる。
2022年に PanSTARRS が彗星として発見した際に、周期性が計算されて、P/2022 M1 ( PanSTARRS ) として公表された。
その後、2000年に LONEOS が発見した小惑星 2000 OZ21 と同定された。
小惑星 2000 OZ21 は周期が確定していたので、2000年の回帰が、周期彗星としての発見となる。
そのため、彗星の名前は、本来は LONEOS となるべきである。
2002年のNEATのアーカイブ画像から、2012年になってから発見された。
発見された際に、周期性が計算された。
彗星の可能性が指摘されたが、小惑星 2002 QU151 として公表された。
2024年に PanSTARRS が新彗星として発見した後に、2002 QU151 と同定された。
小惑星 2002 QU151 は周期が確定していたので、2002年の回帰が、周期彗星としての発見となる。
そのため、彗星の名前は、本来は NEAT となるべきである。
付録
この定義による命名と、実際の名前が異なる周期彗星
番号 | 実際の名前 | この定義による命名 |
3D | Biela | Montaigne-Pons-Biela |
8P | Tuttle | Mechain-Tuttle |
11P | Tempel-Swift-LINEAR | Tempel-Swift |
27P | Crommelin | Pons-Coggia-Winnecke-Yamasaki-Forbes |
54P | de Vico-Swift-NEAT | de Vico-Swift |
146P | Shoemaker-LINEAR | Shoemaker |
148P | Anderson-LINEAR | Anderson |
206P | Barnard-Boattini | Barnard |
226P | Pigott-LINEAR-Kowalski | Pigott |
271P | van Houten-Lemmon | van Houten |
274P | Tombaugh-Tenagra | Tombaugh |
407P | PanSTARRS-Fuls | PanSTARRS |
443P | PanSTARRS-Christensen | Christensen |
462P | LONEOS-PanSTARRS | LONEOS |
P/2002 QU151 = 2024 N6 | NEAT-PanSTARRS | NEAT |
再発見者の名前が加わった周期彗星
番号 | 実際の名前 | 発見者の名前のみによる命名 |
3D | Biela | Montaigne-Pons |
11P | Tempel-Swift-LINEAR | Tempel |
12P | Pons-Brooks | Pons |
18D | Perrine-Mrkos | Perrine |
21P | Giacobini-Zinner | Giacobini |
23P | Brorsen-Metcalf | Brorsen |
27P | Crommelin | Pons-Coggia-Winnecke |
38P | Stephan-Oterma | Stephan |
41P | Tuttle-Giacobini-Kresak | Tuttle |
43P | Wolf-Harrington | Wolf |
54P | de Vico-Swift-NEAT | de Vico |
64P | Swift-Gehrels | Swift |
72P | Denning-Fujikawa | Denning |
79P | du Toit-Hartley | du Toit |
80P | Peters-Hartley | Peters |
97P | Metcalf-Brewington | Metcalf |
146P | Shoemaker-LINEAR | Shoemaker |
148P | Anderson-LINEAR | Anderson |
206P | Barnard-Boattini | Barnard |
226P | Pigott-LINEAR-Kowalski | Pigott |
271P | van Houten-Lemmon | van Houten |
274P | Tombaugh-Tenagra | Tombaugh |
407P | PanSTARRS-Fuls | PanSTARRS |
462P | LONEOS-PanSTARRS | LONEOS |
P/2002 QU151 = 2024 N6 | NEAT-PanSTARRS | NEAT |
1995年以降の、周期彗星の再発見
符号 | 番号 | 名前 | 再発見者 |
P/1995 S1 | 122P | de Vico | Nakamura, Utsunomiya, Tanaka, Machholz, Seki |
P/1998 WG22 | 139P | Vaisala-Oterma | LINEAR |
P/1998 X2 | 140P | Bowell-Skiff | Williams, LINEAR |
P/2000 ET90 | 143P | Kowal-Mrkos | LINEAR |
P/2000 S2 | 146P | Shoemaker-LINEAR | LINEAR |
P/2000 SO253 | 148P | Anderson-LINEAR | LINEAR |
P/2001 X3 | 11P | Tempel-Swift-LINEAR | LINEAR |
P/2002 T4 | 54P | de Vico-Swift-NEAT | NEAT |
P/2003 A1 | 226P | Pigott-LINEAR-Kowalski | LINEAR |
P/2003 T1 | 157P | Tritton | Juels, Holvercem |
P/2003 WY25 | 289P | Blanpain | Catalina Sky Survey, PanSTARRS |
P/2006 B7 | 198P | ODAS | Williams |
P/2006 M3 | 177P | Barnard 2 | LINEAR |
P/2007 A1 | 184P | Lovas 2 | Kowalski |
P/2007 HE4 | P/1894 F1 | Denning | LINEAR |
P/2008 R6 | 205P | Giacobini | Itagaki, Kaneda |
P/2008 T3 | 206P | Barnard-Boattini | Boattini |
P/2008 X4 | 210P | Christensen | Watson |
P/2009 MB9 | 222P | LINEAR | McNaught |
P/2009 R2 | 226P | Pigott-LINEAR-Kowalski | Kowalski |
P/2012 A3 | P/2003 T12 | SOHO | Watson |
P/2012 TB36 | 271P | van Houten-Lemmon | Larson |
C/2012 V4 | 273P | Pons-Gambart | Matson |
P/2012 WX32 | 274P | Tombaugh-Tenagra | Schwartz, Holvorcem |
P/2012 Y2 | 275P | Hermann | PanSTARRS |
P/2016 Q3 | 345P | LINEAR | Kowalski |
P/2017 U6 | 365P | PanSTARRS | Fuls |
P/2019 Y2 | 407P | PanSTARRS-Fuls | Fuls |
P/2024 N6 | P/2002 QU151 | NEAT-PanSTARRS | PanSTARRS |
参考文献
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