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Updated on Feb. 22, 1996 |
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1996年3月に見える彗星のランキングはこのようになりました。
この春に地球と太陽に近づき明るくなると期待されている第2百武彗星 (C/1996B2)が予想を上回るペースで増光してきています。今月25日にはいよい よ地球に0.10AUまで接近し、全光度で0等級にまでなると思われます。 他にも、第1百武彗星(C/1995Y1)とシュチェパンスキー彗星(C/1996B1)がとも に先月より引続き8〜10等と明るく見えています。世紀の大彗星ヘール-ボップ 彗星(C/1995O1)も8〜9等で、先月に比べるとずいぶんと見やすくなってきます。 さらに夏に7等まで明るくなるコップ彗星もそろそろ眼視で見られる光度になっ てきます。 暗めの彗星では、ウィルド第4彗星が予想よりも急激に明るくなっていて、こ のままいくと初夏の頃10等台になるかもしれません。今月は12等級ですので、 写真に写せる人は狙ってみて下さい。
第1位 百武彗星(C/1996B2) 6.5→0等 また、太陽に近いために見えませんが、明るさは上記のものに匹敵する彗星と して次ようなものがあります。 番外1 シュワスマン-ワハマン第3彗星(73P) 13→15等
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2.1. 百武彗星(C/1996B2)1月31日の朝に鹿児島の百武裕司氏によって発見された第2百武彗星(C/1996B2 Hyakutake)がいよいよ今月25日に地球に0.10AUまで接近します。発見前の1月1 日には13.3等、発見時の頃は11等だったのが、既に先月中旬には7.7等にまで 明るくなっています。これらの観測から光度式を求めると、logrの係数が25〜 30となってしまいます。これは彗星が急激に増光してきていることを表してい ます。そこで、ここでは光度式を
現在彗星は明け方の南の空30°くらいの位置に7等級で見えています。3月上旬 はうみへび座の尾の先からてんびん座の方へゆっくりと北上していきます。光 度は6等から4等にまで増光します。12〜14日にてんびん座α星(2.8等と5.2等 の二重星)に約1°にまで接近した後、15日頃から急激にスピードが速くなり、 てんびん座→おとめ座の足もと→うしかい座→北斗七星へと一気に北上します。 3月下旬の移動速度は1時間で約1°程にもなり、少し時間を開けて見れば彗星 の移動をリアルタイムで確認できます。また、この頃は衝となり、ほぼ一晩中 見えています。25日の地球最接近の頃は北斗七星の辺りで0等級に達し、真夜 中に天頂付近と最良の条件で見ることができます。この頃の地心距離は0.10AU ですので、彗星は満月大くらいに広がって見えることになり、全光度0等といっ ても街中では難しいかもしれません。ただ、2月にはきっちりと集光していた ので、空が暗ければ充分に肉眼で見えるでしょう。 さらに彗星はりゅう座を横切り、27日には北極星に5°弱まで接近します。こ の後彗星は夕空にまわり、きりん座→ペルセウス座→おひつじ座へと南下して きます。地球から遠ざかるためスピードも落ち、4月2日以降はゆっくりと南下 していくことになります。但し、太陽に近づいていくため、明るさはずっと1 等級よりも明るいことになります。中旬からはまた増光してきますが、位置的 にはだんだん高度を下げて条件が悪くなってきますので、条件の良い中旬まで にしっかりと見ておくことをお勧めします。 尚、彗星は3月31日に二重星団から10°弱離れたところに見え、4月2日にはペ ルセウス座α星周辺の散開星団の端をかすめていきます。9日にはアルゴルに1° まで接近します。 彗星の近日点通過は5月1日で、太陽に0.23AUにまで近づくため、その前後20日 間くらいは-2〜-3等級になると思われます。みかけ上太陽の北側から近づいて いって、近日点通過の頃は太陽に5°程度まで接近し、その後南下していきま す。近日点通過の当日はまだ太陽の北側にいます。そのため、日本からは、近 日点通過前の4月下旬から5月初めまでは夕方と明け方の両方で見ることができ ます。但し、どちらも条件は相当厳しいですので、予想どおり-2〜-3等級になっ てくれないと全く見えないと思います。明るくなっても尾がないと難しいかも しれません。一方近日点通過後は、彗星が天の南極付近まで南下を続けますの で、日本からはずっと見ることができません。 近日点通過前には、夕空では、4月前半は見やすい高さにいますが下旬にはか なり低くなり、5月2日以降は日没よりも先に沈むようになります。またこの頃 夕空には金星と彗星が見えています。一方明け方では、4月中旬から5月中旬ま でずっと日の出時の地平線すれすれ、高度5°程度のところを右横に動いてい きます。明け方の空には火星と土星があり、5月8〜9日には火星の真下を通り ます。彗星が南下していくため、明け方でも5月15日には日の出の後に昇って くるようになり、5月末には日の出時の高度が-10°よりも低くなります。そし て日本からは二度と見えることなく暗くなっていきます。
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2.2. 百武彗星(C/1995Y1)昨年の12月26日の朝に発見された第1百武彗星(C/1995Y1 Hyakutake)が、2月 24日の近日点通過を迎えて急激に明るくなってきています。発見直後の年末年 始にはまだ11等級で見るのが難しかったのが、1月下旬には9等級になり、2月 に入ってからはずっと8等級で観測されています。小さいですが良く集光して おり、見やすい彗星です。これまでの光度観測から光度式を求めると、
彗星は現在へび座(尾)の先の方にいて、3月にはわし座→や座→いるか座→こ ぎつね座→ペガサス座と、天の川の中をさか上っていきます。薄明開始時の高 度が30°のところを相変わらずみかけ上左に真横に動いていきます。この状態 は来月4月いっぱいまで続きます。5月になると高度が上がり始め、9月末に衝 となり、その後も今年中はずっと観測できる位置にいます。但し光度的には、 眼視では12等になる4月末まで、写真でも16等になる7月末くらいまでしか観測 できないでしょう。
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2.3. ヘール-ボップ彗星(C/1995O1)1995年7月に発見された、世紀の大彗星ヘール-ボップ彗星(C/1995O1 Hale-Bopp) です。発見以来ずっといて座で10等級で見えていましたが、昨年 11月から西空に沈み、しばらく観測できませんでした。ですが、既に先月中旬 から日本でも明け方の超低空に9等でとらえられています。今月は日の出1時間 前の高度が15°→25°と上がってきて、徐々に見やすくなってきます。現在彗星は相変わらずいて座にあり、明け方の低空で木星の左下に見えていま す。現在木星、ヘール-ボップ彗星、天王星、海王星が右から順に一列に、そ れぞれ5〜10°くらいの間隔で並んでいます。5月からはこれにコップ彗星が加 わり、7月上旬までこれらの天体がいて座で会合します。この間ヘール-ボップ 彗星が8→6等、コップ彗星も9→7等と明るいため、広角レンズで写してみると 面白いでしょう。尚、コップ彗星との最接近は6月10日頃で、約3°弱まで近づ きます。明るさはともに7等です。両者は6月中ずっと接近しています。 この彗星はこれから来年1997年の5月末までずっと観測できます。今年は春は 明け方の空に見え、7月に衝になり夏の夜空を飾ったあと、秋には夕空にまわ り、12月には夕方の西空に沈みます。但し、合の時は太陽の北に27°ほど離れ ていますので、見えない期間はごくわずかでしょう。明るければ3等級になっ ているかもしれませんので、年末年始は夕空と明け方の空の両方で観測できる 可能性もあります。その後来年になると、1月から3月中旬までは明け方に見え、 3月20日頃一旦太陽を追い抜き、3月下旬から5月末までは夕空に見えます。3月 の合の時には太陽の北に45°も離れ、光度ももっとも明るくマイナス等級の可 能性もありますので、夕方と明け方の両方で楽に見られるでしょう。夕空にま わってからは南下し、5月下旬に1等級で西空に沈んだ後はしばらく見えなくな ります。その後秋になって、9月から10月にかけて明け方の南東の空低く、5等 級で再び姿を現しますが、彗星が南下を続けるため11月にはまた見えなくなり ます。そしてその後は二度と地平線から昇ってくることはありません。
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2.4. シュチェパンスキー彗星(C/1996B1)1月27日、アメリカ・テキサス州のシュチェパンスキー氏によって回転花火星 雲M101の近くで発見されたシュチェパンスキー彗星(C/1996B1 Szczepanski)も 明るく見えています。近日点通過は2月5日でしたが、その後地球に近づいてき て、今月初めに0.55AUまで接近するため、現在が最も明るい時期です。彗星は 発見以来9等級から8等級とゆっくりと増光してきています。但し、地球に接近 しているため大きく拡散しており、少し見づらいかもしれません。彗星は現在おおぐま座の後ろ足の辺りにいて、真夜中に天頂付近と最良の条件 で見えています。今月はこじし座からしし座の大がまを縦断し、うみへび座の 胸もとへと移動します。地球に近いため移動が速く、上旬は一晩中見えていま すが、下旬には夕空のみとなります。光度は8等から9等と減光していきます。 先月と違って、今月は比較的目印となる星が多くなります。まず2月29日にお おぐま座ν星(3.5等)に1°まで接近した後、3月8日から17日頃はししの大がま を縦断し、10日にγ星(2.3等)に1°、13日にη星(3.5等)に1°30′、16日にレ グルス(1.4等)に1°まで接近します。その後18〜20日にはシュワスマン-ワハ マン第1彗星から約3°くらいのところを通っていきます。29日にはうみへび 座ι星(3.9等)に1°まで接近します。彗星の動きが速いため、恒星との接近は 1日ずれただけでも結構距離が離れてしまいます。 尚、上旬は春の銀河地帯を横切って行きますので、辺りには10等前後の銀河が 多く、連日のようにそれらとの接近を繰り返すでしょう。1°程度まで接近す るものとしては、3日にNGC3486(10.3等、6.9′)、4日にNGC3414(10.8等、3.5′)、 6日にNGC3344(10.0等、6.9′)、8日にNGC3301(11.3等、3.5′)があります。こ の頃の彗星は8.5等で見えています。 この後彗星はさらに南下を続け、5月いっぱいで夕方の西空に沈みます。その 頃の明るさは13等です。そしてその後は天の南極に近づき、もう二度と地平線 から昇ってくることはないでしょう。
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2.5. コップ彗星(22P)7月2日に近日点を通過するコップ彗星(22P/Kopff)が急激に増光して、今月か らは眼視でも見えるようになってきます。現在彗星は明け方のへびつかい座の 足もとにいて、へび座(尾)へと移動して行きます。彗星は今月は12→10等と増光します。この後4月に10→9等、5月に8等と増光し て、6〜7月にはほぼ衝の位置で7等になります。近日点通過の頃に衝と、この 彗星としては最良の条件で観測できます。また、この頃すぐ近くに7等にまで 明るくなったヘール-ボップ彗星も見えています。その後は年末になってもま だ14等と、今年1年中観測できます。その後も1997年2月に16等で夕空に沈むま で長期に渡って観測できる彗星です。 彗星は2月29日にへびつかい座φ星(4.3等)に20′にまで接近し、27日から3月2 日くらいまではこの星が目印となります。3月19〜20日にはへびつかい座η星 (2.4等)に1°30′まで、4月2〜3日にはへび座ξ星(3.5等)に1°30′まで接近 します。 今月下旬からは天の川に入るため、星雲星団との接近も多くなります。まず3 月26〜27日に球状星団NGC6356(8.3等、7.1′)に約1°まで接近します。4月下 旬から5月上旬には天の川の中心の星雲星団ベルトを通過しますので、4月10日 から16日にかけて散開星団M23(5.5等、27′)に2°、14〜15日に散開星団 NGC6507(10.0等、7.0′)に40′、23日から30日にかけて散開星団&散光星雲 M17(6.0等、46′)、M18(6.9等、9.0′)に1°、5月2〜5日に散開星団NGC6645 (9.0等、10′)に1°と連日のように星雲星団と接近します。特に4月26〜27日 にはオメガ星雲M17の中を通過しますので、眼視では星団の中を、写真では星 雲の中を通過する彗星が見られるでしょう。これらの期間中の彗星の光度は 9.5等から8.5等です。 尚、彗星は2〜3月はずっとガン彗星と小惑星セレスと10°以内に接近していま す。2月21日にはガン彗星と約30′にまで接近します。この時の明るさはコッ プ彗星が12等、ガン彗星が14等です。もう少し明るいといいのですが、写真で は狙い目でしょう。この前後、15日から25日くらいの間は両彗星は 1°程度の 距離を保っていますので、コップ彗星がガン彗星を追い抜いていく様子を連続 写真で記録することもできるでしょう。また、3月9日にはセレスと約10′にま で接近します。この時の明るさはコップ彗星が11.5等、セレスが8.3等ですの で、こちらの方が写しやすいでしょう。3月5日から12日くらいまでは両者が1°以 内に接近しています。5月からは木星、海王星、天王星やヘール-ボップ彗星に 近づいて、7月中旬までは広角での狙い目となるでしょう。6月中は特にヘール- ボップ彗星と近く、10日頃には3°弱にまで接近します。光度はともに7等です。
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2.6. ウィルド第4彗星(116P)8月31日に近日点を通過するウィルド第4彗星(116P/Wild 4)が予想よりも急激 に明るくなってきました。今回が初回帰の彗星で、前回帰でも比較的急な光度 変化を見せましたが、今回はそれを上回っています。昨年2月に検出された時 は20.5等でした。その後太陽と合になり、再び11月初めに観測された時には17 等になっており、その後12月下旬には14等、そして1月には12.5〜13等で観測 されています。これらの観測から光度式を求めてみると、
現在彗星はふたご座の真ん中にいて、今月はほとんど移動しません。夜半前の 天頂付近に見えています。すぐ近くにはふたご座のι星(3.8等)がありますの で、これを頼りに探すことができます。 来月からは東に移動を始めます。5月22日にはプレセペ星団(3.0等、95′)と1° まで接近し、前後1週間くらいは接近しています。この頃の彗星は11.5等です。 7月初めには西に沈みますが、その直前の7日にはレグルス(1.4等)に1°強まで 接近し、その前後1週間くらいはその近くにいます。
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2.7. チュリュモフ-ゲラシメンコ彗星(67P)1月17日に近日点を通過したチュリュモフ-ゲラシメンコ彗星 (67P/Churyumov-Gerasimenko)は、7月3日に17等で初めて捕らえられた後、8月 から10月にかけて14等、11月に13等、そして12月から1月にかけて12.5等と順 調に増光してきました。彗星は今月は夕空でおひつじ座からおうし座へと移動 していきます。既に近日点を通過していますので、今月は13等から14等と減光 していきます。今月の6〜8日にはプレアデス星団から2°程離れて見えています。来月の3日に はおうし座β星(1.6等)に1°まで接近します。その後6月いっぱいで西に沈み ますが、その頃には17等にまでなっているでしょう。
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2.8. ガン彗星(65P)7月24日に近日点を通過するガン彗星(65P/Gunn)も徐々に増光してきています。 今月は14等から13等となり、そろそろ写真にも写るようになってきます。近日 点通過の頃にほぼ衝の位置で12.5等になるでしょう。彗星は今月初めはへびつかい座の足もとでコップ彗星、小惑星セレス(8等)に3° 以内に接近しています。今後コップ彗星は離れていきますが、セレスとは11月 に西に沈むまで、へびつかい座とさそり座の辺りをずっと3°くらい離れて同 じように動いていきます。 彗星は今月3月6日にへびつかい座φ星(4.3等)に1°弱にまで接近し、4日から8 日頃にはよい目印となります。6月15〜16日には球状星団M80(7.1等、8.8′)の 中を横切ります。10日から22日までは1°以内に接近しています。この頃には 12.5等でしょう。8月には10日から26日にかけて球状星団M4(5.9等、26′)とア ンタレス(1.0等)に1°以内に接近します。特に16〜17日にはM4の中を通過しま す。この頃には13等でしょう。
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2.9. シュワスマン-ワハマン第1彗星(29P)バースト彗星として有名なシュワスマン-ワハマン第1彗星 (29P/Schwassmann-Wachmann 1)は先月衝を迎えたばかりで、相変わらずしし座 の前足の下で13.5等程度で見えています。彗星は今年6月下旬に西空に沈むま で、ずっとししの足もとに位置しています。残念ながらすぐ近くには目印とな る明るい星がなく、正確に導入するのは難しいです。尚、今月19日頃にはシュチェパンスキー彗星と約3°にまで接近します。
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2.10. コマスソラ彗星(32P)6月10日に近日点を通過するコマスソラ彗星(32P/Comas Sola)が予想よりも急 激に増光してきています。昨年の8月には19〜20等でしたが、その後9月上旬に 18等、10月中旬に16等、11月中旬に15.5等となっています。これらの観測より、 logrの係数を20として光度式を求めてみると、
今月は彗星は夕空をおひつじ座からおうし座のプレアデス星団の方へと移動し て行きます。22日には金星と約1°30′にまで接近し、3月中旬から下旬の新月 の頃は金星に近く、これを頼りに導入できるでしょう。また、来月の11〜14日 にはプレアデス星団に1°強まで接近します。 彗星は近日点通過の6月には太陽に近くて見えず、その後晩秋に再び見えるよ うになる頃には既に16等になってしまっているでしょう。 |
2.11. キロン彗星(95P)小惑星から彗星になったキロン彗星(95P/Chiron)が先月2月に初めての近日点 通過を迎えました。とはいっても、近日点距離が8.5AUもあるので、特に急に 明るくなるという訳ではなく、今月も相変わらず15.5等程度でしょう。彗星は 現在未明の南の空に見えていて、おとめ座でスピカのすぐ右に10°ほど離れた 位置にいます。が、すぐ近くには明るい星がなく、導入するのはかなり難しい でしょう。また、辺りには暗めの銀河が多いです。この状態は7月に西空に沈 むまで続きます。この彗星は近日点距離が大きいため、ここ数年間はほぼ同じ光度で観測するこ とができます。今シーズンは7月に西に沈むまでずっと15.5等でしょう。その 後太陽と合になり、また12月頃に明け方にまわってきます。そしてまた来シー ズンは春に衝となり、15.5等で観測されるでしょう。
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2.12. シュワスマン-ワハマン第3彗星(73P)核が分裂し、10月上旬に6等までバーストしたシュワスマン-ワハマン第3彗星 (73P/Schwassmann-Wachmann 3)はもう夕方の西空に沈みました。大きく広がっ て拡散していましたが、1月まで9〜10等と明るい状態を保っていました。今後 は太陽と合になった後、7月に再び明け方の空に見えてきますが、おそらく18 等以下となっていると思われます。位置推算表の予報光度はその仮定をもとに してあります。今回核が分裂し、小さな破片に分かれたため、次回の2001年の回帰では相当暗 くなってしまうでしょう。条件もあまりよくありませんので、観測できない可 能性もあります。一方、その次の2006年の回帰ではほぼ最良の条件で回帰し、 地球にも接近しますので、もしかしたら分裂し暗くなった核がそれぞれ観測さ れるかもしれません。また、この時には今回放出された大量のダストも一緒に 地球に接近するため、これらが流星雨として観測される可能性もあります。も し出現すれば、5月下旬にアークトゥルスの辺りからのゆっくりとした微光の 流星雨となるでしょう。
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2.13. ポン-ウィンネッケ彗星(7P)1989年以来、実に21回目の回帰を迎えたポン-ウィンネッケ彗星 (7P/Pons-Winnecke)ですが、今回帰はずっと太陽に近いため、全く見ることが できません。7月中旬にはようやく明け方の東の空低く見え始めますが、その 頃には既に18等となってしまいます。
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| 1月に発見された新周期彗星ジェディケ第2彗星(P/1996A1 Jedicke 2)はうみ へび座の頭で衝となって17等で見えています。他には、ウェスト-ハートレー 彗星(123P/West-Hartley)が夕方の天頂付近にぎょしゃ座で16等、ラインムー ト第1彗星(30P/Reinmuth 1)が明け方の南の空におとめ座の足もとで17等です。 |
| ヘリン-ローマン-アルー第1彗星(117P/Helin-Roman-Alu)が明け方の空、へび つかい座の足もとで17等で見えています。衝になる6月には16.5等になります。 今月初めはほんの2°弱ほど北に離れて、コップ彗星、ガン彗星、小惑星セレ スが3連会合しています。特にガン彗星とは1°しか離れていません。 |
| 秋から冬にかけて11等で見えるアイラス彗星(P/IRAS)が南半球では観測条件が よくなってきます。今月はくじゃく座で18→17等と増光してきます。5月末に は15等にまでなるので、その頃までには検出されるでしょう。日本で見られる ようになるのは10月からです。同じく未検出のスペースウォッチ彗星 (P/Spacewatch)も現在おとめ座の頭からしし座の後ろ足で18→17等と増光して きます。現在衝となっているので、そろそろ検出されると思います。こちらは 春から夏にかけて夕空で17等になります。 |
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パーライン-ムルコス彗星(18P/Perrine-Mrkos)は条件が良かったにもかかわら
ずついに見つかりませんでした。昨年の秋に19等よりも暗かったとすると、光
度式は
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| ロングモア彗星(77P/Longmore)が太陽から離れてきますが、みなみのかんむり 座からぼうえんきょう座ですので南半球でないと見えません。光度も17〜18等 です。 |
| デビコ彗星(122P/de Vico)は明け方の空に回ってきてから、見えたという話を 聞きません。予報ではヘラクレス座とわし座の間で18等ですが、もっと暗いか もしれません。先月初めまで明るく見えた本田-ムルコス-パジュサコバ彗星 (45P/Honda-Mrkos-Pajdusakova)はしし座で衝となっていますが、16→21等と 急減光していくでしょう。しかもまだ地球に近く、かなり拡散しています。バー スト後に拡散して見えなくなったジャクソン-ネウイミン彗星 (58P/Jackson-Neujmin)はおうし座で夕空に見えていますが、明るさは16等で しょう。もっと暗い可能性が強いです。 |
4.1. 百武彗星(C/1996B2)C/1996B2 Hyakutake 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 2 17 14 44.12 -24 32.4 1.745 1.256 101 8.0 1996 2 27 14 50.14 -23 22.1 1.570 0.920 110 6.8 1996 3 8 14 54.41 -20 8.7 1.386 0.586 120 5.1 1996 3 9 14 54.69 -19 34.6 1.367 0.553 121 4.9 1996 3 10 14 54.94 -18 55.7 1.348 0.520 122 4.7 1996 3 11 14 55.15 -18 11.3 1.329 0.487 124 4.5 1996 3 12 14 55.31 -17 20.2 1.310 0.455 125 4.3 1996 3 13 14 55.42 -16 20.8 1.291 0.422 126 4.0 1996 3 14 14 55.47 -15 11.2 1.271 0.390 127 3.8 1996 3 15 14 55.45 -13 48.7 1.252 0.357 129 3.5 1996 3 16 14 55.34 -12 9.6 1.232 0.326 130 3.2 1996 3 17 14 55.13 -10 9.0 1.212 0.294 132 2.9 1996 3 18 14 54.79 -7 39.4 1.192 0.263 133 2.6 1996 3 19 14 54.26 -4 30.1 1.172 0.233 135 2.2 1996 3 20 14 53.50 0 25.0 1.152 0.203 136 1.8 1996 3 21 14 52.40 5 0.4 1.131 0.175 137 1.4 1996 3 22 14 50.76 12 23.0 1.111 0.150 137 0.9 1996 3 23 14 48.21 22 33.7 1.090 0.127 134 0.5 1996 3 24 14 43.92 36 21.8 1.070 0.111 128 0.1 1996 3 25 14 35.49 53 35.7 1.049 0.102 117 -0.2 1996 3 26 14 12.23 71 47.6 1.028 0.104 103 -0.3 1996 3 27 10 43.21 86 8.9 1.006 0.116 90 -0.1 1996 3 28 4 4.83 78 50.3 0.985 0.135 80 0.1 1996 3 29 3 32.12 70 2.8 0.963 0.159 72 0.3 1996 3 30 3 21.71 63 32.1 0.942 0.185 66 0.5 1996 3 31 3 16.55 58 40.0 0.920 0.213 62 0.7 1996 4 1 3 13.41 54 56.3 0.898 0.243 58 0.8 1996 4 2 3 11.24 52 0.3 0.876 0.273 55 1.0 1996 4 3 3 9.60 49 38.7 0.853 0.304 53 1.0 1996 4 4 3 8.28 47 42.0 0.831 0.335 50 1.1 1996 4 5 3 7.14 46 4.2 0.808 0.366 48 1.2 1996 4 6 3 6.11 44 40.5 0.785 0.398 46 1.2 1996 4 7 3 5.16 43 27.9 0.762 0.429 45 1.2 1996 4 17 2 54.99 35 47.1 0.519 0.754 30 0.3 1996 4 27 2 37.03 27 59.1 0.278 1.082 14 -2.3 |
4.2. 百武彗星(C/1995Y1)C/1995Y1 Hyakutake 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 2 17 18 22.19 1 31.7 1.062 1.237 55 8.2 1996 2 27 19 12.32 9 4.7 1.056 1.267 54 8.2 1996 3 8 19 59.70 15 43.8 1.076 1.337 52 8.5 1996 3 18 20 43.07 21 6.8 1.121 1.436 51 9.0 1996 3 28 21 21.81 25 16.4 1.186 1.549 49 9.6 1996 4 7 21 55.85 28 26.5 1.268 1.666 49 10.2 1996 4 17 22 25.48 30 52.5 1.362 1.777 49 10.9 1996 4 27 22 51.06 32 47.0 1.465 1.877 50 11.6 |
4.3. ヘール-ボップ彗星(C/1995O1)C/1995O1 Hale-Bopp 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 2 17 19 23.02 -22 21.8 5.300 6.037 38 9.1 1996 2 27 19 28.62 -21 44.5 5.204 5.825 47 9.0 1996 3 8 19 33.66 -21 5.6 5.107 5.595 55 8.8 1996 3 18 19 37.98 -20 25.1 5.009 5.350 64 8.6 1996 3 28 19 41.43 -19 43.0 4.910 5.093 73 8.4 1996 4 7 19 43.81 -18 59.5 4.811 4.828 83 8.2 1996 4 17 19 44.95 -18 14.5 4.710 4.559 92 8.0 1996 4 27 19 44.61 -17 28.1 4.609 4.292 102 7.8 |
4.4. シュチェパンスキー彗星(C/1996B1)C/1996B1 Szczepanski 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 2 17 12 29.43 46 1.6 1.468 0.600 133 8.6 1996 2 27 11 27.73 36 20.0 1.491 0.549 150 8.4 1996 3 8 10 35.72 23 7.1 1.527 0.557 159 8.6 1996 3 18 10 0.05 10 17.7 1.574 0.628 150 9.0 1996 3 28 9 38.91 0 24.9 1.631 0.749 137 9.5 1996 4 7 9 28.26 -6 33.1 1.697 0.900 126 10.1 1996 4 17 9 24.75 -11 28.6 1.771 1.071 117 10.6 1996 4 27 9 26.19 -15 7.0 1.850 1.253 109 11.2 |
4.5. コップ彗星(22P)22P/Kopff 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 2 17 16 7.18 -15 41.8 2.052 1.889 84 12.5 1996 2 27 16 27.19 -16 15.3 1.996 1.732 90 12.0 1996 3 8 16 47.25 -16 38.7 1.942 1.582 95 11.5 1996 3 18 17 7.21 -16 51.7 1.891 1.438 100 11.0 1996 3 28 17 26.87 -16 54.9 1.841 1.303 105 10.5 1996 4 7 17 46.02 -16 49.2 1.795 1.177 110 10.0 1996 4 17 18 4.37 -16 36.4 1.751 1.060 116 9.5 1996 4 27 18 21.58 -16 19.5 1.712 0.954 121 9.0 |
4.6. ウィルド第4彗星(116P)116P/Wild 4 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 2 17 7 19.27 27 47.2 2.461 1.625 139 12.8 1996 2 27 7 15.72 27 34.9 2.422 1.675 128 12.6 1996 3 8 7 15.60 27 14.6 2.384 1.740 118 12.5 1996 3 18 7 18.86 26 47.5 2.347 1.815 109 12.4 1996 3 28 7 25.28 26 14.4 2.310 1.895 101 12.3 1996 4 7 7 34.50 25 35.0 2.275 1.979 93 12.2 1996 4 17 7 46.10 24 48.7 2.241 2.063 86 12.1 1996 4 27 7 59.73 23 54.7 2.209 2.146 80 12.0 |
4.7. チュリュモフ-ゲラシメンコ彗星(67P)67P/Churyumov-Gerasimenko 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 2 17 2 33.12 19 57.9 1.349 1.217 74 12.7 1996 2 27 3 10.04 23 16.7 1.385 1.284 73 13.0 1996 3 8 3 47.80 25 56.5 1.430 1.363 72 13.3 1996 3 18 4 25.71 27 53.9 1.481 1.456 71 13.6 1996 3 28 5 3.10 29 9.2 1.538 1.560 70 14.0 1996 4 7 5 39.32 29 45.1 1.600 1.675 68 14.4 1996 4 17 6 13.91 29 46.5 1.665 1.801 65 14.8 1996 4 27 6 46.58 29 19.0 1.734 1.934 63 15.2 |
4.8. ガン彗星(65P)65P/Gunn 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 2 17 16 9.62 -16 0.7 2.642 2.551 84 14.0 1996 2 27 16 21.21 -16 42.1 2.621 2.403 91 13.8 1996 3 8 16 31.42 -17 19.4 2.601 2.256 98 13.6 1996 3 18 16 39.96 -17 53.8 2.583 2.114 106 13.4 1996 3 28 16 46.47 -18 26.4 2.566 1.978 115 13.3 1996 4 7 16 50.67 -18 58.6 2.549 1.853 123 13.1 1996 4 17 16 52.27 -19 31.4 2.534 1.739 133 12.9 1996 4 27 16 51.11 -20 5.6 2.521 1.642 143 12.8 |
4.9. シュワスマン-ワハマン第1彗星(29P)29P/Schwassmann-Wachmann 1 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 2 17 10 17.33 6 31.0 6.249 5.268 172 13.6 1996 2 27 10 12.78 6 49.6 6.251 5.266 173 13.6 1996 3 8 10 8.40 7 8.5 6.252 5.295 163 13.6 1996 3 18 10 4.44 7 26.4 6.253 5.353 152 13.6 1996 3 28 10 1.16 7 41.7 6.254 5.439 141 13.6 1996 4 7 9 58.72 7 53.6 6.256 5.549 131 13.7 1996 4 17 9 57.24 8 1.1 6.257 5.677 121 13.7 1996 4 27 9 56.78 8 3.8 6.258 5.820 111 13.8 |
4.10. コマスソラ彗星(32P)32P/Comas Sola 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 2 17 1 57.97 10 56.4 2.132 2.379 63 14.5 1996 2 27 2 14.19 13 10.9 2.089 2.437 58 14.3 1996 3 8 2 32.03 15 25.7 2.048 2.489 52 14.2 1996 3 18 2 51.45 17 38.7 2.010 2.536 47 14.1 1996 3 28 3 12.43 19 47.5 1.976 2.578 43 14.0 1996 4 7 3 34.92 21 49.7 1.945 2.614 39 13.9 1996 4 17 3 58.88 23 42.7 1.917 2.647 35 13.8 1996 4 27 4 24.27 25 23.7 1.894 2.677 31 13.7 |
4.11. キロン彗星(95P)95P/Chiron 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 2 17 12 47.57 -7 57.3 8.454 7.743 133 15.4 1996 2 27 12 45.93 -7 45.6 8.454 7.632 144 15.4 1996 3 8 12 43.76 -7 30.0 8.454 7.547 154 15.3 1996 3 18 12 41.21 -7 11.2 8.455 7.488 165 15.3 1996 3 28 12 38.43 -6 50.2 8.455 7.460 175 15.3 1996 4 7 12 35.61 -6 28.2 8.456 7.462 172 15.3 1996 4 17 12 32.91 -6 6.3 8.457 7.494 162 15.3 1996 4 27 12 30.51 -5 45.7 8.458 7.555 152 15.3 |
4.12. シュワスマン-ワハマン第3彗星(73P)73P/Schwassmann-Wachmann 3 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 2 17 0 21.79 -4 49.1 2.074 2.791 35 12.2 1996 2 27 0 40.74 -2 24.2 2.163 2.948 31 12.9 1996 3 8 0 58.79 0 9.1 2.250 3.096 26 13.5 1996 3 18 1 16.08 1 56.5 2.335 3.234 21 14.1 1996 3 28 1 32.72 3 52.9 2.418 3.361 16 14.6 1996 4 7 1 48.78 5 40.3 2.500 3.475 11 15.1 1996 4 17 2 4.31 7 19.3 2.579 3.574 6 15.6 1996 4 27 2 19.34 8 49.9 2.658 3.659 5 16.1 |
4.13. ポン-ウィンネッケ彗星(7P)7P/Pons-Winnecke 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 2 17 21 9.93 -23 17.8 1.371 2.293 16 13.9 1996 2 27 21 45.22 -22 13.5 1.422 2.326 18 14.1 1996 3 8 22 18.41 -20 51.2 1.480 2.362 21 14.4 1996 3 18 22 49.45 -19 17.2 1.542 2.399 23 14.7 1996 3 28 23 18.38 -17 37.3 1.609 2.435 26 15.0 1996 4 7 23 45.32 -15 56.4 1.679 2.469 30 15.3 1996 4 17 0 10.40 -14 18.4 1.752 2.498 33 15.6 1996 4 27 0 33.76 -12 46.3 1.826 2.522 37 15.9 |
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