今週の明るい彗星 (2007年3月31日:北半球版)

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Updated on April 4, 2007
先週 南半球版 来週

最適時刻と方位・高度は、北緯35度の地点での値です。

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* 96P/Machholz 1

今回帰はまだ地上からは観測されていない。だが、3月中旬にはSWANの画像で、4月初めにはLASCOの画像で見えている。4月4日の近日点通過を目指して、急激に明るくなってきている。日本からは4月中旬に8等で、南半球では4月下旬に10等で明け方の空に現れ、急激に条件が良くなっていく。だが、彗星も急激に暗くなり、5月中旬には14等以下となって、眼視では見えなくなるだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31   1  2.05   -4 16.3   1.138   0.239    10    5.0  19:45 ( 98,-17)  
Apr.  7   1  1.60   15 46.0   0.943   0.166     9    2.4  19:52 (119,-12)  

* C/2006 P1 ( McNaught )

南半球では、一生に一度あるかないかの大彗星となった。1月14日から15日にかけてマイナス5.5等に達し、金星よりも明るく輝き、白昼にも目撃された。その後、南半球では夕方の空に現れ、無数の縞が重なり合って優雅な曲線を描く、50度以上にも及ぶ尾を持った、素晴らしい姿が見られた。現在は朝と晩のどちらも観測できる。すでに8.3等まで暗くなってきた(3月31日、Walter Ruben Robledo)。南半球では、彗星が去るまでずっと、ほぼ一晩中観測できる状態が続く。日本からは二度と見られない。4月上旬は小マゼラン雲のすぐ近く。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31  23 33.96  -70 23.2   1.825   1.839    74    7.8   4:24 (336,-36)  
Apr.  7  23 54.33  -72 30.3   1.868   1.957    79    8.1   4:13 (338,-36)  

* 2P/Encke

4月中旬に近日点を通過し、6等に達する。3月には夕空で急激に増光したが、現在は超低空のため、観測は困難。4月中旬には観測不可能となる。いったん見えなくなった後、6月には12等で明け方の空に姿を現す。但し、高度は20度までしか上がらず、急激に暗くなっていく。南半球では、5月に8等で明け方の空に現れた後、しばらく明るく見えるだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31   1 55.37   17 11.1   1.354   0.593    23    9.4  19:45 (107,  6)  
Apr.  7   2 21.69   18 19.4   1.185   0.468    22    8.4  19:52 (109,  5)  

* C/2007 E2 ( Lovejoy )

南半球で眼視で発見された明るい新彗星。数ヵ月前から南の空で明るくなってきていたようだ。急激に北上しており、4月上旬には日本からも明け方の空に見えるようになる。4月には地球に接近して、8等まで明るくなる。その後、日本からは暗くなるまでずっと観測できる。7月までは眼視で見えそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31  20 20.91  -40 17.9   0.827   1.095    72    8.8   4:24 (323,  1)  
Apr.  7  20  5.44  -31 38.5   0.676   1.107    80    8.4   4:13 (323, 12)  

* 185P/2007 A3 ( Petriew )

2001年に9等と明るく観測された周期彗星の初回帰。今回も急激に明るくなった。1月11日には16.1等だった(Filip Fratev)が、3月11日には11.1等まで明るくなった(Reinder J. Bouma)。意外にも、発見時とほぼ同じ明るさで、眼視で見えるほどになった。但し、今回は条件が悪く、5月初めまで、ずっと夕空の低空にしか見えない。すでに減光に転じている。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31   3  0.61   10 28.2   1.687   1.064    36   12.5  19:45 ( 93, 15)  
Apr.  7   3 32.66   11 40.7   1.724   1.114    37   13.0  19:52 ( 94, 15)  

* C/2007 E1 ( Garradd )

眼視では13.8等と明るい(3月17日、Alan Hale)。急速に地球に接近してきており、4月上旬には13等まで明るくなる。条件良く観測できる。だが、その後は急激に暗くなりながら、すぐに西に傾いてしまう。5月下旬には観測できなくなる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31  12 47.99  -16 13.3   0.524   1.514   167   13.4   0:22 (  0, 38)  
Apr.  7  11  3.58   -3 45.6   0.506   1.463   150   13.2  21:54 (  0, 52)  

* C/2006 L2 ( McNaught )

現在は12.6等(3月9日、Edwin van Dijk)。昨年の6月から、半年に渡って12等を保った。だが、今後は暗くなり始める。4月には眼視では見えなくなりそう。だが、減光はゆっくりで、彗星が18等以下となるのは、2008年だろう。日本からは、それまでずっと観測できる。日本からは、今後しばらく周極星となり、一晩中見える。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31  23 22.80   71 11.0   2.723   2.530    68   13.7   4:24 (202, 31)  
Apr.  7   0 10.21   71 38.5   2.828   2.580    65   13.9   4:13 (200, 29)  

* 29P/Schwassmann-Wachmann 1

今シーズンは、7月初めに明け方の空に現れて来て以来、ずっと12〜13等と明るく、眼視で見え続けている。現在も12.7等で眼視でも見えている(3月17日、Carlos Labordena)。今後は夕空に低くなっていき、4月には見えなくなるだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31   4  8.00   28 31.4   6.397   5.896    55   13.8  19:45 (102, 37)  
Apr.  7   4 12.93   28 35.1   6.489   5.898    50   13.8  19:52 (105, 31)  

* C/2005 YW ( LINEAR )

現在は14.1等(3月20日、Luis Alberto Mansilla)。昨年秋から長期に渡って13等を保っている。だが、今後は次第に暗くなっていく。日本からは見えなくなったが、南半球では条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31  16 34.87  -72 40.3   1.985   2.406   102   14.4   4:04 (  0,-18)  
Apr.  7  16 38.86  -73 28.4   1.980   2.452   105   14.5   3:40 (  0,-18)  

* 4P/Faye

10月から11月にかけて、9.3等に達した(10月27日、Juan Jose Gonzalez)。最高の条件で観測できたが、現在は減光中。すでに13.1等まで暗くなっている(3月8日、Reinder J. Bouma)。だが、今後も、5月に16等になるまで、ずっと観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31   5 30.33   14 28.7   2.178   2.116    73   14.5  19:45 ( 72, 47)  
Apr.  7   5 44.65   14 53.3   2.286   2.155    69   14.8  19:52 ( 77, 44)  

* C/2003 WT42 ( LINEAR )

2005年の秋から2006年の春まで、ずっと13.5等の明るさで見え続けていた。現在は1年前より1等ほど暗いが、まだ14.2等で眼視でも見えている(12月22日、吉田誠一)。4月まで非常に条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31  12 56.70   24  9.8   4.931   5.828   151   14.6   0:26 (  0, 79)  
Apr.  7  12 53.38   24  4.7   4.969   5.851   149   14.6  23:51 (  0, 79)  

* C/2006 M4 ( SWAN )

2006年秋に4等まで明るくなったが、1月11日には10.5等まで暗くなった。現在は観測できなくなっている。5月には、15〜16等で再び明け方の空に現れる。その後は、秋に18等以下になるまで観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31  22 41.44   -8 51.1   3.771   2.963    31   14.7   4:24 (279, -2)  
Apr.  7  22 46.35   -9  8.7   3.785   3.048    37   14.9   4:13 (281,  0)  

* C/2006 XA1 ( LINEAR )

予想より明るくなり、現在は14.2等で眼視でも見えている(3月14日、Alan Hale)。これから5月まで夕空で見える。7月の近日点通過の頃は、太陽と合になって見えない。その後は南に去ってしまうため、日本からは見えなくなる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31   4 23.86   41 29.3   2.560   2.289    63   15.1  19:45 (116, 45)  
Apr.  7   4 40.36   40 33.5   2.577   2.238    59   15.1  19:52 (116, 41)  

* C/2005 L3 ( McNaught )

現在は15.2等(2月24日、門田健一氏)。昨年の秋以来、しばらく観測できなかったが、再び明け方の空に現れて来た。2007年と2008年に、それぞれ春から夏にかけて、14.5等で観測できる。位置の条件も良く、眼視でも見えるかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31  18 59.30  -11 15.3   5.978   5.975    85   15.2   4:24 (322, 35)  
Apr.  7  18 57.35  -10 37.9   5.834   5.958    92   15.2   4:13 (326, 38)  

* P/2006 HR30 ( Siding Spring )

現在は14.4等(2月12日、Juan Jose Gonzalez)。ほとんど恒星状で、9月初めからまったく増光していない。7月末にわずかな彗星活動が捉えられたが、すぐに完全に恒星状になった。10月末には再び尾が見えるようになったが、すぐに恒星状に戻った。結局、ほぼ小惑星状のまま近日点を通過してしまった。これまでずっと14等を保ち続け、日本からはずっと条件が良かったが、今後は減光していく。4月には高度が下がり始め、6月には17等で西空に沈む。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31   6 37.60   19 43.7   1.413   1.717    89   15.3  19:45 ( 62, 63)  
Apr.  7   6 54.81   17 29.0   1.535   1.780    86   15.5  19:52 ( 63, 59)  

* C/2006 V1 ( Catalina )

現在は16.0等まで明るくなってきた(2月21日、門田健一氏)。今後は2008年夏にかけて、1年半に渡って15.5〜16等を保つ。しかし、彗星は南下するため、日本からは2007年6月までしか見えない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31  10 23.88    1 27.5   2.746   3.621   146   16.0  21:49 (  0, 56)  
Apr.  7  10 19.76    1  8.7   2.761   3.576   138   15.9  21:18 (  0, 56)  

* 87P/Bus

12月中旬に19等で観測された。2月15日には18等まで増光してきている。春に17等に達し、条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31  10 42.37    7 23.1   1.364   2.282   149   17.0  22:08 (  0, 62)  
Apr.  7  10 40.25    7 48.0   1.394   2.268   141   17.1  21:38 (  0, 63)  

* 99P/Kowal 1

2006年の春には17.5等で観測された。2007年の春は17等で、条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31  14  7.36  -12 57.4   3.799   4.727   155   17.1   1:37 (  0, 42)  
Apr.  7  14  4.27  -12 45.6   3.761   4.728   163   17.1   1:06 (  0, 42)  

* C/2002 VQ94 ( LINEAR )

現在は16.8等(12月29日、吉本勝己氏)。木星よりも遠くにあるため、2007年夏まで、長期に渡って17等を保つ。北天を移動するため、今後はずっと高い位置で条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31  14 29.49   40 46.6   6.647   7.309   128   17.1   1:59 (180, 84)  
Apr.  7  14 24.70   40 48.0   6.655   7.325   128   17.1   1:26 (180, 84)  

* C/2004 D1 ( NEAT )

2006年の初めに16等に達した。現在は17.3等(12月2日、門田健一氏)。これから2007年の夏にかけて、17等から18等へと、ゆっくりと暗くなっていく。日本からは、ずっと高い位置で観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31  14 10.80   34 26.1   5.126   5.882   135   17.4   1:40 (  0, 89)  
Apr.  7  14  6.97   34 27.8   5.147   5.910   136   17.4   1:09 (  0, 89)  

* C/2005 E2 ( McNaught )

すでに16.3等まで暗くなっている(1月30日、門田健一氏)。春まで条件が良く、ゆっくりと暗くなっていく。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31   9  4.93   25 57.5   4.317   4.905   120   17.5  20:31 (  0, 81)  
Apr.  7   9  4.16   25 38.7   4.476   4.969   114   17.6  20:03 (  0, 81)  

* C/2007 D1 ( LINEAR )

遠方の新彗星。これから1年以上に渡って、17.5〜18等で見え続けるだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31   9 37.32   -4  0.7   8.060   8.799   135   17.5  21:03 (  0, 51)  
Apr.  7   9 36.80   -3 31.1   8.134   8.798   128   17.5  20:35 (  0, 51)  

* P/2006 U5 ( Christensen )

12月から1月にかけて16.5等に達したが、現在は減光中。4月には18等以下になる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31   6 49.82   26 14.2   2.128   2.372    91   17.9  19:45 ( 71, 69)  
Apr.  7   6 59.68   25 49.8   2.219   2.382    86   18.0  19:52 ( 77, 64)  

* 2006 WD4

彗星のような軌道を持つ特異小惑星。4月下旬に太陽に0.6天文単位まで接近する。その後、5月には地球にかなり接近する。観測条件がかなり悪く、日本からは、5月下旬までまったく見られない。南半球では、4月下旬から5月中旬にかけて、明け方の低空で観測できる。小惑星のままであれば、18.5等止まり。だが、もし彗星活動を見せれば、南半球では12〜14等で捉えられる可能性がある。その後、5月下旬には日本からも夕空に11等で見られる可能性がある。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31   0 41.04   -5 10.7   1.821   0.850     9   18.6  19:45 (100,-23)  
Apr.  7   0 40.61   -6 28.0   1.684   0.754    14   18.5   4:13 (262,-22)  

* 184P/2007 A1 ( Lovas 2 )

1986年に発見された後、行方不明になっていたが、1月9日に16〜17等で再発見された。今回は条件が良く、計算上は、秋から冬にかけて14等に達するはずだったが、実際には予報より暗く、17等止まりだった。現在は17.4等(2月11日、津村光則氏)。まもなく18等以下になるだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Mar. 31   2 49.98   16 59.2   2.545   1.824    35   19.1  19:45 (100, 16)  
Apr.  7   3  8.35   18 13.1   2.628   1.869    33   19.3  19:52 (103, 14)  

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