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画像検査の意義

近年は、冷却CCDカメラや自動撮影システムが一般に普及し、プロ・アマチュ アを問わず、世界中で膨大な量の天体画像が撮影されるようになっている。こ れらの天体画像は、きちんとした検査を行えば、天文学的に有用なたくさんの データを得ることができる。例えば、変光星の明るさのデータ等は、ごく一般 的な画像からも得ることができる。また、画像によっては、突発的な現象や、 新天体などが写っていることもあり得る。しかしながら、これらの画像は、撮 影者の目的に関してのみ利用され、系統的な検査が行われることはめったにな い。この傾向は、特に、アマチュアの画像の場合に顕著である。

しかし、どのような画像であっても、天文学的に非常に重要なデータが眠って いる可能性は常にある。時には、撮影者自身が思ってもみないような天文現象 が写っていることもある。例えば、1997年以降、太陽観測探査機SOHOは、太陽 に極端に接近する軌道を持つクロイツ群に属する彗星を多数発見している。こ れらの彗星は微光で、ほとんどは地上からは観測できないものであり、SOHOの 観測は大変に貴重なものである。また、リック天文台の超新星自動捜索望遠鏡 の画像からは、1998年と1999年にそれぞれ1個ずつ、新彗星が発見されている。 更に、1999年12月16日に発生したγ線大バーストは、日本のアマチュアがふた ご座流星群のTV観測を行っていた領域のすぐ脇に出現した。このγ線バースト は、その規模から、9等級に達したGRB 990123に匹敵するものであり、TVの写 野内にあれば、歴史的に重要な観測となったと思われる。

このように、天体画像には貴重なデータが多く含まれており、プロの画像だけ でなく、アマチュアの画像も、活用すれば天文学的に重要な成果を生み出すこ とが可能であることが分かる。しかし、画像の持つデータの種類は多種多様で あり、各撮影者が、あらゆる分野の最新情報を収集して、自分の画像をあらゆ る角度から検査し、データを得ることは困難である。特に、場合によっては撮 影者が想像もしないようなデータが埋もれていることもある。また、特にアマ チュアの場合は、撮影した画像を自分ですべて検査することも難しい場合が多 い。

これらの問題に対処する1つの方法として、アマチュアの画像を集め、あらゆ る観点から検査してデータを取得するような、アマチュア画像情報センターを 設立し、世界中の画像をカタログ化することを提案する。

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