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最近の光度変化まずはじめに、この彗星のこれまでの光度変化を見てみよう。 3ページのグラフ は、上が横軸に日付をとった光度変化を表すもので、下が横軸 に 、縦軸に をとって光度変化が直線になるよ うにしたものである。このグラフ中のデータは、1月1日の発見前の観測から NIFTY-ServeのFSPACEに報告された3月16日までの192個の光度観測である。 また、グラフ中の2本の線は、光度式を表している。 少々見づらいが、この2本の線は途中で交差している。 このうち、傾きが急である方が国際天文学連合が発見当初に発表した光度式で、
である。 上のグラフを見ると、この予報では地球最接近の時に0等、近日点通過の時に-1 等となり、大彗星となることが期待される。 ところで、グラフを一見して分かるように、2月10日頃を境として光度変化がず いぶん異なっているように見える。 そこで、2月10日から3月16日までの183個の観測から光度式を求めてみると、
となる。 太陽に近づくにつれて彗星が活発になる度合を表す の係数が、平均的な 10という値よりも小さくなってしまっている。 これはつまり、彗星の光度上昇がほんの少しだけ鈍っていることを示唆している。 これによると、近日点通過の時でも2等となる。 4月に入って太陽に近づいていくと、光度は明るくなってくるが観測条件が悪く なってくるため、2等という予報に従うと思ったよりも見えない可能性がある。 あくまで予報は予報でしかないが、4月から5月にかけてウエスト彗星のように見 えることを期待するのは難しいかもしれない。 いずれにせよ、百武彗星に関しては、これから4月始めまでの地球接近の時期に 良く見ておくことをお勧めする。
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