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クエーサー QSO B0133+47 の劇的な変光を発見:MisV1436
2008年2月10日 MISAOプロジェクトでは、クエーサー QSO B0133+47 が、可視光でも劇的に明るさを変える、「可視激変光クエーサー」(optically violently variable QSO) であることを発見しました。
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視野:約12分角 このクエーサーの変光は、MISAOプロジェクトの新星探しの中で、吉田誠一(MISAOプロジェクト)が発見しました。中島洋一郎氏(岡山県)が2007年11月11日に撮影したノーフィルターCCD画像から、新星候補の1つとして、PIXYシステム2によって検出されました。吉田は、中島氏と大倉信雄氏(岡山県)が撮影した、2000年から2007年までのCCD画像を調べ、この天体が変光していることを確かめました。 このクエーサーのデータは、下記の通りです。 QSO B0133+47 QSO 01 36 58.5948 +47 51 29.100 18.0V DA 55 01h36m58s.6 +47o51'29" 19.5 mag(O) -24.4 mag(abs) z=0.859 USNO-A2.0 1350.01532368 01h36m58s.635 +47o51'29".19 Mag(R):18.3 Mag(B):18.5 これらのカタログには、18〜19等のとても暗い天体と記されています。しかし、MISAOプロジェクトの観測では、2007年11月には14等まで明るくなっていました。 クエーサーは、たいへん遠くにある活動銀河の核です。たいていは電波で観測されていますが、目で見られるものもあります。電波の強さが変化することが知られていますが、目で見た明るさも変化します。しかし、京都大学の加藤太一氏によれば、これほど大きく明るさを変えるものは珍しいとのことです。
この天体は、クエーサーの中でも特に明るさの変化が激しい、「可視激変光クエーサー」と呼ばれるブレーザーのようです。綾仁一哉氏(美星天文台)によれば、これは、クエーサーの中でもかなりの少数派だそうです。このクエーサーは70億光年の彼方にありますが、この距離で14等というのは、凄まじい明るさです。 これまでの調査では、このクエーサーは電波では良く観測されており、電波の強度が変化することも分かっていましたが、可視光はあまり観測されていなかったようです。これほど明るくなることも、これまでは知られていませんでした。 そこで、MISAOプロジェクトでは、この天体をMISAOプロジェクトの1436番目の新しい変光星として、MisV1436 という符号を付けました。
MISAOプロジェクトの観測データは、下記の通りです。
また、このクエーサーの過去の明るさについて USNO Flagstaff Station Integrated Image and Catalogue Archive Service を使って、Digitized Sky Surve POSS-I / POSS-II の乾板を調べてみました。このクエーサーの回りで、このクエーサーと同じ明るさに見える星を選んで、その光度を USNO-A2.0 で調べると、下記の通りでした。 日付 バンド クエーサーと同じ明るさに見える星と、その明るさ ------------------------------------------------------------------------ 1953.7810 R 18.7 mag USNO-A2.0 1350-01532664 18.6R 18.9B 1953.7810 B 18.7 mag USNO-A2.0 1350-01532664 18.6R 18.9B 1989.7426 R 17.8 mag USNO-A2.0 1350-01531592 17.7R 17.9B 1989.7509 R 17.8 mag USNO-A2.0 1350-01531592 17.7R 17.9B 1990.8268 I 18.7 mag USNO-A2.0 1350-01532664 18.6R 18.9B 1991.7577 R 19.0 mag USNO-A2.0 1350-01532064 18.7R 19.5B 1992.8008 B 18.7 mag USNO-A2.0 1350-01532664 18.6R 18.9B 1992.9760 B 17.2 mag USNO-A2.0 1350-01533365 16.9R 17.8B 1993.6222 B 15.8 mag USNO-A2.0 1350-01532017 15.6R 16.1B 1993.7235 I 17.0 mag USNO-A2.0 1350-01530812 16.9R 17.1B 1995.8207 I 15.8 mag USNO-A2.0 1350-01532017 15.6R 16.1B ------------------------------------------------------------------------ 2007.8620 CCD 14.2 mag USNO-A2.0 1350-01538026 13.9R 14.8B (*4)
1992年のパロマー乾板(MisV1436は18.7等)
1993年のパロマー乾板(MisV1436は15.8等) 1992年まではずっと18等前後の、たいへん暗い状態が続いていました。ですが、1993年と1995年の二度、小規模なバーストが起きていたようです。 しかしながら、MISAOプロジェクトの2007年11月11日の画像では、このクエーサーは、DSSのどの乾板よりも、はるかに明るく写っていました(*4)。MISAOプロジェクトでは、このクエーサーの、史上最も明るい姿を捉えられたことになります。 John Greaves氏は、UCAC2 と CMC14 という2つのカタログを調査して、このクエーサーが、UCAC2カタログに14.3等と記載されていることを指摘しています。これは、このクエーサーが2002年7月半ば頃にも、かなり明るかったことを示しています。CMC14カタログにも15.0等と記載されており、2002年後半にも明るかったことを示しています。CMC14カタログによれば、光度の標準偏差が0.7等以上もありますが、このクエーサーの変光の影響かもしれません。 また、Reinder J. Bouma氏は、Skymorphのアーカイブを調査し、このクエーサーが2002年9月24日に、15.0等の明るさで撮影されていることを見つけました。 このクエーサーは、1992年以前の画像では、18等より明るい記録が見つかっていません。また、1995年以降では、つねに17等より明るく記録されています。このクエーサーは、最近になってかなり活発になってきたのかもしれません。 綾仁氏によれば、このクエーサーは偏光率が高く、光度変化の大きいタイプの特徴を持つとのことです。下記の文献で、スペクトルに幅の広い輝線が観測されていることから、ブレーザーの中でも、BL Lac天体ではなく、「可視激変光クエーサー」に分類されるとのことです。 http://ads.nao.ac.jp//full/1996ApJS..107..541L/0000564.000.html Greaves氏によれば、NASA/IPAC Extragalactic Database にて、このクエーサーの電波観測を参照することができます。この天体の相対論的な電波のジェットが電波強度の変化に寄与している様子が見られるとのことです。 Images and maps in NED archive for object [HB89] 0133+476 (2008年2月10日追記) 今回の発見は、CBET 1249で発表されました。 (2008年2月14日追記) SIMBADの検索結果: http://cdsweb.u-strasbg.fr/cgi-bin/bibobj?2005A%26A...434..449R&0133%2B476 (2008年2月16日追記) アストロアーツの天文ニュースが発行されました。 MISAOプロジェクト、クエーサーの劇的な変光を発見 (2008年2月26日追記) 中島和宏さんの画像と観測: http://www.ztv.ne.jp/web/K.Nakajima/Light_curve3/QSO_B133+47.htm
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