吉田誠一の彗星観測日記(2011年)

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Updated on November 28, 2011

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* 2011年11月24日〜25日(観測した彗星:11個)

群馬県・北軽井沢での彗星観測です。

24日は昼間から小雪がぱらついている天気で、夕方も雲間からの観測となりましたが、22時頃には快晴となりました。この夜は露も付かず、アイピースも曇らず、とても快適でした。

25日は昼間から雲1つない快晴で、一晩中、透明度の良い好条件でした。しかし、非常に寒かったです。

C/2009 P1 ( Garradd )

11月24日   7.8等   視直径7分   DC 7   (40.0cm 反射 36倍)

11月25日   7.7等   視直径7分   DC 7〜8   (40.0cm 反射 36倍)

ようやく好条件でこの彗星を観測できました。集光がとても強く、格好良い姿をしています。

C/2010 G2 ( Hill )

11月24日   9.9等   視直径7.2分   DC 3   (40.0cm 反射 36倍)

11月25日   9.9等   視直径6分   DC 3   (40.0cm 反射 36倍)

相変わらず、淡く大きく拡散しています。

C/2010 S1 ( LINEAR )

11月24日   13.6等   視直径0.3分   DC 6   (40.0cm 反射 257倍)

11月25日   13.6等   視直径0.6分   DC 6   (40.0cm 反射 144倍)

小さいですが、意外と見やすいです。

25日は、13.6等星と隣接していたため、視直径を大きく見積り過ぎたかもしれません。

C/2010 X1 ( Elenin )

11月24日   10.6等より暗い   視直径4分   (40.0cm 反射 75倍)

たいへん大きく拡散した姿だと想定して観測しました。しかし、プレアデス星団のすぐ傍で、明るい星が多く、観測は難しいです。予報位置にいくつかの14等星が集まっており、何か存在しているようにも感じられてしまいます。そのため、もし彗星の残骸が11〜13等くらいで存在しているとしても、判別できませんでした。

C/2011 Q4 ( SWAN )

11月24日   13.2等   視直径0.8分   DC 2〜3   (40.0cm 反射 257倍)

9月には見逃したので、この彗星を見られるとは思っていませんでしたが、佐藤英貴さんから14.4等との報告があったので、望遠鏡を向けてみました。低空ですが、拡大してコントラストを上げると、存在が分かりました。

21P/Giacobini-Zinner

11月24日   12.1等より暗い   視直径1.3分   (40.0cm 反射 144倍)

11月25日   12.2等   視直径1.3分   DC 4   (40.0cm 反射 144倍)

透明度が良いと、意外と良く見えます。

29P/Schwassmann-Wachmann 1

11月25日   13.6等   視直径0.7分   DC 3〜4   (40.0cm 反射 257倍)

大きなバーストは起こしていませんでしたが、暗く小さい拡散状の姿で存在しているように見えます。

45P/Honda-Mrkos-Pajdusakova

11月25日   13.5等   視直径0.6分   DC 2   (40.0cm 反射 257倍)

非常に小さく、かすかになりました。

49P/Arend-Rigaux

11月24日   13.3等   視直径1.2分   DC 3〜4   (40.0cm 反射 144倍)

11月25日   13.0等   視直径1.2分   DC 4〜5   (40.0cm 反射 144倍)

他の観測者からは11等との報告もありましたが、思ったより暗いです。

78P/Gehrels 2

11月24日   10.9等   視直径2.0分   DC 6   (40.0cm 反射 144倍)

集光が強く見やすいです。

25日にも観測をしましたが、比較星の取り方が不十分で、光度を出せませんでした。

213P/Van Ness

11月24日   13.6等より暗い   視直径1.0分   (40.0cm 反射 144倍)

見えませんでした。

25日は、予報位置に恒星状の姿が見えました。GSCで作成した星図には載っていなかったので、「バーストか!?」と期待したのですが、帰宅して調べてみると、USNO-A2.0に14.9等星が載っていました。

* 2011年10月7日〜10日(観測した彗星:9個)

群馬県・北軽井沢での彗星観測です。

3連休は好天に恵まれました。13年ぶりに大出現が予想されていたジャコビニ群を見ようと、北軽井沢に出かけました。夜は0℃近くまで気温が下がり、木々の紅葉も日に日に色づいていきました。

ジャコビニ群の極大日は、夕方から夜中まで曇っていましたが、ちょうど月没の頃に急に晴れ上がり、快晴になりました。大流星雨になれば流星だけ見ようと思っていましたが、大して流れていなかったので、彗星も観測しました。ジャコビニ群は、3:30〜4:55に、延べ40分間で、2〜3等の流星を7個捉えました(HR=10.5)。中には、継続時間が5秒もある流星もありました。最後に、4:55には、北北西から天頂を通り南南東へと、国際宇宙ステーション(ISS)が、木星級の明るさで横切って行きました。

この他に、20年に一度の明るさと言われる、回転花火星雲M101の超新星2011feも観測しました。発見から1か月半も経っていますが、いまだに11.2等と明るいです。ただ、強い月明で肝心のM101が見えず、全然超新星という感じがしません。

また、ミラが明るく目立っていました。いつもミラが暗く、くじら座の真ん中がぽっかり穴があいていることが多い印象があったので、新鮮な感じでした。目測すると2.7等でした。橙色をしていることも、肉眼で良く分かります。

C/2009 P1 ( Garradd )

10月7日   7.9等   視直径5.8分   DC 7   (40.0cm 反射 36倍)

10月7日   6.8等   視直径12分   DC 6〜7   (10x70 単眼鏡)

10月10日   6.9等   視直径12分   DC 5〜6   (10x70 単眼鏡)

10月10日   7.5等   視直径6分   DC 7   (40.0cm 反射 36倍)

明るく大きく、良く集光していて、月明の中でも楽に見えます。

C/2010 G2 ( Hill )

10月7日   10.5等   視直径5.2分   DC 3   (40.0cm 反射 36倍)

10月8日   10.7等   視直径6.6分   DC 2   (40.0cm 反射 36倍)

明るく大きいです! 意外と集光が弱く、拡散状でしたが、見やすいです。75倍に拡大すると、DC=4に集光して見えます。

P/2010 JC81 ( WISE )

10月7日   13.5等より暗い   視直径0.4分   (40.0cm 反射 257倍)

見えませんでした。

C/2010 S1 ( LINEAR )

10月7日   14.3等   視直径0.3分   DC 6   (40.0cm 反射 257倍)

もっと恒星状に見えるかと思っていましたが、思ったよりもぼんやりした姿でした。

C/2010 X1 ( Elenin )

10月7日   10.0等より暗い   視直径2.2分   (40.0cm 反射 144倍)

10月8日   10.9等より暗い   視直径1.5分   (40.0cm 反射 144倍)

9月半ばまでに急激に拡散・減光してしまった彗星です。ようやく明け方の空に現れてきましたが、案の定、見えませんでした。但し、低空のため背後の空が明るく、拡散状の天体は見づらい条件です。13.2等の恒星は見えていました。

C/2011 A3 ( Gibbs )

10月7日   10.4等より暗い   視直径1.2分   (40.0cm 反射 144倍)

眼視では10等の、大きく拡散した彗星との報告がありましたが、見えませんでした。強い月明で、空は明るいです。

45P/Honda-Mrkos-Pajdusakova

10月7日   8.0等   視直径1.9分   DC 8   (40.0cm 反射 36倍)

10月8日   8.0等   視直径3.5分   DC 7〜8   (40.0cm 反射 36倍)

これは強烈! 恒星のように鋭く輝いています!

翌8日には、高くなってから観測したためか、7日よりも拡散して広がったように感じられました。

49P/Arend-Rigaux

10月7日   12.9等   視直径1.4分   DC 4   (40.0cm 反射 144倍)

10月8日   12.9等   視直径1.1分   DC 5   (40.0cm 反射 144倍)

意外に明るくて、びっくりしました。

78P/Gehrels 2

10月7日   11.5等   視直径1.8分   DC 5   (40.0cm 反射 75倍)

明るく、月没後は楽に見えました。集光はほどほどです。

* 2011年8月27日(観測した彗星:1個)

新潟県・胎内星まつり会場での彗星観測です。

久しぶりに胎内星まつりに参加しました。晴天にも恵まれて、星まつりを楽しんできました。会場にあった望遠鏡をお借りして、明るくなっている C/2009 P1 を観測しました。

夜の観望会では、二重星アルビレオが大人気でした。参加者とお話しして、地元のプロサッカークラブ「アルビレックス新潟」の名前の由来となった星だということを教えて頂きました。アルビレックス新潟のチームカラーも、アルビレオにちなんだオレンジとブルーだそうですね。

C/2009 P1 ( Garradd )

8.3等   視直径3分   DC 7   (20.0T 80倍)

中心部はかなり集光が強く明るく、まわりに淡いコマが大きく広がっています。

会場がかなり明るいのと、倍率が高いこともあって、ちょっと目測値が暗めになりました。

* 2011年8月9日(観測した彗星:4個)

群馬県・北軽井沢での彗星観測です。

午後は連日のように激しい雷雨ですが、朝は良く晴れていることが多いです。9日も、午後から夜中までずっと曇りでしたが、明け方の2:30に急に晴れ上がりました。ただ、湿気が多く、もやっている感じです。

木星の2本の縞模様がたいへん素晴らしい眺めでした。また、ペルセウス座流星群の流れ星が盛んに流れていました。

C/2009 P1 ( Garradd )

8.5等   視直径4.2分   DC 7〜8   (40.0cm 反射 36倍)

非常に集光が強いです。大きさは意外に小さく、ぎゅっと凝縮されている印象です。

C/2009 Y1 ( Catalina )

約13.6等   視直径0.6分   DC 6   (40.0cm 反射 144倍)

空の条件が悪く、かすかにしか見えません。

C/2011 L3 ( McNaught )

12.2等より暗い   視直径0.7分   (40.0cm 反射 144倍)

空の条件が悪く、見えませんでした。アルビレオの近くだったので、久しぶりに二重星の色の対比を楽しみました。

213P/Van Ness

約12.4等   視直径1.1分   DC 3   (40.0cm 反射 144倍)

6年ぶりの再会です。同一視野に3.7等のうお座γ星があって、眩しくて観測しづらかったです。

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