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Updated on Feb. 10, 1996 |
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1996年2月に見える彗星のランキングはこのようになりました。
1月下旬に百武裕司氏によって発見された2つ目の百武彗星(C/1996B2)は久ぶり の大彗星になる可能性があります。現在、3月下旬に地球に0.11AUまで接近し2 等、5月初めに太陽に0.22AUまで近づき1等にまで明るくなると期待されていま す。この春一番の注目を集めるでしょう。 他にも、今月は明るい彗星が多いです。中でも昨年の12月26日の朝に発見され た百武彗星(C/1995Y1)と1月下旬に発見されたシュチェパンスキー彗星 (C/1996B2)は明るく、見やすい位置にいます。さらに本田-ムルコス-パジュサ コバ彗星は近日点を通過した後の方が明るく観測されていますが、そろそろ見 えなくなってしまいます。シュワスマン-ワハマン第3彗星ももう西空に沈み ます。下旬には南東の空からいよいよヘール-ボップ彗星が昇ってきます。 その他には、ウィルド第4彗星が予想よりも急激に明るくなっていて、このま まいくと初夏の頃10等台になるかもしれません。今月は13等ですが、写せる人 は確認してみて下さい。コップ彗星も急激に明るくなってくるはずです。
第1位 百武彗星(C/1995Y1) 8.5→8等 また、惜しくも太陽に近いために見えませんが、明るさだけは明るいはずの彗 星に次のようなものがあります。 番外1 ポン-ウィンネッケ彗星(7P) 13.5→14等
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2.1. 百武彗星(C/1995Y1)鹿児島県の百武裕司氏によって昨年の12月26日の朝に発見された第1百武彗星 (C/1995Y1 Hyakutake)が、今月24日の近日点通過を迎えて明るくなってきてい ます。1月上旬にはまだ11等級で見るのが難しかったのですが、新月の後、1月 下旬には既に9等級になっており、眼視でも見ることができました。彗星は今 月はずっと8等で明け方の空に見えるでしょう。彗星は現在へびつかい座の足元にいて、今月はへび座(尾)からわし座へと、天 の川の中をさか上っていきます。薄明開始時(東京で5:00頃)の高度はずっと30°く らいで、みかけ上左に真横に動いていきます。 今月も彗星はわりと明るい星の多い区域を移動していきますので、8等という 明るさから考えても、視野に導入するのはそんなに難しくないでしょう。9日 には球状星団M14(7.5等)に約2°、21日には視直径52′の球状星団IC4756(5.0 等)に約1°30′にまで接近します。 彗星は今後しばらく明け方の空にいます。5月になると太陽から離れ始め、そ の後は夏から秋にかけて暗くなるまでずっと観測できる位置にいます。
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2.2. シュチェパンスキー彗星(C/1996B1)1月27日、アメリカ・テキサス州のシュチェパンスキー氏によって、北斗七星 の尾の辺りに10.5等の新彗星、シュチェパンスキー彗星(C/1996B1 Szczepanski)が発見されました。発見当時彗星は回転花火星雲M101(7.6等)に 約1°にまで接近しており、M101を写した写真に偶然この彗星が写っていた、 という人もいるようです。現在の軌道では近日点通過は今月5日で、これから 地球に近付いてきて、今月末には0.55AUにまで接近してきます。彗星は現在北斗七星の尾のあたりにいて、明け方の天頂近くに見えています。 今月末には地球に0.55AUまで近付いてくるため、今月彗星はおおぐま座の尾→ りょうけん座→おおぐま座の後ろ足→こじし座、と天球上を大きく南下し、明 け方の空から衝の位置へまわってきます。さらに来月はこじし座→しし座の大 がま→うみへび座へと移動し、何と夕空に見えることになります。一方明るさ の方はあまり変わらず、今月から来月にかけてずっと8〜9等程度でしょう。 今月上旬は北斗七星のミザール・アルコルとおおぐま座η星の中間あたりにい て、位置的には分かりやすいでしょう。その後南下していくと、すぐ近くには 明るい星はなくなりますが、代わりに近くに回転花火星雲M101、子持ち星雲 M51、M106、M94などの明るい銀河が集まっている場所を通過して行きますので、 彗星を探すついでにこれらを見て楽しむことができます。17日にはM106(8.3等) とNGC4449(9.3等)のちょうど間を通ります。来月になると比較的目印となる星 が多くなります。まず2月29日におおぐま座ν星(3.5等)に1°まで接近した後、 3月8日から17日頃はししの大がまを縦断し、10日にγ星(2.3等)に1°、13日に η星(3.5等)に1°30′、16日にレグルス(1.4等)に1°まで接近します。その後 18〜20日にはシュワスマン-ワハマン第1彗星から約3°くらいのところを通っ ていきます。29日にはうみへび座ι星(3.9等)に1°まで接近します。彗星の動 きが速いため、恒星との接近は1日ずれただけでも結構距離が離れてしまいま す。 この後彗星はさらに南下を続け、5月いっぱいで夕方の西空に沈みます。その 頃の明るさは13等です。そしてその後は天の南極に近づき、もう二度と地平線 から昇ってくることはないでしょう。
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2.3. 百武彗星(C/1996B2)昨年末に新彗星を発見したばかりの百武裕司氏が、1月31日の朝、2つ目の新彗 星を、第1百武彗星の発見位置からほんの3°程のところに発見しました。こ ちらの第2百武彗星(C/1996B2 Hyakutake)は今後地球と太陽にかなり接近し、 肉眼でも見られるくらいに明るくなると期待されています。現在の予想では、 3月下旬に地球に0.11AUまで接近し2等、5月初めに太陽に0.22AUまで近づき1等 にまでなると思われ、この春一番の注目株です。現在彗星は明け方の南の空30°くらいの位置に11〜12等で見えていて、ゆっく りと東へ向かっています。今月は彗星はずっとうみへび座の尾のあたりにいて、 ほとんど移動しないでしょう。位置は第1百武彗星の発見位置に近く、その時 と同じように、うみへび座のしっぽの先の58番星(4.4等)から6等星をたどって いけば見つかります。但し、今月前半はまだ暗めなので、見るのは難しいかも しれません。 来月はてんびん座に移動します。前半はあまり移動はありませんが光度は急に 明るくなり、中旬には6等を切り肉眼彗星となります。一方後半は、26日に地 球と0.11AUにまで大接近するため、中旬からはスピードも急激にあがり、おと め座の足もと→うしかい座→りゅう座と一気に北上します。この頃衝となるの で、ちょうど最接近の頃には一晩中見られることになります。28〜29日にかけ ては北極星に10°弱まで接近し、周極星となります。また、最接近の頃は1時 間で約1°程も移動しますので、彗星の移動をリアルタイムに観測できます。 光度は2等級にまでなり、肉眼で彗星の姿を見ることができるでしょう。その 後は夕空にまわって、4月前半はきりん座→ペルセウス座→おひつじ座を南下 していきます。地球から遠ざかり光度は一旦4等まで暗くなりますが、太陽に 近づくため、4月中旬からはまた増光していきます。但し位置的な条件は悪く なっていきますので、中旬までにしっかり見ておくことをお勧めします。 彗星の近日点通過は5月2日で、太陽に0.22AUにまで近づくため、その前後20日 間くらいは1等級になると思われます。みかけ上太陽の北側から近づいていっ て、近日点通過の頃は太陽に5°程度まで接近し、その後南下していきます。 近日点通過の当日はまだ太陽の北側にいます。そのため、日本からは、近日点 通過前の4月下旬から5月初めまでは夕方と明け方の両方で見ることができます。 但し、どちらも条件は相当厳しいですので、予想どおり1等級になってくれな いと全く見えないと思います。1等級でも難しいかもしれません。一方近日点 通過後は、彗星が天の南極付近まで南下を続けますので、日本からはずっと見 ることができません。 近日点通過前には、夕空では、4月前半は見やすい高さにいますが下旬にはか なり低くなり、5月3日以降は日没よりも先に沈むようになります。またこの頃 夕空には金星と彗星が見えています。一方明け方では、4月中旬から5月中旬ま でずっと日の出時の地平線すれすれ、高度5°程度のところを右横に動いてい きます。明け方の空には火星と土星があり、5月9〜11日には火星の真下を通り ます。彗星が南下していくため、明け方でも5月14日には日の出の後に昇って くるようになり、5月末には日の出時の高度が-10°よりも低くなります。そし て日本からは二度と見えることなく暗くなっていきます。 最後に彗星と主な天体との接近についてです。まず来月3月14日にてんびん座 α星(2.8等と5.2等の二重星)に約1°にまで接近します。この頃には彗星は既 に6等にはなっているでしょう。その後、21〜22日には球状星団M5(5.8等、17′) から5°強、24日にアークトゥルス(0.0等)から5°強、26日の夕方にはシュチェ パンスキー彗星で有名な回転花火星雲M101(7.6等、27′)から2〜3°のところ を通過していきます。4月上旬には天の川を横切ります。1〜2日には二重星団 から10°弱離れたところに見え、4〜5日にはペルセウス座α星周辺の散開星団 の端をかすめていきます。11〜12日はアルゴルに接近し、同じ頃5°くらい離 れて散開星団M34(5.1等、35′)も見えています。
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2.4. ヘール-ボップ彗星(C/1995O1)1995年7月に発見された、世紀の大彗星ヘール-ボップ彗星(C/1995O1 Hale-Bopp) です。発見以来ずっといて座で10等級で見えていましたが、昨年 11月から西空に沈み、しばらく観測できませんでした。ですがもう今月中旬に は薄明開始時には地平線の上に顔を出してきます。南半球のオーストラリアな どではもう見えるようになっており、既に8.8等で「無事に」観測されている ようです。日本から本格的に観測できるのは来月中旬以降でしょうが、早く見 たい人は今月下旬の新月後に探してみるのもいいでしょう。これからしばらく、 明け方の空で天王星・海王星・ヘール-ボップ彗星・木星が左からこの順で一 直線に並んで見えています。6〜7月には7等にまで明るくなったコップ彗星が 接近してきます。その頃にはヘール-ボップ彗星も同じくらいに明るくなって いるはずです。この彗星はこれから来年1997年の5月末までずっと観測できます。今年は春は 明け方の空に見え、7月に衝になり夏の夜空を飾ったあと、秋には夕空にまわ り、12月には夕方の西空に沈みます。但し、合の時は太陽の北に27°ほど離れ ていますので、見えない期間はごくわずかでしょう。明るければ3等級になっ ているかもしれませんので、年末年始は夕空と明け方の空の両方で観測できる 可能性もあります。その後来年になると、1月から3月中旬までは明け方に見え、 3月20日頃一旦太陽を追い抜き、3月下旬から5月末までは夕空に見えます。3月 の合の時には太陽の北に45°も離れ、光度ももっとも明るくマイナス等級の可 能性もありますので、夕方と明け方の両方で楽に見られるでしょう。夕空にま わってからは南下し、5月下旬に1等級で西空に沈んだ後はしばらく見えなくな ります。その後秋になって、9月から10月にかけて明け方の南東の空低く、5等 級で再び姿を現しますが、彗星が南下を続けるため11月にはまた見えなくなり ます。そしてその後は二度と地平線から昇ってくることはありません。
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2.5. 本田-ムルコス-パジュサコバ彗星(45P)12月下旬に近日点を通過し、その頃夕空で6等台にまでなった本田-ムルコス- パジュサコバ彗星(45P/Honda-Mrkos-Pajdusakova)が、先月下旬から再び明け 方の空に見えています。1月下旬から2月上旬にかけて7→10等と、近日点通過 後の方が2〜3等明るく観測されていますので、予報も少し明るめに修正しまし た。但し、相当に拡散しています。彗星は現在地球に約0.2天文単位にまで接近しており、今月はへびつかい座→ へび座(頭)→おとめ座とうしかい座の間→しし座、というように天球上を高速 に移動していきます。そして観測条件はどんどんよくなっていくのですが、光 度の方は今月上旬に9.5→11等、中旬に11→13.5等、下旬に13.5→15.5等と急 落していくでしょう。眼視ではそろそろ難しくなってきました。写真でも事実 上今月下旬で観測はできなくなってしまいます。6等台で観測されてからまだ たったの2カ月ですが、はかなくももう消えてしまいます。 彗星は1日には百武彗星から約6°ほど離れたところに見えていました。4日に はへびつかい座δ星(2.7等)に 2°まで接近し、視野に導入する際の目印とす ることができるでしょうが、その後は明るい星のない区域に入ってしまいます。 星雲星団とは、2日に球状星団M10(6.5等)、M12(6.5等)に 3°まで、8日には球 状星団M5(5.8等)に 3°まで接近します。 この彗星はもともと近日点通過の前後で急激な増減光をみせることで有名でし たが、今回帰ではその予想を上回る急激な増光を見せました。予想よりも少し 遅れて10月に初めて確認された時には、光度は21等と予想よりも4等程度暗い ものでした。その後11月の中旬には16等でとらえられていますが、この時点で も予想より2等程度暗いままでした。ところが12月に入って、中旬に9→8等、 下旬には8→7等と、近日点通過の直前になって急増光し、明るくなってくれま した。これらの観測から今回帰での光度式を計算してみると、
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2.6. シュワスマン-ワハマン第3彗星(73P)核が分裂し、10月上旬に6等までバーストしたシュワスマン-ワハマン第3彗星 (73P/Schwassmann-Wachmann 3)を観測できるのも今月が最後となりました。11 月までは7〜8等と明るく見えていましたが、12月から1月にかけては大きく広 がって淡くなってきたようです。先月は9〜10等で見えていたようですが、私 は眼視では確認できませんでした。今月はさらに地平高度が下がりますので、 眼視で見ることは困難でしょう。今月は彗星はみずがめ座からくじら座とうお座の真ん中へと移動していきます。 夕空低く、かなり見にくい位置になってきました。2日には夕空で金星と土星 が約1°まで接近する美しい現象が見られますが、その時その左に約8°離れた ところに見えています。また、12日にはくじら座β星(3.6等)の右約3°のとこ ろにあります。この頃が事実上最後のチャンスで、それを過ぎると太陽に追い 付かれてしまいます。 1月までの観測からだと、彗星はどうやら明るいまま西空に沈むことになりそ うです。大規模に分裂してダストが大量に放出されたため、なかなか元には戻 らなかったようです。この後彗星は7月に明け方の空に姿を現します。バース ト後の光度式からの予報光度は13〜14等ですが、おそらくその頃には元の明る さに戻っているでしょう。デビコ彗星で盛り上がっているところに突然降って 湧いたシュワスマン-ワハマン第3彗星のバースト騒動でしたが、それもつい に今月で終止符が打たれることになりました。 今回核が分裂し、小さな破片に分かれたため、次回の2001年の回帰では相当暗 くなってしまうでしょう。条件もあまりよくありませんので、観測できない可 能性もあります。一方、その次の2006年の回帰ではほぼ最良の条件で回帰し、 地球にも接近しますので、もしかしたら分裂し暗くなった核がそれぞれ観測さ れるかもしれません。また、この時には今回放出された大量のダストも一緒に 地球に接近するため、これらが流星雨として観測される可能性もあります。も し出現すれば、5月下旬にアークトゥルスの辺りからのゆっくりとした微光の 流星雨となるでしょう。
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2.7. コップ彗星(22P)7月2日に近日点を通過するコップ彗星(22P/Kopff)が急激に増光してきます。 現在彗星は明け方のてんびん座にいてへびつかい座の足元に移動していきます。 今月は13等から12等になるはずです。彗星はこの後3月に11等、4月には10→9等、5月に8等と増光して、6〜7月には ほぼ衝の位置で7等になります。近日点通過の頃に衝と、この彗星としては最 良の条件で観測できます。今年回帰を予想されている彗星の中で最も期待でき るものです。また、この頃すぐ近くに7等にまで明るくなったヘール-ボップ彗 星も見えています。その後は年末になってもまだ14等と、今年1年中観測でき ます。その後も1997年2月に16等で夕空に沈むまで長期に渡って観測できる彗 星です。 彗星は2月1日にはてんびん座γ星(3.9等)に30′、5日にはη星(5.4等)に 1°、 9日にはθ星(4.2等)に1.5°まで接近しますので、1月30日から2月11日くらい まではこれらの星を頼りすれば探しやすいでしょう。また、下旬の29日にはへ びつかい座φ星(4.3等)に20′にまで接近し、27日から3月2日くらいまではこ の星が目印となります。 尚、彗星は2〜3月はずっとガン彗星と小惑星セレスと10°以内に接近していま す。2月21日にはガン彗星と約30′にまで接近します。この時の明るさはコッ プ彗星が12等、ガン彗星が14等です。もう少し明るいといいのですが、写真で は狙い目でしょう。この前後、15日から25日くらいの間は両彗星は 1°程度の 距離を保っていますので、コップ彗星がガン彗星を追い抜いていく様子を連続 写真で記録することもできるでしょう。また、来月9日にはセレスと約10′に まで接近します。この時の明るさはコップ彗星が11.5等、セレスが8.3等です ので、こちらの方が写しやすいでしょう。3月5日から12日くらいまでは両者が 1°以内に接近しています。
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2.8. チュリュモフ-ゲラシメンコ彗星(67P)先月1月17日に近日点を通過したチュリュモフ-ゲラシメンコ彗星 (67P/Churyumov-Gerasimenko)は、7月3日に17等で初めて捕らえられた後、8月 から10月にかけて14等、11月に13等、そして12月から1月にかけて12.5等と順 調に増光してきました。彗星は今月は夕方の南の空で、うお座→おひつじ座→ おうし座へと移動していきます。光度は12〜13等程度でしょう。ですが今月は すぐ近くには目印となる明るい星がないので、導入するのが難しいと思われま す。来月は3月6〜7日にかけて、プレアデス星団の北3°のところを通過してい きますが、5日が満月です。彗星は今後しばらく夕空に見えますが、光度は3月に14等、4月に15等、5月に 16等、6月に17等と減光して見えなくなって行きます。
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2.9. ウィルド第4彗星(116P)8月31日に近日点を通過するウィルド第4彗星(116P/Wild 4)が予想よりも急激 に明るくなってきました。今回が初回帰の彗星で、前回帰でも比較的急な光度 変化を見せましたが、今回はそれを上回っています。昨年2月に検出された時 は20.5等でした。その後太陽と合になり、再び11月初めに観測された時には17 等になっており、その後12月下旬には14等、そして先月は12.5〜13等で観測さ れています。これらの観測から光度式を求めてみると、
現在彗星はふたご座の真ん中にいます。衝をすぎたばかりで、一晩中見えてい ます。7日の夕方には、ふたご座のι星(3.8等)とほんの 5′にまで接近し、こ の前後10日間ほどは、この星が目印となります。但し、5日が満月ですので、 見るのは厳しいかもしれません。
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2.10. シュワスマン-ワハマン第1彗星(29P)バースト彗星として有名なシュワスマン-ワハマン第1彗星 (29P/Schwassmann-Wachmann 1)が今月は衝を迎えます。先月も中旬に13.5等で とらえられており、やはりこの程度の明るさを平常光度と思っていた方がいい ようです。コンスタントに確認しておくべきでしょう。彗星は今年6月下旬に西空に沈むまで、ずっとししの足もとに位置しています。 残念ながらすぐ近くには目印となる明るい星がなく、正確に導入するのは難し いです。
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2.11. ガン彗星(65P)7月24日に近日点を通過するガン彗星(65P/Gunn)は思ったよりも少しだけ暗い ようです。先月は中旬に15等でとらえられています。これから徐々に増光し、 近日点通過の頃にほぼ衝の位置で12.5等ぐらいでしょう。彗星は今月はコップ彗星、小惑星セレスとともに、明け方の東の空で、てんび ん座からへびつかい座の足元へと移動していきます。この3者は今月から来月 にかけてずっと10°以内に接近して見えています。今月21日にはガン彗星とコッ プ彗星が約30′にまで接近します。その時の明るさはコップ彗星が12等、ガン 彗星が14等です。この前後15日から25日くらいの間は約1°程度の距離を保っ ています。 また、彗星は2月6日にはてんびん座θ星(4.2等)に1.5°まで接近しますので、 9日まではこのてんびんの東の腕の星を頼りに導入できるでしょう。来月3月6 日にはへびつかい座φ星(4.3等)に1°弱にまで接近し、4日から8日頃にはよい 目印となります。
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2.12. ジャクソン-ネウイミン彗星(58P)10月6日に近日点を通過しても増光を続け、11月から12月にかけてに10〜11等 にまでなったジャクソン-ネウイミン彗星(58P/Jackson-Neujmin)ですが、先月 は急に淡くなって、13等程度でした。どうやら元の明るさに戻り始めたようで す。もっとも明るくなった11月以降の観測からの光度式は、
彗星は現在夕方の南の空に見えていて、くじら座からおうし座へと移動してい きます。あたりに明るい星はなく、彗星自体が暗くなってしまったので、見る のはかなり困難でしょう。
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2.13. コマスソラ彗星(32P)6月10日に近日点を通過するコマスソラ彗星(32P/Comas Sola)が予想よりも急 激に増光してきています。昨年の8月には19〜20等でしたが、その後9月上旬に 18等、10月中旬に16等、11月中旬に15.5等となっています。これらの観測より、 logrの係数を20として光度式を求めてみると、
今月は彗星は夕空をうお座からおひつじ座へと移動していきます。7日にはう お座ο星(4.3等)に10′弱にまで接近しますが、この日はちょうど満月となっ てしまいます。その後はあまり明るい星が近くにないので見つけにくいのです が、来月3月22日には金星と約1°30′にまで接近します。3月中旬から下旬の 新月の頃は金星に近く、これを頼りに導入できるでしょう。また、4月に西に 沈む頃には、プレアデス星団と約2°にまで接近しています。 彗星は近日点通過の6月には太陽に近くて見えず、その後晩秋に再び見えるよ うになる頃には既に16等になってしまっているでしょう。 |
2.14. キロン彗星(95P)小惑星から彗星になったキロン彗星(95P/Chiron)が今月2月にいよいよ初めて の近日点通過を迎えます。とはいっても、近日点距離が8.5AUもあるので、特 に急に明るくなるという訳ではなく、あいかわらず15.5等程度でしょう。彗星 は現在明け方に見えていて、おとめ座でスピカのすぐ右に10°ほど離れた位置 にいます。が、すぐ近くには明るい星がなく、導入するのはかなり難しいでしょ う。この状態は7月に西空に沈むまで続きます。せっかくの話題の彗星ですが、 見ることのできる人は少ないかもしれません。この彗星は近日点距離が大きいため、ここ数年間はほぼ同じ光度で観測するこ とができます。今シーズンは7月に西に沈むまでずっと15.5等でしょう。その 後太陽と合になり、また12月頃に明け方にまわってきます。そしてまた来シー ズンは春に衝となり、15.5等で観測されるでしょう。
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2.15. ポン-ウィンネッケ彗星(7P)1989年以来、実に21回目の回帰を迎えたポン-ウィンネッケ彗星 (7P/Pons-Winnecke)ですが、今回帰はずっと太陽に近いため、全く見ることが できません。7月中旬にはようやく明け方の東の空低く見え始めますが、その 頃には既に18等となってしまいます。
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| 1月に見つかったばかりの新周期彗星ジェディケ第2彗星(P/1996A1 Jedicke 2) はうみへび座の頭で衝となって17等で見えています。他には、ウェスト-ハー トレー彗星(123P/West-Hartley)が夕方の北の空ぎょしゃ座で16等、ラインムー ト第1彗星(30P/Reinmuth 1)がおとめ座の足もとで16.5等です。さらに、近日 点通過から2年近くなる高見沢彗星(1994i = C/1994J2 Takamizawa)がうさぎ座 でまだ15〜16等で見えています。 |
| ヘリン-ローマン-アルー第1彗星(117P/Helin-Roman-Alu)が明け方の空、へび つかい座の足もとで17.5等で見えています。衝になる6月には16.5等になりま す。今月から来月はほんの2°弱ほど離れて、コップ彗星、ガン彗星、小惑星 セレスが3連会合しています。 |
| 秋から冬にかけて11等で見えるアイラス彗星(P/IRAS)が南半球では観測条件が よくなってきます。今月はくじゃく座で18等ですが、5月末には15等にまでな るので、その頃には検出されるでしょう。日本で見られるようになるのは10月 からです。同じく未検出のスペースウォッチ彗星(P/Spacewatch)も現在おとめ 座の頭で19等ですが、来月頭には18等で衝になるので、そろそろ検出されると 思います。こちらは春から夏にかけて夕空で17等になります。 |
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パーライン-ムルコス彗星(18P/Perrine-Mrkos)は条件が良かったにもかかわら
ずついに見つかりませんでした。昨年の秋に19等よりも暗かったとすると、光
度式は
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| 予想よりもはるかに暗かったシューメーカー-ホルト第2彗星 (121P/Shoemaker-Holt 2)は18等で、一旦西に沈みます。晩秋の頃また見られ るようになりますが、せいぜい17等でしょう。パーカー-ハートレー彗星 (119P/Parker-Hartley)も17等で西空に沈みます。秋に現れる時には16.5等で す。 |
| ロングモア彗星(77P/Longmore)が太陽から離れてきますが、南半球でないと見 えません。光度も17〜18等です。 |
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昨年の夏以降の彗星ブームの立て役者であるデビコ彗星(122P/de Vico)とブラッ
ドフィールド彗星(C/1995Q1 Bradfield)はもうすっかり暗くなりました。デビ
コ彗星は明け方の空で16→17等、ブラッドフィールド彗星は12月に大減光して、
今月はもう20等でしょう。夏に8等級になったダレスト彗星も西空に低く、光
度も18→20等となってしまいます。
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4.1. 百武彗星(C/1995Y1)C/1995Y1 Hyakutake 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 16 41.00 -12 51.1 1.148 1.325 57 8.6 1996 2 7 17 31.09 -6 5.6 1.094 1.257 56 8.2 1996 2 17 18 22.19 1 31.7 1.062 1.237 55 7.9 1996 2 27 19 12.32 9 4.7 1.056 1.267 54 7.9 1996 3 8 19 59.70 15 43.8 1.076 1.337 52 8.2 1996 3 18 20 43.07 21 6.8 1.121 1.436 51 8.6 1996 3 28 21 21.81 25 16.4 1.186 1.549 49 9.2 |
4.2. シュチェパンスキー彗星(C/1996B1)C/1996B1 Szczepanski 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 14 6.20 53 46.8 1.463 0.801 109 9.2 1996 2 7 13 25.61 51 15.5 1.459 0.691 119 8.8 1996 2 17 12 29.43 46 1.6 1.468 0.600 133 8.6 1996 2 27 11 27.73 36 20.0 1.491 0.549 150 8.4 1996 3 8 10 35.72 23 7.1 1.527 0.557 159 8.6 1996 3 18 10 0.05 10 17.7 1.574 0.628 150 9.0 1996 3 28 9 38.91 0 24.9 1.631 0.749 137 9.5 |
4.3. 百武彗星(C/1996B2)C/1996B2 Hyakutake 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 14 29.02 -24 53.4 2.102 1.953 84 11.7 1996 2 7 14 36.96 -24 54.8 1.940 1.623 92 10.9 1996 2 17 14 44.09 -24 32.8 1.773 1.289 101 10.0 1996 2 27 14 50.01 -23 24.8 1.599 0.955 110 8.9 1996 3 8 14 53.99 -20 23.1 1.416 0.623 120 7.5 1996 3 18 14 53.54 -9 42.7 1.223 0.302 133 5.3 1996 3 28 12 29.42 81 0.1 1.017 0.118 95 2.4 |
4.4. ヘール-ボップ彗星(C/1995O1)C/1995O1 Hale-Bopp 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 19 10.68 -23 31.5 5.491 6.397 21 9.4 1996 2 7 19 16.99 -22 57.5 5.396 6.229 29 9.3 1996 2 17 19 23.02 -22 21.8 5.300 6.037 38 9.1 1996 2 27 19 28.62 -21 44.5 5.204 5.825 47 9.0 1996 3 8 19 33.66 -21 5.6 5.107 5.595 55 8.8 1996 3 18 19 37.98 -20 25.1 5.009 5.350 64 8.6 1996 3 28 19 41.43 -19 43.0 4.910 5.093 73 8.4 |
4.5. 本田-ムルコス-パジュサコバ彗星(45P)45P/Honda-Mrkos-Pajdusakova 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 17 53.74 -9 36.2 0.850 0.190 40 8.8 1996 2 7 15 33.10 2 51.6 0.994 0.171 87 10.6 1996 2 17 13 30.70 12 51.0 1.137 0.218 128 12.9 1996 2 27 12 15.95 16 51.4 1.276 0.309 154 15.1 1996 3 8 11 33.79 17 56.1 1.412 0.428 166 17.2 1996 3 18 11 10.17 17 50.2 1.543 0.569 160 18.9 1996 3 28 10 57.66 17 12.7 1.669 0.729 149 20.5 |
4.6. シュワスマン-ワハマン第3彗星(73P)73P/Schwassmann-Wachmann 3 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 23 40.31 -10 9.8 1.893 2.464 44 10.3 1996 2 7 0 1.74 -7 24.3 1.984 2.630 40 10.7 1996 2 17 0 21.79 -4 49.1 2.074 2.791 35 11.0 1996 2 27 0 40.74 -2 24.2 2.163 2.948 31 11.3 1996 3 8 0 58.79 0 9.1 2.250 3.096 26 11.6 1996 3 18 1 16.08 1 56.5 2.335 3.234 21 11.8 1996 3 28 1 32.72 3 52.9 2.418 3.361 16 12.1 |
4.7. コップ彗星(22P)22P/Kopff 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 15 27.76 -14 5.6 2.166 2.214 74 13.5 1996 2 7 15 47.34 -14 58.3 2.109 2.050 79 13.0 1996 2 17 16 7.18 -15 41.8 2.052 1.889 84 12.5 1996 2 27 16 27.19 -16 15.3 1.996 1.732 90 12.0 1996 3 8 16 47.25 -16 38.7 1.942 1.582 95 11.5 1996 3 18 17 7.21 -16 51.7 1.891 1.438 100 11.0 1996 3 28 17 26.87 -16 54.9 1.841 1.303 105 10.5 |
4.8. チュリュモフ-ゲラシメンコ彗星(67P)67P/Churyumov-Gerasimenko 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 1 23.86 11 53.3 1.306 1.119 76 12.3 1996 2 7 1 57.60 16 7.0 1.323 1.163 75 12.5 1996 2 17 2 33.12 19 57.9 1.349 1.217 74 12.7 1996 2 27 3 10.04 23 16.7 1.385 1.284 73 13.0 1996 3 8 3 47.80 25 56.5 1.430 1.363 72 13.3 1996 3 18 4 25.71 27 53.9 1.481 1.456 71 13.6 1996 3 28 5 3.10 29 9.2 1.538 1.560 70 14.0 |
4.9. ウィルド第4彗星(116P)116P/Wild 4 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 7 34.81 27 40.6 2.542 1.585 162 13.2 1996 2 7 7 25.90 27 49.6 2.501 1.593 150 13.0 1996 2 17 7 19.27 27 47.2 2.461 1.625 139 12.8 1996 2 27 7 15.72 27 34.9 2.422 1.675 128 12.6 1996 3 8 7 15.60 27 14.6 2.384 1.740 118 12.5 1996 3 18 7 18.86 26 47.5 2.347 1.815 109 12.4 1996 3 28 7 25.28 26 14.4 2.310 1.895 101 12.3 |
4.10. シュワスマン-ワハマン第1彗星(29P)29P/Schwassmann-Wachmann 1 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 10 25.72 6 1.3 6.247 5.365 151 13.6 1996 2 7 10 21.73 6 14.4 6.248 5.302 162 13.6 1996 2 17 10 17.33 6 31.0 6.249 5.268 172 13.6 1996 2 27 10 12.78 6 49.6 6.251 5.266 173 13.6 1996 3 8 10 8.40 7 8.5 6.252 5.295 163 13.6 1996 3 18 10 4.44 7 26.4 6.253 5.353 152 13.6 1996 3 28 10 1.16 7 41.7 6.254 5.439 141 13.6 |
4.11. ガン彗星(65P)65P/Gunn 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 15 43.34 -14 22.7 2.686 2.847 70 14.3 1996 2 7 15 56.91 -15 14.5 2.663 2.700 77 14.1 1996 2 17 16 9.62 -16 0.7 2.642 2.551 84 14.0 1996 2 27 16 21.21 -16 42.1 2.621 2.403 91 13.8 1996 3 8 16 31.42 -17 19.4 2.601 2.256 98 13.6 1996 3 18 16 39.96 -17 53.8 2.583 2.114 106 13.4 1996 3 28 16 46.47 -18 26.4 2.566 1.978 115 13.3 |
4.12. ジャクソン-ネウイミン彗星(58P)58P/Jackson-Neujmin 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 2 49.11 0 44.4 1.887 1.574 92 13.7 1996 2 7 3 7.94 1 47.2 1.959 1.734 87 14.2 1996 2 17 3 26.62 4 4.8 2.032 1.902 82 14.6 1996 2 27 3 45.22 6 8.3 2.106 2.074 78 15.1 1996 3 8 4 3.71 7 57.6 2.181 2.251 73 15.5 1996 3 18 4 22.09 9 32.9 2.256 2.429 68 15.9 1996 3 28 4 40.36 10 54.7 2.331 2.608 62 16.3 |
4.13. コマスソラ彗星(32P)32P/Comas Sola 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 1 30.79 6 35.8 2.226 2.247 76 14.7 1996 2 7 1 43.47 8 44.1 2.178 2.316 69 14.6 1996 2 17 1 57.97 10 56.4 2.132 2.379 63 14.5 1996 2 27 2 14.19 13 10.9 2.089 2.437 58 14.3 1996 3 8 2 32.03 15 25.7 2.048 2.489 52 14.2 1996 3 18 2 51.45 17 38.7 2.010 2.536 47 14.1 1996 3 28 3 12.43 19 47.5 1.976 2.578 43 14.0 |
4.14. キロン彗星(95P)95P/Chiron 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 12 48.90 -8 7.0 8.454 8.021 112 15.5 1996 2 7 12 48.59 -8 4.6 8.454 7.874 123 15.4 1996 2 17 12 47.57 -7 57.3 8.454 7.743 133 15.4 1996 2 27 12 45.93 -7 45.6 8.454 7.632 144 15.4 1996 3 8 12 43.76 -7 30.0 8.454 7.547 154 15.3 1996 3 18 12 41.21 -7 11.2 8.455 7.488 165 15.3 1996 3 28 12 38.43 -6 50.2 8.455 7.460 175 15.3 |
4.15. ポン-ウィンネッケ彗星(7P)7P/Pons-Winnecke 年 月 日 α δ r Δ Elong m1 1996 1 28 19 54.08 -24 6.4 1.294 2.241 11 13.4 1996 2 7 20 32.75 -23 57.4 1.328 2.264 13 13.6 1996 2 17 21 9.93 -23 17.8 1.371 2.293 16 13.9 1996 2 27 21 45.22 -22 13.5 1.422 2.326 18 14.1 1996 3 8 22 18.41 -20 51.2 1.480 2.362 21 14.4 1996 3 18 22 49.45 -19 17.2 1.542 2.399 23 14.7 1996 3 28 23 18.38 -17 37.3 1.609 2.435 26 15.0 |
2月
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