MISAO Project

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まとめと今後の課題

本稿では、現在制作中のPIXYシステムについての技術的詳細を述べた。 天体画像からの星像検出、及び画像と星図とのマッチングの2点について、各々 の手法と実装方法を解説し、実画像を用いた実験結果を紹介した。

各地の天文台で個別に行なわれている新天体捜索プロジェクトでは、同じ機材を 用いて同じ条件の画像を複数撮影し、それを画像処理的に比較することで新天体 を検出している。 一方MISAOプロジェクトでは、不特定多数によって不特定な目的のために 撮影された画像を集めて比較することを前提としているため、画像処理的なアプ ローチは取れない。 そこで、まず画像から星像を検出し、点集合どうしの幾何学的な比較を行い、ペ アにならない星像を新天体として検出する、という手法を取る。

ところで、星像検出の節で述べた通り、現在は暗い天体の検出が行なえていない。 これは写像関数を求める上では対して問題にならないが、未知の天体は暗いもの が多いため、新天体の自動検出という点からは致命的となる。 しかし、本当に暗い天体の検出を行なうためには、特定の天文台で同じ条件で撮 影された複数の画像に対して画像処理的なアプローチを取るべきである [3]。 本研究では一般の人が撮影した画像を対象とする。 この場合、月や明るい彗星、星雲星団のような大きな天体が写野にあることが多 く、むしろその影響を取り除くことの方が重要な課題となる。 SExtractorというソフトウェア[4]でどの程度これが実現されているか を調査しようというところである。

また、マッチングに於いて、時間がかかり過ぎることと、結果が一意に定まらな いことを問題として挙げた。 しかし、C++言語で作成したテストプログラムが極めて高速に動作したことから、 Javaのnative methodを利用することである程度解決できると考えている。 後者の問題については、時間に余裕ができれば、求められたいくつかの写像関数 候補をそれぞれ実際に星像データに作用させ、星表と正しく対応できるかどうか を試すことで判断することも可能だろう。

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