2011年7月16〜17日 第41回彗星会議 in 長野 野辺山
吉田 誠一 / Seiichi Yoshida
comet@aerith.net
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増光・減光ともに急激な彗星でした。 光度のピークは、近日点の20日ほど後でした。
m1 = 5.0 + 5 logΔ + 14.5 log r (t - 20)
太陽から遠ざかり、中心核が暗く小さくなっても、空の条件の良いところでは、大量に放出されたダストの残光がずっと見え続けていました。
0.4 A.U. まで太陽に接近するため、2等まで明るくなると期待された彗星です。
当初は、12.0 log r に沿って、期待を上回って急激に増光しましたが、近日点の24日ほど前に、突然に増光がストップしました。
ターニングポイントは6月8日頃で、この頃の日心距離は 0.74 A.U. でした。 急激な増光は、かなり太陽に近づくまで続いたことになります。
近日点の後も、8月から9月6日までは、SWANの画像に写っており、明るさを維持していました(佐藤裕久氏)。 しかし、9月末以降、南半球で条件が良くなった頃には、まったく写りませんでした。 9月半ば頃に、彗星は消滅したものと思われます。
近日点距離が 0.88 A.U. と小さいのに、予想をはるかに上回って急激に増光し、明るくなりました。 周期彗星(e=0.997)によく見られる光度変化です。
m1 = 10.0 + 5 logΔ + 25.0 log r (t - 5)
4月16.0日(UT)に、完全に恒星状の姿で発見されました。半日前の4月15.4日(UT)には、20等以下であったことが確認されています。
順調に拡散・減光しました。
新しいメインベルト彗星です。
発見時の明るさから計算すると、遠日点でも20等台となります。 これまで発見されていなかったことを考えれば、一時的なバーストと思われます。
11月2.8日(UT)に池谷薫さんが、11月3.8日(UT)に村上茂樹さんが発見されました。 発見時はすでに彗星状の姿でしたが、8等の明るさの割りに小さく、バースト直後と思われます。
順調に拡散・減光しました。
光度グラフは、過去3回の光度変化を合わせたものです。
近日点の直前に急増光し、近日点通過後はやや緩やかに減光します。 今回も、ほぼ予想通りに明るくなりました。
(遠方) H = 13.6 G = 0.15
(近日点前)m1 = 4.6 + 5 logΔ + 35 log r
(近日点後)m1 = 7.2 + 5 logΔ + 18 log r
好条件だった1999年と比べると、近日点の前はやや増光が鈍かったのですが、逆に、近日点の後は長く明るさを保ちました。
光度グラフは、過去3回の光度変化を合わせたものです。
近日点の少し前に最大光度となり、近日点の後は、やや減光は緩やかになります。 今回も、ほぼ予想通りに明るくなりました。
(近日点前)m1 = 6.3 + 5 logΔ + 18.0 log r (t + 20)
(近日点後)m1 = 8.2 + 5 logΔ + 12.5 log r
今回は地球に 0.12 A.U. まで大接近し、肉眼彗星になると期待されました。
光度グラフは、過去4回の光度変化を合わせたものです。
急激に増光・減光しますが、近日点を過ぎて120日以降は、減光が緩やかになります。 今回も、ほぼ予想通りに明るくなりました。
(ΔT=120日まで)m1 = 8.7 + 5 logΔ + 20.0 log r (t - 20)
(ΔT=120日から)m1 = 10.5 + 5 logΔ + 10.0 log r
回帰のたびに少しずつ暗くなっているようです。
光度グラフは、過去3回の光度変化を合わせたものです。
1991年のバースト前の絶対光度は、H15 = 11.0 でした。 2001年には近日点距離が 1.6 → 2.6 A.U. と遠ざかりましたが、絶対光度は H15 = 9.5 と、逆に明るくなりました。
今回は、H15 = 11.5 と、1991年のバースト前に戻りました。
光度グラフは、過去2回の光度変化を合わせたものです。
近日点を過ぎてから半年も後に最大光度となる、という特異な光度変化を見せます。 今回も同様でした。
m1 = -2.3 + 5 logΔ + 44 log r(t - 150)
光度グラフは、過去2回の光度変化を合わせたものです。
2010年10月に20等と、予報より3等以上も暗く観測されました。
1997年、2004年ともに、近日点を通過してかなり後でのみ、観測されています。 この彗星は、近日点通過後に増光するタイプと思われます。
m1 = 13.0 + 5 logΔ + 10.0 log r(t - 150)
光度グラフは、過去2回の光度変化を合わせたものです。
前回は、近日点の1年も後に最大光度となりました。ですが、今回は、近日点の3ヶ月後に最大光度となり、その後は減光しています。
(2000年)m1 = 6.0 + 5 logΔ + 16.0 log r(t - 300)
(2010年)m1 = 4.2 + 5 logΔ + 20.0 log r(t - 80)
2005年にバーストを起こした彗星の、初回帰です。
光度グラフは、過去2回の光度変化を合わせたものです。
前回は、近日点の200日以上も後にバーストを起こしました。 今回は、近日点の前に急増光しました。
(平常光度?)m1 = 14.5 + 5 logΔ + 7.0 log r
光度グラフは、過去2回の光度変化を合わせたものです。
光度変化は特異です。 近日点の150日も後に最大光度となり、しかも、増光がかなり鈍いです。
m1 = 13.5 + 5 logΔ + 7.0 log r (t - 150)
メインベルト彗星です。
光度グラフは、過去2回の光度変化を合わせたものです。
発見時の絶対光度は H10 = 14.5 でしたが、今回は H10 = 17.5 と、3等も暗くなっていました。 発見時は、バーストを起こしていたのかもしれません。
光度グラフは、過去2回の光度変化を合わせたものです。
近日点距離が 2.5 → 2.1 A.U. と小さくなりましたが、発見時と同じ光度式で表せます。
m1 = 9.2 + 5 logΔ + 17.5 log r
しかし、日心距離が 2.5 A.U. を超えた頃にバーストを起こし、その後は増光を続けています。
光度グラフは、過去2回の光度変化を合わせたものです。
近日点距離が 0.5 A.U. とかなり太陽に接近する彗星です。 近日点距離の小さい短周期彗星には、このような、増光の急激なタイプの彗星がいくつかあります(96P/Machholz 1)。
(2006年)H = 16.0 G = 0.15
(2011年)m1 = 15.5 + 5 logΔ + 16.0 log r
この2つの彗星は、発見時にしか観測されませんでした。 軌道が大きく違うのかもしれません。
新周期彗星です。
最近の周期彗星に良く見られるように、log r の係数が大きく、かつ、近日点を通過した後に最大光度となる傾向を示しました。
m1 = 10.5 + 5 logΔ + 15.0 log r (t - 50)
新周期彗星です。
予想以上に急増光しましたが、その後の減光も予想以上に急激でした。近日点通過の2週間ほど前に最大光度となりました。
m1 = 11.0 + 5 logΔ + 18.0 log r (t + 15)
急激に増光しました。しかも、最大光度に達したのは、近日点を過ぎてから40日も後でした。
m1 = 1.2 + 5 logΔ + 25.0 log r (t - 40)
8月31日に、2等ほどの小さなバーストを起こしましたが、その後の光度変化には、大きな影響は見られません。
m1 = 7.8 + 5 logΔ + 10.0 log r