MISAO Project

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    クエーサー QSO B0133+47 の劇的な変光を発見:MisV1436    

2008年2月10日
吉田誠一/MISAOプロジェクト

MISAOプロジェクトでは、クエーサー QSO B0133+47 が、可視光でも劇的に明るさを変える、「可視激変光クエーサー」(optically violently variable QSO) であることを発見しました。

o 光度曲線 (2008年2月14日更新)

o 最近の観測データ (2008年3月15日更新)

MisV1436 = QSO B0133+47 の変光(撮影:大倉信雄さん、中島洋一郎さん)
視野:約12分角

このクエーサーの変光は、MISAOプロジェクトの新星探しの中で、吉田誠一(MISAOプロジェクト)が発見しました。中島洋一郎氏(岡山県)が2007年11月11日に撮影したノーフィルターCCD画像から、新星候補の1つとして、PIXYシステム2によって検出されました。吉田は、中島氏と大倉信雄氏(岡山県)が撮影した、2000年から2007年までのCCD画像を調べ、この天体が変光していることを確かめました。

このクエーサーのデータは、下記の通りです。

  QSO B0133+47  QSO  01 36 58.5948 +47 51 29.100  18.0V
  DA 55  01h36m58s.6 +47o51'29"  19.5 mag(O)  -24.4 mag(abs)  z=0.859
  USNO-A2.0 1350.01532368  01h36m58s.635 +47o51'29".19  Mag(R):18.3  Mag(B):18.5

これらのカタログには、18〜19等のとても暗い天体と記されています。しかし、MISAOプロジェクトの観測では、2007年11月には14等まで明るくなっていました。

クエーサーは、たいへん遠くにある活動銀河の核です。たいていは電波で観測されていますが、目で見られるものもあります。電波の強さが変化することが知られていますが、目で見た明るさも変化します。しかし、京都大学の加藤太一氏によれば、これほど大きく明るさを変えるものは珍しいとのことです。

(2008年2月14日追記)
綾仁一哉氏(美星天文台)によれば、クエーサーには電波の強いものと弱いものがあり、電波の強いクエーサーは少数派であるそうです。

この天体は、クエーサーの中でも特に明るさの変化が激しい、「可視激変光クエーサー」と呼ばれるブレーザーのようです。綾仁一哉氏(美星天文台)によれば、これは、クエーサーの中でもかなりの少数派だそうです。このクエーサーは70億光年の彼方にありますが、この距離で14等というのは、凄まじい明るさです。

これまでの調査では、このクエーサーは電波では良く観測されており、電波の強度が変化することも分かっていましたが、可視光はあまり観測されていなかったようです。これほど明るくなることも、これまでは知られていませんでした。

そこで、MISAOプロジェクトでは、この天体をMISAOプロジェクトの1436番目の新しい変光星として、MisV1436 という符号を付けました。

MisV1436

R.A.01h36m58s.63
Decl.+47o51'29".0(2000.0)
Mag.14.1-16.6C
TypeOVV-QSO
http://www.aerith.net/misao/data/misv.cgi?1436

MISAOプロジェクトの観測データは、下記の通りです。

2000年12月 1.47日16.2等(*1)
2001年12月11.46日15.5等(*1)
2002年 1月 2.40日16.6等(*1)
2007年 9月12.81日15.4等(*2)
10月 6.75日15.3等(*3)
11月11.63日14.1等(*2)
12月 3.52日14.9等(*2)

  • (*1) 大倉信雄氏 500-mm camera lens + SBIG ST-8
  • (*2) 中島洋一郎氏 7.6-cm f/6.6 refractor + SBIG ST-8
  • (*3) 大倉信雄氏・中島洋一郎氏 7.6-cm f/6.6 refractor + SBIG ST-8

また、このクエーサーの過去の明るさについて

USNO Flagstaff Station Integrated Image and Catalogue Archive Service
http://www.nofs.navy.mil/data/FchPix/cfra.html

を使って、Digitized Sky Surve POSS-I / POSS-II の乾板を調べてみました。このクエーサーの回りで、このクエーサーと同じ明るさに見える星を選んで、その光度を USNO-A2.0 で調べると、下記の通りでした。

  日付       バンド  クエーサーと同じ明るさに見える星と、その明るさ
  ------------------------------------------------------------------------
  1953.7810  R       18.7 mag  USNO-A2.0 1350-01532664  18.6R  18.9B
  1953.7810  B       18.7 mag  USNO-A2.0 1350-01532664  18.6R  18.9B
  1989.7426  R       17.8 mag  USNO-A2.0 1350-01531592  17.7R  17.9B
  1989.7509  R       17.8 mag  USNO-A2.0 1350-01531592  17.7R  17.9B
  1990.8268  I       18.7 mag  USNO-A2.0 1350-01532664  18.6R  18.9B
  1991.7577  R       19.0 mag  USNO-A2.0 1350-01532064  18.7R  19.5B
  1992.8008  B       18.7 mag  USNO-A2.0 1350-01532664  18.6R  18.9B
  1992.9760  B       17.2 mag  USNO-A2.0 1350-01533365  16.9R  17.8B
  1993.6222  B       15.8 mag  USNO-A2.0 1350-01532017  15.6R  16.1B
  1993.7235  I       17.0 mag  USNO-A2.0 1350-01530812  16.9R  17.1B
  1995.8207  I       15.8 mag  USNO-A2.0 1350-01532017  15.6R  16.1B
  ------------------------------------------------------------------------
  2007.8620  CCD     14.2 mag  USNO-A2.0 1350-01538026  13.9R  14.8B  (*4)

1992年のパロマー乾板(MisV1436は18.7等)

1993年のパロマー乾板(MisV1436は15.8等)

This research has made use of the USNOFS Image and Catalogue Archive operated by the United States Naval Observatory, Flagstaff Station (http://www.nofs.navy.mil/data/fchpix/).

1992年まではずっと18等前後の、たいへん暗い状態が続いていました。ですが、1993年と1995年の二度、小規模なバーストが起きていたようです。

しかしながら、MISAOプロジェクトの2007年11月11日の画像では、このクエーサーは、DSSのどの乾板よりも、はるかに明るく写っていました(*4)。MISAOプロジェクトでは、このクエーサーの、史上最も明るい姿を捉えられたことになります。

John Greaves氏は、UCAC2 と CMC14 という2つのカタログを調査して、このクエーサーが、UCAC2カタログに14.3等と記載されていることを指摘しています。これは、このクエーサーが2002年7月半ば頃にも、かなり明るかったことを示しています。CMC14カタログにも15.0等と記載されており、2002年後半にも明るかったことを示しています。CMC14カタログによれば、光度の標準偏差が0.7等以上もありますが、このクエーサーの変光の影響かもしれません。

また、Reinder J. Bouma氏は、Skymorphのアーカイブを調査し、このクエーサーが2002年9月24日に、15.0等の明るさで撮影されていることを見つけました。

このクエーサーは、1992年以前の画像では、18等より明るい記録が見つかっていません。また、1995年以降では、つねに17等より明るく記録されています。このクエーサーは、最近になってかなり活発になってきたのかもしれません。

綾仁氏によれば、このクエーサーは偏光率が高く、光度変化の大きいタイプの特徴を持つとのことです。下記の文献で、スペクトルに幅の広い輝線が観測されていることから、ブレーザーの中でも、BL Lac天体ではなく、「可視激変光クエーサー」に分類されるとのことです。

http://ads.nao.ac.jp//full/1996ApJS..107..541L/0000564.000.html

Greaves氏によれば、NASA/IPAC Extragalactic Database にて、このクエーサーの電波観測を参照することができます。この天体の相対論的な電波のジェットが電波強度の変化に寄与している様子が見られるとのことです。

Images and maps in NED archive for object [HB89] 0133+476
http://nedwww.ipac.caltech.edu/cgi-bin/nph-imgdata?objid=60740&objname=[HB89]%200133%2B476

(2008年2月10日追記)

今回の発見は、CBET 1249で発表されました。


(2008年2月14日追記)

SIMBADの検索結果:

http://cdsweb.u-strasbg.fr/cgi-bin/bibobj?2005A%26A...434..449R&0133%2B476

(2008年2月16日追記)

アストロアーツの天文ニュースが発行されました。

MISAOプロジェクト、クエーサーの劇的な変光を発見
http://www.astroarts.co.jp/news/2008/02/15misao_qso/index-j.shtml

(2008年2月26日追記)

中島和宏さんの画像と観測:

http://www.ztv.ne.jp/web/K.Nakajima/Light_curve3/QSO_B133+47.htm

o 光度曲線

(2008年2月14日更新)


o 最近の観測データ

(2008年3月15日更新)

2008 Feb. 25.909    15.68  CV        Miguel Rodriguez
2008 Feb. 25.40628  15.85  Rc        Kazuhiro Nakajima
2008 Feb. 25.40398  16.25  V         Kazuhiro Nakajima
2008 Feb. 25.40244  16.22  C         Kazuhiro Nakajima
2008 Feb. 22.881    15.61  CV        J. Ruiz , J. Curto, J. Temprano
2008 Feb. 21.000    15.85  V         Miguel Rodriguez
2008 Feb. 17.50133  15.86  C         Ken-ichi Kadota
2008 Feb. 16.784    15.9   CV        Esteban Reina Lorenz
2008 Feb. 16.51942  15.92  C         Ken-ichi Kadota
2008 Feb. 11.877    16.13  V         Miguel Rodriguez
2008 Feb. 11.146    16.2   visual    Bob King
2008 Feb. 10.862    16.30  V         Miguel Rodriguez
2008 Feb. 10.8174   15.9:  visual    Chris Jones
2008 Feb. 10.7840   15.6:  visual    Chris Jones
2008 Feb.  9.8201   15.7:  visual    Chris Jones
2008 Feb.  9.785    15.32  CR        Diego Rodriguez
2008 Feb.  9.7785   15.9:  visual    Chris Jones
2008 Feb.  9.119    14.9   I         Masayuki Suzuki
2008 Feb.  9.118    16.2   V         Masayuki Suzuki
2008 Feb.  9.116    16.8   B         Masayuki Suzuki
2008 Jan. 26.52542  15.5:  CCD       Koichi Itagaki
2007 Dec.  3.52154  15.0   CCD       Youichirou Nakashima
2007 Dec.  3.51950  14.8   CCD       Youichirou Nakashima
2007 Dec.  3.51745  14.9   CCD       Youichirou Nakashima
2007 Nov. 11.63256  14.2   CCD       Youichirou Nakashima
2007 Nov. 11.63049  14.2   CCD       Youichirou Nakashima
2007 Nov. 11.62843  14.0   CCD       Youichirou Nakashima
2007 Oct.  6.75456  15.3   CCD       Nobuo Ohkura and Youichirou Nakashima
2007 Sept.12.81499  15.4   CCD       Youichirou Nakashima
2002 Sept.24.48889  15.0   R         Reinder J. Bouma (Skymorph archive)
2002 Sept.24.47848  15.0   R         Reinder J. Bouma (Skymorph archive)
2002 late           15.0   r'        CMC14 catalogue
2002 July middle    14.3   red       UCAC2 catalogue
2002 Jan.  2.40493  16.6   CCD       Nobuo Ohkura
2002 Jan.  2.40296  16.5   CCD       Nobuo Ohkura
2001 Dec. 11.46672  15.7   CCD       Nobuo Ohkura
2001 Dec. 11.46476  15.4   CCD       Nobuo Ohkura
2001 Dec. 11.46279  15.5   CCD       Nobuo Ohkura
2000 Dec.  1.47036  16.3   CCD       Nobuo Ohkura
2000 Dec.  1.46851  16.2   CCD       Nobuo Ohkura
2000 Dec.  1.46664  16.1   CCD       Nobuo Ohkura
1995 Oct. 26        15.8   approx.V  Digitized Sky Survey (infrared plate)
1993 Sept.21        17.0   approx.V  Digitized Sky Survey (infrared plate)
1993 Aug. 15        15.8   approx.V  Digitized Sky Survey (blue plate)
1992 Dec. 24        17.2   approx.V  Digitized Sky Survey (blue plate)
1992 Oct. 21        18.7   approx.V  Digitized Sky Survey (blue plate)
1991 Oct.  3        19.0   approx.V  Digitized Sky Survey (red plate)
1990 Oct. 28        18.7   approx.V  Digitized Sky Survey (infrared plate)
1989 Sept.28        17.8   approx.V  Digitized Sky Survey (red plate)
1953 Oct. 12        18.7   approx.V  Digitized Sky Survey (red and blue plates)

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