MISAO Project

English version       Home Page       Updated on March 10, 1999

1999年3月10日

    カタログのエラー    

MISAOプロジェクト・アナウンスメイル (1999年3月10日)

MISAOプロジェクトの吉田誠一です。

1999年3月5日発行のMISAOプロジェクト・アナウンスメイルにて、MISAOプロジェ クトで発見された、GSCやUSNO-A1.0といった星表に記載されていながらも、画 像には写らないデータのリストを公開しました。

その後、Arne Henden氏より、MISAOプロジェクトで測定した光度は、GSCや USNO-A1.0といった星表とは波長が異なるために、写らなかったからといって、 必ずしもカタログのエラーであるとは限らない、という指摘を頂きました(ど うもありがとうございます)。

MISAOカタログエラーの決定方針は、原則としては、5夜以上の観測があって、 一度も写らず、かつカタログに記載されている光度が極限等級よりも1.0等以 上明るい、という条件を満たしたものとしています。ここでの極限等級は、 PIXYシステムが出力したもので、通常は最微等級(画像に写っている最も暗い 星の光度)よりも1.5〜2.0等ほど明るい値となっています。そのため、実際に はカタログに記載されている値よりも暗いとしても、差が2.5等以内であれば、 誤ってカタログエラーとされてしまうことはありません。

しかし、現実には、以下のような場合に、実在する天体が誤ってカタログエラー とされてしまうケースが発生します。

  • 微光の星雲星団

    MISAOプロジェクトではNGC2000やIRAS PSC等のカタログを参照して、星雲 星団を判定していますが、これらの星雲星団カタログに記載されていない 微光銀河も多くあります。GSCやUSNO-A1.0では一般に銀河は明るく記載さ れているため、誤ってカタログエラーとされてしまう可能性があります。 更に、PIXYシステムでは、星雲星団の光度は恒星よりも暗く見積もられて しまう傾向があります。そのため、益々カタログエラーと誤る可能性が高 くなっています。

  • 波長の違い

    星によっては、カタログに記載されている光度と数等級の差が生じること があり得ます。

  • 変光星

微光の星雲星団は、常にカタログに記載されている値よりも暗く写るため、 PIXYシステムで検査すると、常にカタログエラー候補として出力されることに なります。そこで、MISAOプロジェクトでは、これらの微光の星雲星団を取り まとめ、MISAO微光天体カタログ(MisF)も作成することにしました。原則とし て、5夜以上の観測があって一度も写らなかった天体が、実際にはカタログに 記載されている値よりもずっと暗い実在する天体であった場合に、MisF天体と して登録します。

実際、3月5日のアナウンスメイルで発表したMISAOカタログエラーのうち、 MisE.UA1.00001は実在する微光天体でした。星像は星雲状で、おそらく銀 河だと思われます。

今後も、一度MISAOカタログエラーとして登録した天体が、後に実在すること が判明するケースが生じると思われます。その場合は、改めてMISAO微光天体 として登録し、MISAOカタログエラーのリストに、MisF天体の番号を記入する こととします。

MISAO微光天体のリストは以下のURLで公開しています。

http://www.info.waseda.ac.jp/muraoka/members/seiichi/misao/public/MisF

これまでに登録されたMISAO微光天体は次の通りです。

MisF -- Faint cometary objects discovered by the MISAO Project.

ID        R.A.      Decl.     Mag
------------------------------------
MisF00001 065826.60 +410846.3 17
MisF00002 063924.48 +474631.7 17
MisF00003 063517.84 +474914.0 16
MisF00004 062840.10 +480357.7 16
MisF00005 012113.39 +200905.7 15
MisF00006 012132.02 +195229.9 15
MisF00007 132151.60 -174014.9 17
MisF00008 004247.64 +404431.1 17
MisF00009 185840.78 +432806.6 17
MisF00010 165854.29 -174434.5 14
MisF00011 165853.82 -174434.4 14

尚、3月5日のアナウンスメイル以降、GSCのエラーが16個、USNO-A1.0のエラー が19個新たに発見されています。

また、Arne Henden氏より、リストには天体の赤経赤緯を記載するべきだとの 指摘を頂きました。現在公開しているリストは、すべて赤経赤緯を記入してあ ります。MISAOカタログエラーのリストは、以下のURLで公開しています。

http://www.info.waseda.ac.jp/muraoka/members/seiichi/misao/public/MisE.GSC
http://www.info.waseda.ac.jp/muraoka/members/seiichi/misao/public/MisE.UA1

P.S.
過去のMISAOプロジェクト・アナウンスメイルは

http://www.info.waseda.ac.jp/muraoka/members/seiichi/misao/index-j.html
で閲覧できます。

--
吉田 誠一 / Seiichi Yoshida
早稲田大学大学院理工学研究科情報科学専攻修士2年 村岡研究室
seiichi@muraoka.info.waseda.ac.jp  GFB03015@nifty.ne.jp
http://www.info.waseda.ac.jp/muraoka/members/seiichi/index-j.html

Copyright(C) MISAO Project (comet@aerith.net). All rights reserved.