2010年4月24〜25日 第40回彗星会議
吉田 誠一 / Seiichi Yoshida
comet@aerith.net
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近日点距離が3.1AUと遠方の彗星でしたが、log r の係数が17.5と大きく、予想以上に明るくなりました。
計算上の絶対光度は、-2.5等という、巨大な彗星でした。
この彗星も、近日点距離が2.25AUと遠方の彗星ですが、絶対光度の明るい大型の彗星です。
近日点通過までは、11.5 log r に沿って、ごくふつうに増光をしてきました。ところが、近日点を通過した後は、20 log r に沿って、急激に減光しています。
15等止まりの予報だったのですが、予想以上に急激に増光し、7等に達しました。光度式は、28.5 log r という値になります。
はじめは増光が鈍いかと思われましたが、結果的には、log r の係数が13.0と、急激に増光した彗星でした。
20 log r に沿って、急激に増光し、急激に減光しました。
この彗星は、南半球では1月から2月には非常に条件が良く、明るく見えていたはずです。
2009年の秋に明け方の空に現れてきた頃には、予想よりはるかに暗くなってしまっていました。
近日点を過ぎた後、30 log r 以上のペースで、急激に減光したことになります。但し、秋以降は、10 log r に沿って、ごくふつうのペースで減光しています。
この彗星も、計算上は、1月にはすでに明るく見えていたはずです。ですが、近日点付近で一時的に急増光しただけだったのかもしれません。
この彗星は、2008年の夏からずっと、北半球ではいつ発見されてもおかしくない条件だったはずです。
14 log r に沿って、予想より急激に増光しました。
周期6年の周期彗星です。木下一男氏の計算では、100年以上前からずっと、近日点距離は1.3AU前後で変わらず、この明るさなら、いつ発見されてもおかしくありませんでした。
減光のペースは、15 log r と、周期彗星としてはごくふつうです。
1月下旬には、予想を上回る明るい姿で捉えられました。この時の日心距離は、1.33AUです。
しかし、この後は太陽に近づいても、まったく増光してきませんでした。
そして、3月12日になると、中央集光のない拡散状の姿に一変しました。この時の日心距離は、0.74AUで、近日点まであと12日と迫っていました。
その後も、急激に拡散・消滅するのではなく、残光がずっと見え続けました。ですが、4月中旬には、残光もかなり淡くなってきています。
なお、何人かの眼視観測者は、3月下旬から4月中旬にかけても、かなり明るい光度を報告しています。
2010年7月に、太陽に0.4天文単位まで接近します。これまでの増光のペースはかなり急激です。log r の係数を12としても、2〜3等級に達する計算になります。
但し、日心距離が1AUに近づく5月半ば頃からは、増光が鈍るかもしれません。
2〜3月には明け方の空で条件が良く、いつ発見されてもおかしくなかったはずです。
この彗星も、2〜3月には夕方の空で条件が良く、いつ発見されてもおかしくなかったはずです。
周期7.6年の周期彗星です。
4月15日には20等以下でしたが、16日になって12.5等の恒星状で発見されました。17P/Holmes や P/2008 J2 ( Beshore ) と同様のバーストではないかと思います。
ほぼ、予報どおりの光度変化を見せました。
m1 = 5.3 + 5 logΔ + 21.0 log r
2008年春のバーストは、光度変化には影響を与えなかったようです。
予報どおりの光度変化を見せました。
m1 = 9.5 + 5 logΔ + 15.0 log r
ほぼ、予報どおりの光度変化を見せました。
m1 = 6.3 + 5 logΔ + 18.0 log r(t + 20)
今後は、以下の光度式に沿って減光していくと思われます。
m1 = 8.2 + 5 logΔ + 12.5 log r
今回帰は予想以上に明るくなりました。
1998年、2004年の回帰では、25 log r に沿った光度変化でしたが、今回は、30 log r と、より増光が急激になりました。
近日点の前後で急激に増光する、特異な彗星です。予報どおりの光度変化を見せました。
m1 = 8.2 + 5 logΔ + 18.0 log r
m1 = -6.0 + 5 logΔ + 60.0 log r ※近日点前後のみ
発見時と同じく、急激に増光し、近日点通過の30日後に最大光度となる光度変化が見られました。ただ、増光のペースは発見時よりも急激で、予想以上に明るくなりました。
10月14日のバーストは、その後の光度変化には、特に影響を与えませんでした。
絶対光度が18等のたいへん小さい彗星ですが、眼視でも見えるほど明るくなりました。発見時よりも条件が良く、地球にかなり接近したこともありますが、発見時からの予想よりも、ずっと明るくなりました。
発見時は、近日点通過から1ヶ月以上も過ぎてから発見されました。今回も、明るく観測されたのは、近日点通過付近から約1ヶ月間だけでした。この彗星は、近日点から1ヶ月間だけ、突発的に増光するタイプかもしれません。
近日点を通過した後に発見され、いつまで経っても同じ明るさで見え続けていた、「永遠の彗星」ですが、近日点から5年が過ぎ、ようやく減光し始めたようです。
ちなみに、この彗星の周期は16年です。近日点距離は3.4AU、2010年初めの日心距離は8.3AUです。
40 log r に沿って、急激に増光しました。近日点を過ぎてもさらに増光し、結局、近日点通過の40日も後に最大光度となりました。
33 log r に沿って、急激に増光しました。この彗星は、近日点で最大光度となりました。
20 log r に沿って、急激に増光しました。ただ、この彗星は、近日点を通過する前に減光に転じたようです。一時的な増光だったのかもしれません。
15 log r に沿ってやや急激に増光しています。近日点付近でも増光が鈍っていないため、この彗星も、近日点を過ぎてからも増光が続きそうです。
予報では20等にしかならないはずでしたが、急増光しました。ですが、光度式は 90 log r という異常な値となります。
近日点の直前まで観測されませんでしたが、その後は急激に増光し、近日点を通過しても増光が続いています。
この傾向は、前回2001年の時とまったく同じです。光度式は、以下のようになります。
m1 = -2.3 + 5 logΔ + 44 log r(t - 150)
1999年の発見時の観測と併せると、近日点の直前になってから急激に増光してきて、近日点を過ぎて1年くらい経ってから最大光度となる、という特異な光度変化が推測されます。
今のところ、その推定に良く沿って増光してきています。
この彗星の光度変化は、小惑星の光度式でも、彗星の光度式でも、どちらでもうまくフィットしません。
2004年の発見時と、今回の光度変化は、たいへん良く一致しています。計算上は、以下のような光度式になりますが、物理的に何を意味しているのかは不明です。
m1 = 18.0 + 5 logΔ + 2.0 log r
2009年に長い尾を伸ばした彗星ですが、2008年の発見時と比べると、太陽に近づいたのに、むしろ、わずかに暗くなっていました。
秋澤宏樹さんの研究によれば、このダストは、彗星が発見された頃、すなわち、近日点通過の300日ほど前に放出された、と計算されています。光度変化も、ダストが放出された頃に最大光度となったことを表しているようです。
遠日点(2010年10月)に近づいていますが、まだ20等の明るさで見えています。
今シーズンはずっと明るく見えていました。
ここ最近の3シーズンは、明るい状態が続いています。
11月に地球に0.38AUまで接近し、好条件で観測されましたが、明らかな彗星活動は見られませんでした。
近日点の近くで急激に増光する彗星ですが、今回は、期待されたほど明るくなりませんでした。特に、近日点通過後には南半球でたいへん条件が良くなりましたが、彗星としての明るい姿はほとんど捉えられませんでした。
但し、近日点通過前には、一部の眼視観測者、および、STEREO衛星によって、かなり明るく観測されました。