今週の明るい彗星 (2006年4月1日:北半球版)

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Updated on April 10, 2006
先週 南半球版 来週

最適時刻と方位・高度は、北緯35度の地点での値です。

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* C/2006 A1 ( Pojmanski )

2月末から3月初めにかけて、最大で5.2等に達した。現在は暗くなりつつあるが、減光のペースはまだ緩やかで、まだ7.6等と明るい(3月31日、吉田誠一)。ほど良く集光している。日本からは、今後は暗くなるまでずっと条件良く観測できる。明け方の空で次第に暗くなっていく。6月までは眼視で見えそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  22 31.21   49  8.8   1.197   0.988    52    7.8   4:22 (229, 30)  
Apr.  8  23  3.92   54  3.3   1.358   1.102    53    8.6   4:11 (222, 29)  

* 73P-C/Schwassmann-Wachmann 3

3月31日には9.6等(吉田誠一)と、すでに眼視でもかなり明るく見えるようになっている。非常に集光が強く、恒星状の核から、幅広い尾が伸びている様子が眼視でもはっきり分かる。順調に明るくなってきているが、当初の予想より若干増光は遅い。1930年の発見以来76年ぶりに、5月12日に地球に0.08AUまで大接近する。最大で4等になり、肉眼でも見られるだろう。5月の最接近まで、急激に明るくなっていく様子をずっと条件良く観測できる。現在、B核とG核の2つの核も明るく見えている。彗星の接近に合わせて、5月から6月にかけて、1930年に見られたうしかい座流星群が再び突発出現するかもしれない。但し、計算上は地球はダストトレイルと遭遇しない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  14 40.69   19 35.3   0.390   1.328   141    9.7   2:04 (  0, 74)  
Apr.  8  14 53.66   21 48.5   0.320   1.265   140    8.9   1:50 (  0, 77)  

* C/2005 E2 ( McNaught )

昨年の8月からずっと南の低空に眼視で見え続けている彗星。12月から3ヵ月も、ずっと10等を保っている。以前は小さくかなり鋭かったが、今はふつうの拡散した彗星状。夕空でゆっくりと高度が下がっており、4月には低すぎて見えなくなる。8月下旬に再び13.5等で明け方の空に現れる。10月には高度も高くなり、眼視でも再び14等で見られそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1   2  3.20   23 22.2   2.420   1.602    27   10.4  19:46 (112,  9)  
Apr.  8   2 25.97   25 34.9   2.468   1.635    26   10.5  19:53 (116,  8)  

* 73P-B/Schwassmann-Wachmann 3

3月末まで予想通りに順調に明るくなってきた。3月31日には11.9等だった(吉田誠一)。ところが、4月2日に予想外のバーストを起こした。現在は、C核と同じ9等級の明るさに達している。3月末まではふつうの彗星状であったが、現在はバースト直後のため、非常に集光が強く、恒星状の核がはっきり見えている。1930年の発見以来76年ぶりに、5月14日に地球に0.067AUまで大接近する。5月の最接近まで、急激に明るくなっていく様子をずっと条件良く観測できる。このままの明るさを保てば、C核と同様に4等に達し、共に肉眼彗星となるだろう。だが、今後の変化は予断を許さない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  14 30.55   20 34.5   0.395   1.337   143   11.8   1:54 (  0, 75)  
Apr.  8  14 40.70   22 57.0   0.326   1.274   142   11.0   1:37 (  0, 78)  

* C/2004 B1 ( LINEAR )

最大で9等になると期待されていたが、かなり増光が鈍く、予想より遥かに暗い。昨年秋には南半球で10等で見えるはずだったが、実際には12〜13等だった。その後、南半球でも1月から2月にかけては低すぎて見えなかったため、観測が極めて少なかった。だが、日本からもようやく明け方の空に見え始めた。今後は秋まで条件良く観測できる。3月30日には12.6等(吉本勝己氏)。しばらく12等と明るく見えそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  20 23.48  -17 54.8   1.875   1.749    67   11.9   4:22 (309, 18)  
Apr.  8  20 17.54  -14 23.3   1.770   1.789    74   11.9   4:11 (310, 24)  

* C/2003 WT42 ( LINEAR )

ふつうの彗星より速いペースで増光して、10月には13.5等で眼視でも見えるようになった(10月24日、吉田誠一)。現在も13.4等と明るい(2月27日、吉田誠一)。小さく集光が強い。遠方の彗星のため、これから2006年6月まで、長期に渡って13.5等で条件良く見られそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1   9 38.49   51 16.5   4.731   5.192   112   13.6  21:00 (180, 74)  
Apr.  8   9 38.42   50 34.2   4.808   5.191   107   13.6  20:32 (180, 75)  

* 71P/Clark

3月14日に15.2等(門田健一氏)と増光してきている。これから明け方の空で急激に増光してくる。3月31日には13.0等以下で、眼視では見えなかった(吉田誠一)。だが、まもなく眼視でも見え始めるだろう。6月には12等に達する。近日点通過の頃に衝となり、最良の条件。だが、6月から9月までは、日本からの高度は13〜20度とたいへん低くなってしまう。再び高くなる頃には14等以下となり、眼視では見えないだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  17 33.56  -20 40.1   1.097   1.689   107   13.9   4:22 (350, 34)  
Apr.  8  17 48.64  -21 37.9   1.024   1.665   110   13.6   4:11 (351, 33)  

* 29P/Schwassmann-Wachmann 1

2005年には、9月と11月にバーストを起こし、12.5〜13等に達した。12月から1月にかけては15等と暗かったが、1月下旬からはしばらく13等と明るい状態が続いている。3月18日にもまだ13.2等と明るい(Rolando Ligustri)。だが、まもなく低すぎて観測できなくなる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1   2 28.94   23 20.3   6.618   5.798    32   13.8  19:46 (109, 14)  
Apr.  8   2 34.58   23 41.6   6.674   5.800    26   13.8  19:53 (113,  9)  

* 73P-G/Schwassmann-Wachmann 3

3月23日に15.6等(E. J. Christensen)と、順調に明るくなってきている。5月の最接近まで、急激に明るくなっていく様子をずっと条件良く観測できる。3月31日には13.7等以下で、眼視では見えなかった(吉田誠一)。だが、4月上旬には眼視で見え始めるだろう。5月には最大で8.5等に達しそう。但し、小さい分裂核のため、今後の光度変化は予断を許さない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  14 28.83   20 44.4   0.396   1.339   143   15.3   1:53 (  0, 76)  
Apr.  8  14 38.50   23  8.2   0.327   1.276   142   14.6   1:35 (  0, 78)  

* P/2005 XA54 ( LONEOS-Hill )

12月初めに発見された当時は18.5等と暗かったが、1月中旬には17等まで増光した。その後、1月中旬からは極端に急激に明るくなり、2月下旬には眼視でも14.0等と、かなり明るく見えている(2月27日、吉田誠一)。たいへん集光が強く、恒星状に近い。条件良く観測できるが、4月以降はあっという間に暗くなりそう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  10 31.68   25 50.6   0.935   1.797   136   15.5  21:53 (  0, 81)  
Apr.  8  10 38.12   26 21.6   0.988   1.809   130   15.9  21:32 (  0, 81)  

* C/2005 B1 ( Christensen )

2006年2月に近日点を通過するが、期待されたほど増光しておらず、12月18日に15.7等(門田健一氏)。2006年暮れにかけて、長い間15〜16等で見える。北天を移動するため、日本からはずっと観測できる。5月頃までが最も明るいが、ずっと高度は30度以下と低い。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  22 56.70   53 49.0   3.712   3.224    53   15.7   4:22 (222, 28)  
Apr.  8  23 12.31   53 47.1   3.749   3.232    52   15.7   4:11 (222, 28)  

* 174P/(60558) 2000 EC98 ( Echeclus )

2004年までは21等以下と極めて暗いセントール型の小惑星だった。だが、2005年12月30日に17.5等まで増光し、コマが観測され、彗星であることが判明した。1月7日には14.8等と、更に明るくなった(門田健一氏)。眼視でも14.4等で見えた(1月8日、吉田誠一)。奇妙な惑星状星雲のような姿で、眼視では拡散状。一時的なバーストと思われる。近いうちに元通り、21等まで暗くなるだろう。だが、4月2日にもまだ15.7等の明るさを保っている(Giovanni Sostero and Ernesto Guido)。近日点通過は2015年で、太陽に5.9AUまで近づくが、17等止まりだろう。だが、再びバーストを起こすかもしれない。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  13  9.93   -5 19.8  11.918  12.910   172   15.7   0:34 (  0, 50)  
Apr.  8  13  8.29   -5  9.0  11.897  12.897   178   15.8   0:05 (  0, 50)  

* C/2004 Q2 ( Machholz )

2004年1月上旬の最盛期には、3.5等、視直径30分角という巨大な姿が、頭上高く、たいへん明るく見えた。その後は次第に暗くなり、すでに眼視では見えなくなったが、CCDではまだ15.6等と明るい(3月4日、吉本勝己氏)。10月に18等以下になるまで、ずっと追跡できるだろう。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  16 59.08    2  4.2   4.829   5.331   115   15.7   4:22 (359, 57)  
Apr.  8  16 57.12    2 22.0   4.803   5.395   121   15.7   3:53 (  0, 57)  

* C/2004 D1 ( NEAT )

ふつうの彗星より速いペースで増光して、2月9日には15.8等に達している(門田健一氏)。来年春にかけて、長期に渡って16等で条件良く見られる。眼視では13.9等以下で見えなかった(3月31日、吉田誠一)。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  10 17.67   65 17.2   4.626   4.989   105   16.1  21:39 (180, 60)  
Apr.  8  10 16.42   64 30.2   4.691   4.993   101   16.1  21:10 (180, 61)  

* P/2004 VR8 ( LONEOS )

2004年11月に発見された時には18等と暗かったが、2005年初めにかけて、かなり急激に明るくなり、5月7日には16.0等に達した(門田健一氏)。明け方の空に再び現れて来た後もさらに増光し、11月22日には14.7等まで明るくなっている(門田健一氏)。眼視でも14.0等で見えている(2月27日、吉田誠一)。日本からは、夏に暗くなるまで、ずっと条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  13 52.57   15 11.0   1.945   2.874   153   16.1   1:17 (  0, 70)  
Apr.  8  13 46.95   15 15.0   1.962   2.903   155   16.2   0:44 (  0, 70)  

* 41P/Tuttle-Giacobini-Kresak

1995年、2001年と、連続して6等以上の大バーストを起こしている。予報では14等止まりだが、今回も予報通りにはいかないだろう。突発的な増光を見せて、眼視で見えるようになる可能性は高い。3月3日には16.6等(Toni Scarmato)と、すでにこの予報より明るくなってきている。今回は地球にあまり近づかないが、6月に最大光度となり、秋に暗くなるまで、ずっと夕空で観測できる。5月以降は、高度30度と、同じような位置に見え続ける。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1   6  0.77   22 10.4   1.195   1.406    79   16.5  19:46 ( 77, 56)  
Apr.  8   6 14.56   23  2.9   1.193   1.351    75   16.2  19:53 ( 83, 53)  

* C/2005 K1 ( Skiff )

2005年春から夏にかけて、CCDで16等、眼視でも14等で見えた彗星。再び明け方の空に現れて来た。2006年も春から夏にかけて16等で観測できる。ただ、2005年よりはやや高度は低い。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  19 42.20   -2  5.7   4.013   3.873    74   16.4   4:22 (305, 37)  
Apr.  8  19 44.68   -2 39.1   3.925   3.892    80   16.4   4:11 (309, 39)  

* C/2004 K1 ( Catalina )

2005年春には、眼視でも14.3等で見えた(7月10日、Edwin van Dijk)。現在は16.6等(2月5日、門田健一氏)。12月から4月始めまでずっと16.5等を保つが、その後は急に暗くなり、7月には18等以下になる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  11 49.19   19 22.5   3.284   4.200   153   16.6  23:09 (  0, 74)  
Apr.  8  11 36.30   19 50.8   3.375   4.236   145   16.7  22:28 (  0, 75)  

* C/2002 VQ94 ( LINEAR )

2006年2月に近日点を通過するが、木星よりも遠くにあるため、長期に渡って17等を保つ。北天を移動するため、2006年夏まで高い位置で条件良く観測できる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  14 50.96   69 51.4   6.518   6.806   102   16.7   2:15 (180, 55)  
Apr.  8  14 39.95   69 50.8   6.538   6.808   101   16.7   1:37 (180, 55)  

* (944) Hidalgo

2004年秋には好条件となり、13等で眼視でも見えた。8月にいったん観測できなくなっていたが、再び明け方の空に現れて来た。4月末まで17等を保つが、その後はすぐに18等以下になり、去って行く。次回帰は2018年で、14.3等止まりである。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  13  1.33    6 29.5   3.191   4.173   167   16.7   0:26 (  0, 61)  
Apr.  8  12 54.93    6 26.7   3.235   4.215   166   16.8  23:47 (  0, 61)  

* 73P/Schwassmann-Wachmann 3 (H to Y)

明るく見えているC核、B核、G核の他に、無数の暗い核が発見されている。これらはB核から分裂したものと思われる。現在、R核とN核の2つが急増光している。R核は16.9等、N核は17.8等。これ以外の核はかなり暗い。いずれも小さい破片のため、光度変化は不安定。H核とL核は、すでに減光を始めている。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  14 27.02   20 54.6   0.397   1.340   143   17.8   1:51 (  0, 76)  
Apr.  8  14 36.20   23 19.8   0.328   1.277   142   17.0   1:32 (  0, 78)  

* C/2006 CK10 ( Catalina )

近日点の頃は見えないが、春と秋に、17〜17.5等で条件良く見られる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1   8 54.00   65 45.2   1.716   2.116    98   17.4  20:12 (180, 59)  
Apr.  8   8  5.74   63  4.4   1.804   2.069    90   17.4  19:53 (167, 61)  

* 99P/Kowal 1

2006年春に17.7等で観測できる。2007年春にも17.5等で観測できるが、やや高度が低くなる。

Date(TT)  R.A. (2000) Decl.   Delta     r    Elong.  m1   Best Time(A, h)  
Apr.  1  11 13.36    8 33.3   3.919   4.841   154   17.7  22:34 (  0, 64)  
Apr.  8  11 10.65    8 44.3   3.963   4.835   147   17.8  22:04 (  0, 64)  

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