2016年6月18〜19日 第46回 彗星会議 in ふくい
吉田 誠一 / Seiichi Yoshida
comet@aerith.net
http://www.aerith.net/
本来は、絶対光度が17〜18等の暗い彗星ですが、異常に増光しました。
増光幅は8等ほどになります。
近日点通過の2週間ほど前から増光が始まり、近日点の20日後から50日後にかけて、1ヶ月に渡って最大光度を保ちました。
今回の出現は、2000年の発見当時とほぼ同じ条件でした。
出現 | 近日点通過日 | 近日点距離 | 地球最接近日 | 地心距離 |
---|---|---|---|---|
2000年 | 3月9日 | 1.003 | 3月4日 | 0.097 |
2016年 | 3月15日 | 0.996 | 3月21日 | 0.036 |
q = 0.82 天文単位の彗星です。
順調に増光していましたが、近日点の前後では増光が鈍りました。
日心距離が1.7天文単位の位置で増光が鈍り、近日点を挟んで、日心距離が1.6天文単位の位置まで停滞しました。
q = 1.3 天文単位の彗星です。
12.5 log r の光度式に沿って、やや急激に増光していました。
1月上旬に2等ほどの一時的なバーストを起こした後、増光が鈍りました。
q = 0.31 天文単位まで太陽に近づきましたが、増光のペースは 8.5 log r と鈍かったです。
ダストが明るく見えたためか、近日点通過後の方が、1等ほど明るく観測されました。
q = 2.1 天文単位と、あまり太陽に近づかない彗星です。
近日点通過の4ヶ月ほど前、日心距離が2.6天文単位の位置から、異常なペースで急増光しました。
e = 0.9876、周期2200年ほどの周期彗星です。
近日点を過ぎた後は急減光せず、10 log r のペースで減光しています。
近日点通過の3ヶ月前、1月上旬に、佐藤英貴氏によって、かすかな尾が捉えられました。
佐藤英貴氏は、C/2002 CE10 や P/2012 NJ で見られたような尾と報告しています。
近日点通過の40日ほど前、2月下旬からは、普通の彗星状の姿になりました。
2007年の発見時は、近日点通過の3ヶ月後に発見されましたが、彗星活動は報告されませんでした。
今回も、7月半ばには、彗星活動が収まるのかもしれません。
q = 1.38, e = 0.9929、周期2700年ほどの周期彗星です。
近日点通過の3ヶ月前、1月初めの時点では、彗星活動は確認されていませんでした。
ただ、12月24日のF51と、1月2日のD29の観測は、小惑星としての予報光度より、少し明るかったです。
252P/LINEAR の分裂核です。
彗星 | 近日点通過日 | 近日点距離 | 地球最接近日 | 地心距離 |
---|---|---|---|---|
252P | 3月15日 | 0.996 | 3月21日 | 0.036 |
P/2016 BA14 | 3月15日 | 1.009 | 3月23日 | 0.024 |
C/2002 CE10 や P/2012 NJ で見られたような尾が観測されましたが、333P/LINEAR と違って、普通の彗星活動は見られませんでした。
光度変化も、完全に小惑星の光度曲線に沿っています。
6月まではほぼ予報通りに増光していましたが、7月に衰退しました。
主核は、9月以降は観測されませんでした。
代わりに、D核が増光し、11月まで観測されました。
なお、過去2回の出現(2001年、2008年)は、いずれも、近日点通過後しか観測されていませんでした。
発見時より3〜4等ほど暗く検出されましたが、6等ほどのバーストを起こしました。
2009年に発見された彗星ですが、1996年と2003年の出現も確認されています。
過去3回の出現では、特異な光度変化は見られませんでした。
15 log r のペースで、急激に増光しました。
近日点を通過した後も増光を続け、35日後に最大光度となりました。
2004年の発見時も、近日点の20日後に最大光度になりました。
今回は、増光が長く続き、近日点の65日後に最大光度になりました。
地球に0.18天文単位まで大接近し、明るくなると期待されましたが、予想をはるかに下回りました。
q = 0.98 天文単位と、近日点距離が小さい短周期彗星です。
近日点の前後でのみ急増光する彗星も多いですが、この彗星は逆でした。
なお、2015年6月の19等の観測は、WISEによるものです。
近日点の直前になっても暗いです。
日付 | 日心距離 | 光度 | 観測者 |
---|---|---|---|
5月22日 | 2.14 | 22.6 | Cerro Paranal (309) |
8月8日 | 0.89 | 21.8 | iTelescope Observatory, Siding Spring (Q62) |
2010年の発見時と比べると、13等ほど暗くなりました。
日付 | 出来事 | 日心距離 |
---|---|---|
12月31日 | A核、B核の検出 | 1.73 |
1月4日 | C核の検出 | 1.72 |
2月初め | C核の増光 | 1.63 |
3月17日 | 近日点通過 | 1.57 |
1998年には13等まで明るくなりましたが、2004年には暗く、2010年には観測されませんでした。
45 log r のペースで増光しました。
30 log r のペースで増光しました。
30 log r のペースで増光しました。
近日点距離が 2.4 → 2.0 天文単位と近づくようになりました。
30 log r のペースで増光しました。
q = 2.67、e = 0.998 の長周期彗星です。
光度式は、m1 = 4.0 + 5 logΔ + 14.0 log r でした。
q = 1.64、e = 0.986 の長周期彗星です。
光度式は、m1 = 7.5 + 5 logΔ + 18.0 log r でした。
q = 0.72、e = 0.997 の長周期彗星です。
光度式は、m1 = 13.5 + 5 logΔ + 20 log r でした。
q = 1.19、e = 0.939 の長周期彗星です。
光度式は、m1 = 10.0 + 5 logΔ + 20 log r でした。
今回は条件の良い回帰ですが、予報より暗いです。
今回は条件の悪い回帰でした。
今回は条件の悪い回帰でした。
今回は条件の悪い回帰でした。
近日点通過の40日後に最大光度となる特徴がありますが、回帰のたびに、増光のペースが異なります。
前回2009年はかなり明るくなりましたが、今回はそれには及びませんでした。
出現 | 光度式 |
---|---|
1996年 | m1 = 9.0 + 5 logΔ + 15 log r(t - 40) |
2002年 | m1 = 10.8 + 5 logΔ + 10 log r(t - 40) |
2009年 | m1 = 8.0 + 5 logΔ + 17 log r(t - 40) |
2015年 | m1 = 9.5 + 5 logΔ + 14 log r(t - 40) |
1975年の発見以来、ずっと条件の悪い秋に近日点を通過しており、明るくなりませんでした。
前回2009年は夏に近日点を通過し、15等まで明るくなりました。
今回は春に近日点を通過し、13等まで明るくなりました。
ほぼ予報通りでした。
近日点通過の15〜33日後に最大光度となる特徴がありますが、回帰のたびに、増光のペースが異なります。
前回2009年はかなり明るくなりましたが、今回は、僅かに及びませんでした。
出現 | 光度式 |
---|---|
1998年 | m1 = 5.5 + 5 logΔ + 25 log r(t - 33) |
2004年 | m1 = 5.5 + 5 logΔ + 25 log r(t - 33) |
2009年 | m1 = 3.5 + 5 logΔ + 30 log r(t - 15) |
2015年 | m1 = 5.2 + 5 logΔ + 22 log r(t - 15) |
今回は、過去2回の回帰と比べて、かなり暗いです。
拡散状で、光度のばらつきが大きいです。
分裂核(H核)も観測されました。
q = 0.50 天文単位と、太陽に近づく短周期彗星です。
近日点の前後の短期間のみ、急激に増光する傾向があります。
遠方の彗星であれば、日心距離がほとんど変わらないため、光度変化は緩やかになりそうですが、急激に増光する彗星が多くあります。
近日点を過ぎた後も、増光を続ける彗星もあります。
周期彗星かどうかは、関係が無いようです。
彗星 | 近日点距離 | 増光のペース | 近日点から最大光度まで | 離心率 |
---|---|---|---|---|
C/2013 TW5 ( Spacewatch ) | 5.8 | 20 log r | 150日後 | 0.986 |
C/2014 B1 ( Schwartz ) | 9.6 | 20 log r | 1.004 | |
C/2014 OE4 ( PanSTARRS ) | 6.2 | 21 log r | 0.999 | |
C/2014 R3 ( PanSTARRS ) | 7.3 | 40 log r | 1.000 | |
C/2015 GX ( PanSTARRS ) | 2.0 | 13 log r | 50日後 | 0.878 |
C/2015 LC2 ( PanSTARRS ) | 5.9 | 30 log r | 400日後 | 1.002 |
C/2015 T4 ( PanSTARRS ) | 2.3 | 15 log r | 0.974 | |
C/2015 Y1 ( LINEAR ) | 2.5 | 25 log r | 0.991 | |
C/2016 B1 ( NEOWISE ) | 3.2 | 20 log r | 0.993 |
彗星 | 近日点距離 | 増光のペース | 近日点から最大光度まで | 離心率 |
---|---|---|---|---|
C/2013 TW5 ( Spacewatch ) | 5.8 | 20 log r | 150日後 | 0.986 |
彗星 | 近日点距離 | 増光のペース | 近日点から最大光度まで | 離心率 |
---|---|---|---|---|
C/2014 B1 ( Schwartz ) | 9.6 | 20 log r | 1.004 |
彗星 | 近日点距離 | 増光のペース | 近日点から最大光度まで | 離心率 |
---|---|---|---|---|
C/2014 OE4 ( PanSTARRS ) | 6.2 | 21 log r | 0.999 |
彗星 | 近日点距離 | 増光のペース | 近日点から最大光度まで | 離心率 |
---|---|---|---|---|
C/2014 R3 ( PanSTARRS ) | 7.3 | 40 log r | 1.000 |
彗星 | 近日点距離 | 増光のペース | 近日点から最大光度まで | 離心率 |
---|---|---|---|---|
C/2015 GX ( PanSTARRS ) | 2.0 | 13 log r | 50日後 | 0.878 |
彗星 | 近日点距離 | 増光のペース | 近日点から最大光度まで | 離心率 |
---|---|---|---|---|
C/2015 LC2 ( PanSTARRS ) | 5.9 | 30 log r | 400日後 | 1.002 |
彗星 | 近日点距離 | 増光のペース | 近日点から最大光度まで | 離心率 |
---|---|---|---|---|
C/2015 T4 ( PanSTARRS ) | 2.3 | 15 log r | 0.974 |
彗星 | 近日点距離 | 増光のペース | 近日点から最大光度まで | 離心率 |
---|---|---|---|---|
C/2015 Y1 ( LINEAR ) | 2.5 | 25 log r | 0.991 |
彗星 | 近日点距離 | 増光のペース | 近日点から最大光度まで | 離心率 |
---|---|---|---|---|
C/2016 B1 ( NEOWISE ) | 3.2 | 20 log r | 0.993 |
遠方の彗星であれば、日心距離がほとんど変わらないため、数年間に渡って観測されそうですが、短期間しか観測されない彗星が多くあります。
周期彗星かどうかは、関係が無いようです。
彗星 | 近日点距離 | 離心率 |
---|---|---|
C/2013 F2 ( Catalina ) | 6.2 | 0.999 |
C/2014 G1 ( PanSTARRS ) | 5.5 | 0.995 |
C/2014 M2 ( Christensen ) | 6.9 | 0.993 |
C/2014 Q6 ( PanSTARRS ) | 4.2 | 0.999 |
C/2014 W8 ( PanSTARRS ) | 5.0 | 0.974 |
C/2014 Y1 ( PanSTARRS ) | 2.2 | 1.002 |
C/2015 A2 ( PanSTARRS ) | 5.3 | 1.0 |
彗星 | 近日点距離 | 離心率 |
---|---|---|
C/2013 F2 ( Catalina ) | 6.2 | 0.999 |
彗星 | 近日点距離 | 離心率 |
---|---|---|
C/2014 G1 ( PanSTARRS ) | 5.5 | 0.995 |
彗星 | 近日点距離 | 離心率 |
---|---|---|
C/2014 M2 ( Christensen ) | 6.9 | 0.993 |
彗星 | 近日点距離 | 離心率 |
---|---|---|
C/2014 Q6 ( PanSTARRS ) | 4.2 | 0.999 |
彗星 | 近日点距離 | 離心率 |
---|---|---|
C/2014 W8 ( PanSTARRS ) | 5.0 | 0.974 |
彗星 | 近日点距離 | 離心率 |
---|---|---|
C/2014 Y1 ( PanSTARRS ) | 2.2 | 1.002 |
彗星 | 近日点距離 | 離心率 |
---|---|---|
C/2015 A2 ( PanSTARRS ) | 5.3 | 1.0 |
q = 3.8 天文単位、周期26年の短周期彗星です。
近日点通過より、1年後の方が明るく観測されました。