今週の明るい彗星 (2006年6月10日:北半球版)

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Updated on June 11, 2006
先週 南半球版 来週

最適時刻と方位・高度は、北緯35度の地点での値です。

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* 73P-B/Schwassmann-Wachmann 3

地球に接近した5月上旬には5等に達し、C核とともに頭上高くに二大彗星として見えた。現在は地球から遠ざかりつつあり、減光中。すでに8.5等まで暗くなっている(6月9日、Willian Souza)。だが、2つの核の見かけの距離が近くなり、同一写野に2つの明るい彗星が収まるようになってきた。南半球では高く見えているが、日本では、6月中は明け方の超低空となってしまう。7月からは少しずつ高く見えるようになるが、急激に暗くなっていく。現在はC核より少し暗くなっているが、まだ太陽に近いため、分裂を起こし、急増光する可能性がある。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10   1 23.26   -9 43.1   0.234   0.940    64    7.9   3:00 (285,  4)  
June 17   1 39.10  -11  7.8   0.288   0.949    68    8.4   2:58 (288,  5)  

* 73P-C/Schwassmann-Wachmann 3

地球に接近した5月上旬には6等に達し、B核とともに頭上高くに二大彗星として見えた。現在は地球から遠ざかりつつあり、減光中。すでに7.9等まで暗くなっている(6月9日、Willian Souza)。だが、2つの核の見かけの距離が近くなり、同一写野に2つの明るい彗星が収まるようになってきた。南半球では高く見えているが、日本では、6月中は明け方の超低空となってしまう。7月からは少しずつ高く見えるようになるが、急激に暗くなっていく。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10   1 17.85   -9 42.4   0.255   0.940    65    8.1   3:00 (286,  5)  
June 17   1 34.95  -10 49.3   0.309   0.951    69    8.5   2:58 (288,  6)  

* 41P/Tuttle-Giacobini-Kresak

4月下旬から予想以上に急激に明るくなった。現在は9.8等に達している(5月30日、Juan Jose Gonzalez)。6月に最大光度となり、7月からは減光していくが、秋に暗くなるまで、ずっと夕空で観測できる。今後は、高度30度と、同じような位置に見え続ける。1995年、2001年と、連続して6等以上の大バーストを起こしているので、今後もさらに増光する可能性がある。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10   9 45.02   22 21.0   1.008   1.048    62    9.6  20:59 ( 97, 31)  
June 17  10 16.33   20 32.2   0.984   1.050    63    9.5  21:03 ( 95, 30)  

* 45P/Honda-Mrkos-Pajdusakova

今回は条件がたいへん悪く、日本からはまったく見えない。現在、南半球では明け方の低空に見えている。6月6日に11.4等と、予報どおりに明るくなっている(Michael Mattiazzo)。急激に増光しているが、急激に低くなっている。6月中旬に10等になる頃には、低すぎて観測できなくなる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10   3  5.38   15  7.6   1.298   0.672    30   11.4   3:00 (250, -2)  
June 17   3 55.65   18 29.9   1.333   0.595    24    9.9   2:58 (244, -4)  

* 71P/Clark

5月26日に11.7等(Juan Jose Gonzalez)。今後、7月まで12等を保つ。近日点通過の頃に衝となり、最良の条件だが、9月までは、日本からの高度は13〜20度とたいへん低い。再び高くなる頃には14等以下となり、眼視では見えないだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  19 32.08  -34 24.2   0.608   1.562   147   11.9   2:20 (  0, 21)  
June 17  19 36.45  -36 14.2   0.594   1.565   151   11.8   1:57 (  0, 19)  

* C/2005 E2 ( McNaught )

冬から春にかけて、夕空で10等で見え続けたが、現在は観測不可能。8月下旬に再び13.5等で明け方の空に現れる。10月には高度も高くなり、眼視でも再び14等で見られそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10   5 47.08   34 37.1   3.064   2.093    13   12.0  20:59 (138, -4)  
June 17   6  6.81   34 34.5   3.136   2.155    12   12.2  21:03 (140, -6)  

* C/2004 B1 ( LINEAR )

現在は12.8等(5月25日、Juan Jose Gonzalez)。眼視では拡散状。最大で9等になると期待されていたが、かなり増光が鈍く、当初の予想より遥かに暗い。だが、大口径では明るく楽しめる。今後は秋まで条件良く観測できる。しばらく12等と明るく見えそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  17 21.17   27 23.5   1.480   2.266   129   12.6   0:11 (  0, 82)  
June 17  16 55.02   29 36.6   1.582   2.328   125   12.8  23:10 (  0, 85)  

* 73P/Schwassmann-Wachmann 3 (fainter fragments)

4月から5月上旬にかけて、G核やR核など、いくつかの核が12〜14等まで明るくなり、眼視でも見えた。だが、5月中旬以降は、分裂核はいずれもたいへん暗く報告されている。南半球では高く見えているが、日本では、すでに明け方の超低空となってしまった。だが、まだ地球にたいへん近いため、今後も13〜14等に達する核があるかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10   1 24.63   -9 43.4   0.227   0.940    64   13.3   3:00 (285,  4)  
June 17   1 40.09  -11 14.6   0.281   0.948    68   13.8   2:58 (288,  5)  

* 29P/Schwassmann-Wachmann 1

2005年中はあまり増光しなかったが、2006年の初めには12〜13等と明るいことが多かった。現在は観測不可能。7月に再び明け方の空に現れ、秋から冬にかけて条件良く観測できるようになる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10   3 28.59   27  8.0   6.730   5.814    23   13.9   3:00 (237,  1)  
June 17   3 34.44   27 30.1   6.686   5.816    28   13.9   2:58 (240,  5)  

* 4P/Faye

5月30日に15.5等(Ernesto Guido and Giovanni Sostero)と、予想通りに明るくなっている。現在はまだ明け方の空に低いが、今後は明け方の空に高くなりながら、急激に明るくなっていく。6月には14等となり、眼視で見え始めるだろう。秋から冬にかけて8.5等に達し、最高の条件で観測できる。2007年4月まで14等を保ち、長期に渡って眼視で見え続ける。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  23 41.96    5 37.9   2.171   2.246    80   14.3   3:00 (289, 34)  
June 17  23 53.06    6 49.7   2.058   2.206    84   14.0   2:58 (290, 37)  

* C/2003 WT42 ( LINEAR )

昨年10月からずっと13.5等の明るさで見え続けている。小さく集光が強い。長期に渡って条件良く見られたが、今後は夕空に低くなり、7月には見えなくなる。だが、来年の冬には再び14.5等で条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  10  9.08   42 13.7   5.585   5.211    63   14.0  20:59 (118, 43)  
June 17  10 14.94   41 12.6   5.665   5.216    59   14.0  21:03 (118, 38)  

* C/2006 A1 ( Pojmanski )

2月末から3月初めにかけて、最大で5.2等に達した。急激に減光中だが、現在もまだ12.2等と、この予報より明るい(5月25日、Juan Jose Gonzalez)。但し、現在はかなり拡散している。日本からは、今後は暗くなるまでずっと条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10   2 24.80   69 18.4   2.532   2.077    52   14.2   3:00 (204, 31)  
June 17   2 37.92   70 19.5   2.616   2.178    53   14.6   2:58 (204, 33)  

* 102P/Shoemaker 1

前回の1999年は条件が悪く観測されなかったが、今回は近日点通過後に条件が良くなる。6月から8月にかけて14.5等に達するだろう。明け方の空に昇って来た。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10   1 14.85   15 40.8   2.353   1.974    56   14.7   3:00 (265, 20)  
June 17   1 27.39   18 15.8   2.296   1.975    58   14.7   2:58 (264, 25)  

* 117P/Helin-Roman-Alu 1

2005年の春には14等に達し、眼視でも13.8等で見えた(7月8日、Reinder J. Bouma)。2006年は、夏に再び同じような条件になる。やや低空だが、14等に達しそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  22 41.94  -18 46.3   2.753   3.153   103   15.2   3:00 (320, 26)  
June 17  22 45.36  -18 50.6   2.672   3.162   109   15.1   2:58 (325, 28)  

* C/2005 L3 ( McNaught )

木星よりも遠くにあるため、長期に渡って観測できる。2006年はまだ暗く、やや高度も低い。だが、2007年から2008年にかけて、14.5〜15等まで明るくなると予想されている。高度も高くなるので、眼視でも見えるようになるかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  20  6.02  -24 36.9   6.164   6.975   140   16.0   2:54 (  0, 30)  
June 17  20  0.20  -24 35.1   6.062   6.946   148   15.9   2:21 (  0, 30)  

* C/2004 Q2 ( Machholz )

2004年1月上旬の最盛期には、3.5等、視直径30分角という巨大な姿が、頭上高く、たいへん明るく見えた。その後は次第に暗くなり、すでに眼視では見えなくなったが、CCDではまだ15.8等と明るい(3月30日、吉本勝己氏)。10月に18等以下になるまで、ずっと追跡できるだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  16 22.37    3  2.3   5.055   5.966   151   16.3  23:07 (  0, 58)  
June 17  16 18.44    2 48.3   5.150   6.028   147   16.4  22:35 (  0, 58)  

* 98P/Takamizawa

4月2日に15.5等(門田健一氏)と、意外に明るい。ただ、6月まではかなり高度が低い。暗くなり始めてから、ようやく高くなってくる。だが、過去にはバーストして肉眼彗星となったこともあるので、注意が必要。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  23 47.76   -7 16.7   1.712   1.907    84   16.3   3:00 (299, 24)  
June 17  23 58.46   -6 58.1   1.675   1.940    88   16.4   2:58 (301, 27)  

* D/1986 W1 ( Lovas 2 )

1986年に発見された後、行方不明になっている。今回は条件が良く、計算上は、秋から冬にかけて14等に達する。但し、発見時は異常に増光していたようなので、この予報よりはるかに暗い可能性がある。日本からは、来年春に暗くなるまで、ずっと観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  18 13.41  -24  1.2   1.221   2.219   165   16.6   1:02 (  0, 31)  
June 17  18  6.93  -23 57.6   1.158   2.171   173   16.4   0:28 (  0, 31)  

* C/2004 D1 ( NEAT )

2月9日には15.8等(門田健一氏)。来年春にかけて、長期に渡って16等で条件良く見られる。眼視では13.9等以下で見えなかった(3月31日、吉田誠一)。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  10 47.57   54 28.4   5.350   5.059    68   16.5  20:59 (135, 50)  
June 17  10 54.10   53 12.9   5.421   5.069    64   16.5  21:03 (133, 46)  

* C/2005 K1 ( Skiff )

2005年は、春から夏にかけて、CCDで16等、眼視でも14等で見えた。2006年も春から夏にかけて16.5等で観測できる。ただ、2005年よりはやや高度は低い。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  19 30.24  -11 21.7   3.227   4.101   145   16.6   2:19 (  0, 44)  
June 17  19 24.47  -12 49.3   3.195   4.128   153   16.6   1:45 (  0, 42)  

* C/2002 VQ94 ( LINEAR )

木星よりも遠くにあるため、長期に渡って16.5〜17等を保つ。北天を移動するため、2006年夏まで高い位置で条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  13 22.36   63  6.1   6.894   6.844    82   16.8  20:59 (168, 61)  
June 17  13 19.31   61 50.0   6.947   6.849    80   16.8  21:03 (160, 60)  

* C/2005 B1 ( Christensen )

3月13日に16.0等(門田健一氏)。2005年の初めから約1年間16〜16.5等を保った。しばらく低かったが、今後は高くなっていく。秋に条件が良くなるまでは、17等を保つ。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10   0 49.93   54 15.6   3.801   3.363    57   16.8   3:00 (225, 39)  
June 17   0 55.89   54 21.4   3.769   3.384    60   16.9   2:58 (225, 42)  

* 2006 HR30

彗星のような軌道を持つ特異小惑星。来年1月に14等に達する。これから急激に明るくなっていく様子を、条件良く観測できる。今後、彗星に化けるかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  22 42.79    0 19.0   2.541   2.842    96   17.2   3:00 (306, 41)  
June 17  22 46.09    1 51.8   2.385   2.776   101   17.0   2:58 (311, 45)  

* 174P/(60558) 2000 EC98 ( Echeclus )

2004年までは21等以下と極めて暗いセントール型の小惑星だった。だが、2005年12月30日に17.5等まで増光し、コマが観測され、彗星であることが判明した。1月7日には14.8等と、更に明るくなった(門田健一氏)。眼視でも14.4等で見えた(1月8日、吉田誠一)。4月16日にもまだ15.7等の明るさを保っている(津村光則氏)。現在は、バーストで放出された物質が核から離れて見える。一時的なバーストなので、近いうちに元通り、21等まで暗くなるだろう。近日点通過は2015年で、太陽に5.9AUまで近づくが、17等止まりだろう。だが、再びバーストを起こすかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  12 57.22   -4  0.6  12.309  12.783   115   17.1  20:59 ( 29, 47)  
June 17  12 56.88   -3 59.0  12.403  12.770   109   17.2  21:03 ( 39, 43)  

* P/2005 L1 ( McNaught )

2005年夏には17等で観測された。2006年夏に再び17等に達するだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  22 46.80   -8 20.2   2.923   3.240    98   17.4   3:00 (312, 33)  
June 17  22 50.28   -8 12.9   2.836   3.247   104   17.4   2:58 (318, 37)  

* P/2004 VR8 ( LONEOS )

2004年11月に発見された時には18等と暗かったが、2005年初めにかけて、かなり急激に明るくなり、5月7日には16.0等に達した(門田健一氏)。明け方の空に再び現れて来た後もさらに増光し、11月22日には14.7等まで明るくなった(門田健一氏)。眼視でも14.4等と明るく見えた(3月29日、Maciej Reszelski)。だが、CCDではすでに16.6等まで暗くなっている(4月20日、津村光則氏)。日本からは、夏に暗くなるまで、ずっと条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
June 10  13 16.65    9 16.7   2.622   3.175   114   17.8  20:59 ( 30, 61)  
June 17  13 17.64    8  9.4   2.736   3.206   108   18.0  21:03 ( 42, 56)  

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