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ウィルド第4彗星

   figure89
図 4: ウィルド第4彗星の実行結果

中村彰正氏撮影のウィルド第4彗星の画像を、USNO-A1.0とマッチングした結果 は次の通り。

画像P116531A.FTS
カタログUSNO-A1.0
中心の赤経20h 1m21s.72
中心の赤緯-25o44'12".5
画角0.219 x 0.146°
上方向の位置角0.74°
星像の位置測定誤差(赤経)0.74"
星像の位置測定誤差(赤緯)0.61"
星像の光度測定誤差0.77等
極限等級18.84等
ペアになった星像数250個
カタログのみにある恒星数14個
画像のみにある恒星数18個

中段の画像中で赤い点で描かれたもの、即ち画像にあってカタログにない星像の うち、中央上の最も明るいものは、測光値がカタログに記載されている値と大き く異なったために、ペアにならなかったようだ。 このような場合、この星が変光している可能性もある。 しかし、下段でこの星をクリックしてデータを見ると、B-Rが3.4等とかなり赤い 星であることが分かる。 そのため、CCDでは明るく写ったようだ。

画像にあってカタログにない星像のうちの、中央にあるものがウィルド第4彗星 である。 中段でこの星をクリックすると、次の測定値が得られる。

20h 1m26s.70 -25o44'17".6  mag=15.02
また、中村氏によるこの彗星の測定値は次の通り。
R.A.= 20h 1m26s.65, Decl.= -25o44'17".4, 光度14.2等
位置は約1秒角の誤差がある。 また、彗星のように淡い天体の光度は実際よりも暗く見積もられてしまう。

下段の図には、カタログにしかないというデータがいくつか見られる。 これらはほぼすべて、画像中では近接二重星となっているものである。 現在のPIXYシステムでは、近接二重星が1つの星として検出されてしまう ことが多く、カタログにしかないという誤り警報が頻出する。 元画像を見ると、これらの大部分は人間が明確に分離できるものである。 この点は急ぎ解決すべき問題である。

余談だが、元画像と下段の図とを比較すると、USNO-A1.0にも近接二重星を分離 できていないデータが多くあることに気づく。 これは、USNO-A1.0が写真に基づくカタログであるためと思われる。

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